「…………で、何しに来たんだ。お前。」
「何って、僕達も桜庭市のハロウィン祭に参加するんだ。
何処が悪いんだ?」
「………もう少し、自分の立場っていうのを考えろ。智仁。」
「………すみません、止めたのですが。」
「あぁ、姉さんは悪くない。姉さんはな。」

綿貫家の別邸で、芳樹は智仁と綾子を出迎えていた。
「ねぇねぇ、芳樹にーには仮装しないの?」
「俺は仮装するよ。和泉守兼定に。」
「じゃあ、満月ねーねは堀川国広?」
「ああ、そうだよ。………まったく、幸仁と幸子は智仁に似なくてよかった。」
「可愛いところは似ているだろう!?」
「どちらかと言えば姉さんにクリソツだけどな。」
「………僕、悲しいぞ。」

「悲しいとか言っている割には顔が笑っているんだけど?」
「あはは、バレたか。」
「バレたか、じゃねぇわ!!胃が痛くなる、ホントに…………。」
「ところで満月ちゃんは迎えに行かなくていいのかい?」
「ウルセェ。和泉守が行っているから、いいんだよ。」
「やれやれ、大変なことだ。」
「誰のせいだと思っているんだ!」

「………ただいま、帰りました。………あれ?」
「智仁様、綾子様。いらっしゃっていたのですか?
それに幸仁様と幸子様も。」

ちょうど満月と物吉が帰ってきて芳樹はパァ、と顔を明るくした。

「お帰り、満月ちゃん!」
「お邪魔しているぞ、満月ちゃん。」
「お帰りなさい、満月。物吉。」

「はい、ただいま帰りました!」

「……………ああ、そうだ。ところで知っているか。」
「何をだ?」

「この時期になると決まって現れるギランボと言うのを。」

「………あれか?ウルトラマンティガに出てくる、異次元人の。」
「…………というかこの時期になると現れましたっけ?」

顔を見合わせる芳樹と満月に智仁はふむぅ、と呟いた。

「つまらんな。………他の都市で、決まってハロウィンになると行方不明になる子達が続出しているんだ。」

「ハロウィンが終われば帰ってくるのですが。
皆して、同じ存在の手によって行方知らずになったと言うのです。
何分、気味が悪いということで今、桜庭市も対応に困っているのですよ。」
「……………そりゃ、対応に困るな。」
「でも、ハロウィン祭は開催するんですよね?」
「今のところは、な。ただ、子供達だけで行動するなとは釘を刺しても、
なかなかに言うことを聞いてはくれん。
だから、警察を動員して警戒に当たることにはしているんだが………。」
「何人かは行方知らずになるでしょうね。」
「…………そんな恐ろしいこと言わないでくれ、と言っても、ここは桜庭市だからな。」
「闇呪の動きも気になりますけど…………。」
「………そう、闇呪についてもだな。
闇呪とギランボの関係性は不明だが、闇呪が人間に手を出したりしたらそれこそ一貫の終わりだ。
あいつらが人並の知性を持ちだしたら、洒落にならん。
………というわけで、闇呪とギランボに警戒しつつ、ハロウィン祭を決行するということになった。」
「なった、じゃねぇよ。ただ単にお前がハロウィン祭に参加したいだけだろ。」

「義弟がいじめる〜。」
「………何でそうなる!?」

「………芳樹にーにとお父様、仲が良いね。」
「うん、仲が良いね。」


続く。