御堂vs鬼のような怪人の戦いは長引いている。怪人は呻き声を出すばかりで言葉を発しないようだ。


カスタム銃じゃダメか…!

御堂は愛用のカスタム銃から、対怪人用銃・マグナムブラストへと持ち替えた。
彼はいきなり強烈なローキックをお見舞いする。怪人は一瞬怯んだ。


「和希!私のブレードを使え!!何のために預けたと思っている!」

鼎の声が聞こえた。怒号に近い言い方だ。そうか、ブレードがある。鼎が俺に預けた対怪人用ブレード・鷹稜(たかかど)が。


御堂は再び迫り来る怪人相手に銃撃した後、即座に鷹稜を抜いた。
びっくりするくらいに使い勝手がいい。鷹稜は喜んでいるのかもな。


「たいちょー、後ろ!」

いちかの叫び声。御堂は冷静にブレードであしらい、直感で胸を狙った。
怪人も御堂と援護の彩音により、ダメージを受けている。


御堂は一気に怪人を斬った。怪人は血を噴き出して爆破。
その直後、怪人が出た現場では消えた人達がいつの間にか戻っていた。



この様子をサブモニターで見ていた宇崎と鼎。メインモニターでは怪人を撃破した、御堂達の姿が映し出されている。


「和希、鬼怪人をお前が撃破したら消えた人達が戻ってきた。全員無事に戻ってる。
やっぱり異空間に転送されてるくさいな…」
「室長、その怪人の分析は進んでいるのかよ」

「解析班がやってるよ。ゼノクもそろそろ動いてんじゃない?これで上層部動かないとおかしいっしょ」


毎回思うが、室長は司令らしからぬ軽い言い方がどうもな〜。まぁ、室長はそういうやつだから仕方ない。


「和希、鷹稜の使い勝手は良かったか?」
鼎がしれっと聞いてきた。

「あぁ、びっくりするくらいに使い勝手良かった。これからも使わせてもらうぞ」
「戦闘以外は私の部屋にいるけどな、そいつ」


鷹稜は戦闘限定なのかよ!


「仕方ないだろ、鷹稜を預けたとは言ったが勤務時間限定ということで」
鼎は相変わらず冷淡な言い方。

「お前の鷹稜、主夫に目覚めてるからしゃーないのか…」
御堂もしゃーないな〜と言った感じ。



解析班。朝倉と神は鬼怪人(仮)が対怪人用ブレードで倒されたと聞いて、色々推測していた。

「ブレードで倒されたのって何かあるのかしら」
「…浄化とか?この怪人、仮に鬼怪人と呼んでおくが…ブレード以外にも効果的なものがあるはず」

「ブレード持ってる隊員は限られてるからね」


矢神が朝倉達に声を掛けてきた。

「チーフ〜。一応『鬼』に関する情報、調べておきましたよ〜。
怪人が鬼なのか、怪人なのかまだわからないからね。殲滅の参考になるかはわからないですけど」

「おー、矢神ありがと」



ゼノク。西澤はどこかへ向かう蔦沼をバレないように尾行。蔦沼はずんずん地下へと進んでいく。


やがてあの隠し通路に繋がる壁に到着。蔦沼は壁をスライドさせ、中へ。壁は閉じた。
西澤はその壁を動かそうとするも、びくともしない。


「壁が全然動かない…」

押しても叩いても反応なし。西澤はゼノク地下の地図を見た。複雑に通路が入り組んでいるこの地下のことだ、隠し通路はまだあるのかもしれない…。


西澤は地下を探索することに。



ゼノク地下・憐鶴(れんかく)の部屋。蔦沼は彼女に用があって来たらしい。
憐鶴は黒い組織の制服を着ていた。


「憐鶴、請負人はしばらくお休みだ。闇の執行人どころじゃないかも」
「…何かあったんですか?」

「鬼のような怪人が出現した。攻撃力が異様に高く、今のところ対怪人用ブレードくらいしか効果的な方法がない。憐鶴の攻撃スタイルなら、確実に殲滅出来るとは思うのだが…」
「私に一時的に『表の人間』になれというのですか!?」


憐鶴、かなり嫌そうなリアクション。彼女の顔から首にかけて包帯に覆われているため、声でしか感情はわからない。


「憐鶴…気に障ってしまったかな…。無理しなくていいよ」
「その怪人について詳しく分析報告が出てからまた来て下さい。そうしたら考えますから」


相変わらず気の強い女だな…。ずっと組織の裏にいたせいか、表に出ることに対してかなり拒絶している。

蔦沼は憐鶴を落ち着かせると、部屋を出た。憐鶴は難しい…。



西澤は複雑に入り組んでいる地下通路をうろうろしていた。

「ゼノクの地下ってこんなにも複雑だったの!?普段入らないから、迷いそうになるなー…。探索はちょいちょい進めないと長官に怪しまれる…」



本部・司令室。


「今のところ効果的なのは、この対怪人用ブレードだけってことかよ!?」
御堂が大袈裟に反応してる。

「ブレード持ってる隊員、以外と少なかった気がするんだよね〜。銃、いまいちだったんだろ?」
宇崎は御堂に確認している。

「マグナムブラストはそこそこ効果あったけどな。相手の攻撃力がたけーんだよ」
「まだ調査はそこまで進んでないから、他にも効果的な装備はあるかもね。
いちかはワイヤー使うの、控えろ。お前は他にも装備使えるだろうが」

「ウイッス!ワイヤーじゃダメなら投げ縄や鎖鎌はどうだろ」


なぜ、縄や鎖系にこだわる…。てか、「投げ縄」ってなんだよ!?


「室長、あのぶっといワイヤー使ってもいいっすか?研究室の片隅にあったやつ。あれと同じの武器庫にあったよね!?」


ぶっといワイヤー?


「使ってもいいが、ちょっと重いぞ。あれ、ケーブルばりに太いからお前に使いこなせるのか?」
「紐や縄的なもんなら慣れてるっす!投げ縄はカウボーイごっこで習得しやした」

カウボーイごっこってなんだよ!?突っ込みが追いつかない…。



鷲尾はSNSに闇の執行人の更新が止まったことに気づく。
動画が上がってない…?

恭平はあの怪人について調べるも、目撃情報がほとんどないために空振り。
人が消えたのと、怪人の目撃情報がほとんどないのは関係してんのか…?



数日後。憐鶴も個人的に怪人の情報収集している。
また出てもおかしくないからだ。


「憐鶴さんが情報収集してるなんて珍しいですね」
世話役の姫島が優しく声を掛けてきた。
「気になったんですよ…なんとなく」


もし、私が表に出ることになったら…。面倒なことになるかもしれない…。
それだけは避けたいのに…。





第2話へ続く。