鼎は何を思い立ったのか、いきなり席を立つと宇崎にこう言った。

「武器庫を見てくる」


武器庫!?あいつ、戦う気か!?戦えないだろお前は!


「室長、戦う気なんてさらさらない。鬼殲滅の鍵になりそうなものを探しに行くんだよ」
「武器庫にあるかなんてわからんぞ!?」


鼎は司令室を出ていった。宇崎は鼎のPC画面をなんとなく見た。

彼女なりに鬼について調べられてるな…。追儺ってなんだ?



一方、御堂達は鬼と接触。明らかにパワー系だった。呻き声をあげながら次々破壊していく。

「次はパワー系かよ…」
御堂達は銃で牽制しながら様子見。そこにぶっといケーブルのような、黒いロープを肩に掛けて持ってきたいちかが。少し重そうに見えるが…。


「たいちょー、うっす。やっと来れたっす」
いちかは右手で決めポーズ?をした。

「いちか空気読め!!」
「だいじょぶだよ〜。このぶっといロープさえあれば、パワー系の敵も捕らえるよ☆」

いちかは既に投げ縄の体勢に入っていた。
「みんな離れて〜!そいつを一網打尽にすっから。牽制はそのままでよろ」


なぜかいちかが仕切る流れになった。タメ口なせいか、緊張感の欠片もない。

いちかは思いっきり投げ縄をぶん投げた。ロープはするすると伸び、狙いの鬼を捕らえる。
パワー系の鬼はロープを引きちぎろうとしているが、効かず。


「つーかまえたっと」
いちか、どや顔。


「さて、こいつをどうやって倒しますか。たいちょー」
「この縄、大丈夫なのか!?」

「対怪人用の超強力タイプの縄なんで切れないよ☆…って室長が言ってたよ。
見た目はケーブルみたいだから、ちょっと重いのが難点っすけど」


御堂は縄を引きちぎろうともがいている鬼を横目にして悩んだ。
ブレードを使ったら動きを止めた意味がなくなってしまう…。銃もいまいちだし、どうする。



本部・武器庫。鼎は広い武器庫の中で探しものをしていた。
そこに武器庫の管理を任されている隊員のひとり・市浦と遭遇する。

「あれ…補佐が来るなんて珍しいっすね。どうかしたんですか」
「鬼殲滅の鍵を探しに来た」

鬼…?あぁ、最近頻発している新たな怪人のことか。


「手伝いましょうか。武器庫は広いですし、1人じゃ探せないですよ。何を探したいんですか?」
市浦の問いに鼎は答えた。

「弓矢だ」


市浦は弓矢が保管されている場所を案内する。そこには大量の弓矢が並べられていた。様々なタイプの弓と矢が別々に保管されてある。ボウガンもあった。


「相手が鬼となるとただの弓矢じゃ効果ないかも。ちょっと支部に聞いてみる」
「支部だと!?なんで支部に?」


市浦は説明した。

「支部の場所、京都にありますよね。オカルト系の武器なら支部の方が充実しているからですよ。
あっちの武器庫担当に聞いてみるから、補佐は探してるか休んでるかして下さいっす」


市浦は支部に問い合わせているようだ。



一方、御堂達。複数で銃を使い、蜂の巣にするも効果はいまいち。

「パワー系だと難しいか…」


御堂は鷹稜(たかかど)を出したが、抜刀する気になれず。

こいつにはまだ決定的なダメージを与えられてない。
このまま斬っても意味ないか…。



山梨県・某村雑木林の空間の亀裂。そこから1人の鬼が出てきた。見た目はほぼ人間の青年。


「さぁて、暴れますかな〜。災厄起こしちゃおっかなー…」

この鬼の名は絶鬼(ぜっき)。10年前に御子柴(現在の憐鶴)を襲撃した張本人である。



ゼノク・憐鶴(れんかく)の部屋。彼女は定点カメラから見た映像で、空間の亀裂から出てきた鬼を見逃さなかった。

「この男…見たことある…」
憐鶴は嫌な予感がした。



武器庫。市浦は支部の武器庫担当から話を聞いてる。


「支部にある?あぁわかった。補佐に伝えておくね」
市浦は通話を切った。

「鬼殲滅の鍵となる弓矢、支部にあると言ってました。今から全セット輸送機で送るそうです」


ぜ…全セット!?


「ざっと5人ぶんの弓があると言ってました。矢はこちらのもので大丈夫だと」
「そうか」



憐鶴は蔦沼を部屋に呼んだ。


「長官、10年前に襲撃した怪人…いや鬼が現れました。私は表に出るべきですか…?」
「君のタイミングで行けばいい。どう思われてもいいのであれば。その鬼は災厄をもたらす存在だ、殲滅しなくてはならない」


「殲滅…?」


「表に出る覚悟はあるのか…?」
「まだ…揺らいでいます…」