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日常のどうでもいいことをだらりと綴ったブログです。お菓子作りのこと、小説、イラストときどき腐要素入っていたりしますのでご了承を。
乙女ゲー『中の人増殖計画』、やっとiphoneで配信されるようになり、ダウンロードしたのですが…わからない!!
11月。
ファンタジーもなかなか好きです。
でも書くのは難しい。
ちょっとしたファンタジー (一応びーえるですが、今のところその様子は皆無(笑))を書きました。
気がむいたら読んでみてください、続き物ですが。
↓
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『ライオンとアザレア』
1.むかしむかし
それは霞がかった遠い昔の記憶。
人から花をもらった。
いつの間にかこの島で暮らしていた俺はその時初めて人間を見た。
その人間は「これは生きていない花だけどいつかこの島にも咲くといいね」と言ってその花を俺の掌においた。
島にはない色。見たことのない色。
「綺麗な桃色でございますね」
上の木の葉の陰に隠れていた鳥たちが、思わずため息のようなうっとりした声を漏らした。
俺が鳥たちに向かって「黙っていろ」と視線を送ると、隣にいた人間は感心したように「君は鳥とお話ができるんだね」と言った。
桃色の花。
人間は生きていない花だと言ったがそんな風には思えなかった。
その花は乾いていたが枯れてはいなかった。
俺には生きているように見えた。
花を天に翳しながらひらひらさせていた俺に人間は「押し花っていうんだ」と付け足した。
海のほうを見ながら人間は口を開く。
「ユリシア国って知ってる?」
俺は頭を横に振った。
よくしゃべる人間だなんて思いながら。
「俺はユリシア国に住んでいるんだ。花に囲まれた美しい国で、あ、写真を見せてあげる」
人間が見せてきた写真というものには海や空とはまた違う青色の花が大きな建物を囲むように咲いている様子が映っていた。
「この建物は王様が住んでいるお城で、この青い花は国の花」
恐ろしいほど綺麗だった。
俺が写真の花と押し花を見比べていると人間は「これは違う種類の花」と言った。
「この押し花はね、俺の大切な人が作った花」
そう言って人間はどこか照れくさそうに笑った。
「なんの花?」と聞きたかったけれど俺はまだ人の言葉をしゃべれなかった。
「それにしてもここは綺麗な島だね。君がこの島を守っているからかな。俺はこれでも研究者でね。ちょっとこの島の生態を調べたいから苔を少し持っていっていいかい?」
そして人間は俺の島の苔を採取して島から去って行った。
それから、俺は人と喋れるように島の鳥たちから喋ることを教わった。
「興味を持つことはいいことです。獅子様はどうにも無欲ですから」
と言ってなぜか鳥たちは喜んだ。
俺はまたこの島に人が来たら押し花の花の名前を聞こうと思っていた。
だからあっという間に人の言葉が喋れるようになった。
けれど来なかった。
誰も来なかった。
何百年も俺は待ったがこの島を訪れるものなんていなかった。
その間、島に住む者も入れ替わり、この島に訪れたあの人間を知っている者は俺だけになった。
そして、やっぱり俺の島には花は咲かなかった。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 10月26日 |
血液型 | O型 |