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[12扉]涙(ジャック×メサイア)

858番地、ジャックの隠れ家の一つ。
長らく主の帰らなかった家に、金髪の新しい主が居着いてから、もう1ヶ月程経っていた。

「・・・ヨォ相棒。」

ゴンゴン、と分厚い金属を叩く音がして、ジャックがドアを開けた。

「どうぞ・・・お入りください、散らかってますが・・・」

メサイアは、明るい金髪を梳かす手を止めて迎えに出る。
ジャックは意地悪そうに笑って言った。

「散らかすなよ、元々は俺の家なんだぜ。」
「き、決まり文句でしょう!」
「ははは、わかってるって。」

慌てて弁解すれば、楽しそうな笑い声で返される。

やはり、からかわれているのだろうか。

「・・・これから朝食にしようと思っていたんです。」
「うん?お前、今起きたのか。」
「・・・貴方が急に来るだなんて言ったから。」

どうしようかと思ったら、眠れなかったんです。
少しふてくされたように言うと、ジャックは困ったように言い返した。

「なんだ、オマエ結構可愛いトコあんだな。」
「・・・どういうことです。」
「そういうことだよ。」

ガチャガチャと食器を準備しながら、ふとそれらが2組ずつあることを思い出した。

「・・・うん?どうした。」

ジャックが訊く。
メサイアは首を軽く振って答えた。

「・・・いえ、何でもありません。」

・・・だから、最初はジャックが一緒に住んでくれるのかと期待してしまったのですが。

「・・・敬語とは、嫌に他人行儀だな、オイ。」
「・・・他人行儀?そうなのですか?」

苦笑するジャックとは目線を合わせずに、卵をフライパンで焼く。

「・・・これが正しい話し方なのだと思っています。」
「・・・まぁ、間違っちゃいねぇが・・・。」

誰か、ジャックと一緒に住んでいた人がいたのだろう。

できたオムレツを皿に放り出して、簡単なサラダを作りに取り掛かった。
トースターに入れたパンは・・・もう少し焼き色が欲しい所ですね。

「オイ。」
「何ですか。」
「何怒ってんだ?」

ジャックがカウンターに座って訊く。

「怒ってないです。」
「怒ってんだろ。」
「・・・・・・。」

メサイアは黙ってレタスを千切る。
その様子を眺めながら、ジャックはのんびりと答えを待つ。

「・・・鏡に、」
「うん・・・?」
「鏡に、口紅で伝言が有りましたよ。」
「!・・・」

ジャックはバツの悪そうな顔をして席を立った。
部屋を出ようとしたジャックに、メサイアは言った。

「消しました。・・・髪を整えるのに邪魔だったので。」
「そ、そうか。」
「あと、ベッドにあった長い髪の毛も邪魔なので捨てました。」
「・・・・・・。」

ジャックは苦い顔をしている。
メサイアはサラダを混ぜながら少し振り返った。

「・・・ジャック、
『さよなら、もう待たないわ』
・・・だそうですよ。・・・伝言。」
「・・・そうか。」

ジャックは再びカウンターに座る。

ん、トースターは止まっていたようですね。通りで焼き色が付かない訳です。

トースターのダイヤルを捻りながら、ジャックに背を向けたまま訊く。

「一緒に住んでいたのですか?」
「あー・・・まぁな・・・」
「恋人ですか?」
「あー・・・まぁ、そんなもん・・・」

ジャックは言葉を濁した。

何だかとても腹が立つ。
でも私自身、どうしてこんなに腹が立つのか分からない。

サラダをボウルごと、乱暴に皿の隣に置いた。
ごん、という鈍い振動が手に伝わると同時に、温かい水が手に落ちる。

「・・・?」

サラダを作るのに温水は使っていないのですが。
メサイアが驚いて顔を上げると、更に驚いた顔をしたジャックと目が合った。

「ちょっ・・・オマエ、そんな、泣くこたぁ・・・!」

珍しく狼狽するジャックの姿は、すぐにぼやけて見えなくなった。
目をどんなに擦っても、やはり視界は晴れない。

「・・・私はどうして泣いているのでしょうか。」
「・・・俺が知るか・・・。」

ジャックは困った顔をしている。

早く涙を止めないと、ジャックに呆れられてしまいますね・・・

「ジャック、」
「うん?」
「涙の止め方を教えてください。」
「・・・あー・・・。」

どうやら、彼も止め方を知らないようです。
あまり泣かないのでしょう。

ジャックは答えられないまま、メサイアの隣に来た。
そのままゆっくりと抱きしめて答える。

「・・・止め方は、知らないが・・・。泣きたい時には泣きたいだけ泣けばいいと俺は思う。」

今は戦場じゃない、時間はあるしな。
そう言ってジャックは金髪を優しく撫でた。

「・・・呆れませんか。」
「別に呆れねぇよ。」

訊けば、こつん、と頭を小突かれた。

「てか、原因は俺にあるみたいだしな・・・すまん。」
「・・・いえ・・・あ、じゃあ、1つだけ。」
「・・・アン?」

調子に乗って、と怒られてしまうかもしれませんけど・・・

「・・・一緒に住んでください。」
「・・・いや、それは・・・」
「恋人じゃなければ一緒に住めないのなら、恋人になりましょう。」
「イヤ、オイ!」

恋人の意味分かってんのか、オマエ・・・
と呟いて、ジャックはため息を吐く。

「嫌でしょうか。」

ジャックの見つめる先で、金色の瞳がまた滲んだ。

「私は、・・・私は、ジャックの事が好きです。だから、貴方が嫌なら、無理は言いません・・・。私は・・・っ・・・。」

更に言い募ろうとするメサイアの唇を、ジャックはキスで塞いだ。

「・・・今は、無理だ。」
「・・・・・・。」
「これからお互いそれぞれが敵対組織に入り込もうってのに、一緒に住むのは難しいだろ。」

ジャックは言って、またカウンターに座る。

「だから、とりあえずはこの戦いが終わるまで待て。
戦いが終わったら一緒に住もうぜ、相棒。」
「・・・・・・。」

ジャックが言うが、メサイアは金色の目を瞬かせて黙っている。

「・・・どうしたんだ、オマエ・・・」

不審に思ったジャックが訊ねる。と、慌てたように口を開いた。

「ジ、ジャック今っ・・・今のはっ・・・」
「アン?一緒に住んでもいい、って話だが・・・」
「・・・違っ・・・いえ、それは嬉しいんですけどっ、その前っ・・・」

ジャックは首を傾げて・・・やがて、あぁ。と思い出したように訊く。

「・・・キスした事か?・・・嫌だったか?」
「嫌じゃありません大丈夫ですっ!」
「・・・・・・そうか?」
「ただっ・・・ジャックが、嫌じゃなかったかと・・・」

コイツめ、そんな事を気にしていたのか。
ジャックは少し苦笑して言った。

「全く、嫌じゃなかったな。」
「そ、そうですか・・・」

ほっと胸をなで下ろすメサイアを見て、ジャックは意地悪そうに笑う。

「あぁ、ただ・・・」
「た、ただ・・・?」
「キスだけで真っ赤になるようなウブな恋人を持つことになるとは思ってもみなかったな。」
「なっ・・・!」

メサイアは再び真っ赤になって言葉をなくしている。

「ははは、・・・まぁ、せめてロミオとジュリエットにならないようにしようぜ。」
「と・・・当然です!約束ですからね。」
「そうだな・・・約束だ。」

ジャックはカウンターに身を乗り出してきたその額にキスをして。
三度赤面しているメサイアをそっと抱きしめた。















あとがき
勢い余って12扉ー!
大好きだTwelvedoors!むしろジャック!
婿になれ!(メサの。)

二次創作・・・いいのかなぁ・・・
ダメなんかなぁ・・・
また書きたいなー・・・(爆)

[BRT]夢(七ノブ)

夢を見るんだ。
君が死ぬ夢を。
繰り返し、繰り返し。

そして、俺はいつも無力だ・・・



夢 (七ノブ)



ピッ、ピッ、ピッ・・・

首に巻かれた銀色の機械(ああ、まるで首輪のような)が電子音を発する。
それは、君の首輪から。

「なっ、なんだよコレ!」
「ほら、それ爆発するぞ。」

赤く点滅する光は警報。
周囲は一斉に君から離れた。

「誰か、誰か助けてよ!」

助けなければ、そう思っても、
君を避ける人波に流されて、俺と君との距離は空いていく。
響く悲鳴。
焦る俺の鼓動とリンクするように(ちくしょう、あんな機械とリンクなんて嫌な冗談だ)音と光の間隙は段々と短くなっていった。

そして、ようやく人波から顔を出せた俺と君の目が合って、

その瞬間が訪れるのだ。

「秋也ぁーっ!」
「ノブーっ!!」

涙で濡れた君の顔、
縋るように叫ばれた俺の名前、
必死に伸ばされた手、
握り返そうと伸ばした俺の手は、

届かない。

パァン!

運動で鳴らされる爆竹(無論そんな可愛らしい物ではないが)のような音がして、君の腕が落ちる。

「ノブっ・・・ノブーっ!」

幾度と無く繰り返される喪失感。
慌てて駆け寄った俺を、虚ろな目で見上げて、君は言うんだ。

「どうしてたすけてくれなかったの、しゅーや・・・」


#####


「うぁあぁぁっ!」
「どうしたの、秋也くん!」

自分の悲鳴で目が覚めた。
典子が心配そうに見ている。(三村なら言うだろう、こんな格好悪い所を見られるだなんて情けないぜ、ベイビ。)

「な、何でもない・・・」
「そう・・・?なら、いいんだけど・・・」

典子は余計な詮索はしてこない。
きっと、何となく分かっているのだろう。

「・・・もう朝だな。動こうか。」
「うん、そうね・・・」

そして俺達はまた走り出す。

そしてまた、夜は来る。


#####


ピッ、ピッ、ピッ・・・

首に巻かれた銀色の機械(ああ、まるで首輪のような)が電子音を発する。
それは、君の首輪から。

「なっ、なんだよコレ!」
「ほら、それ爆発するぞ。」

赤く点滅する光は警報。
周囲は一斉に君から離れた。

「誰か、誰か助けてよ!」

夢の中でさえ俺は、君を救えない。
君を避ける人波に逆らって、俺は君との距離を詰めていく。
響く悲鳴。
穏やかになる俺の鼓動と反対に(どうしてか、怖くないんだ。夢だからかな。)音と光の間隙は段々と短くなっていった。

そして、ようやく人波から抜け出した俺は君を抱きしめた、

その瞬間が訪れる前に。

「秋・・・也・・・!?」
「ノブ、ごめんな・・・」

涙で濡れた顔には驚きの表情があって。
縋るように、君の名を呼んだ。
繰り返される夢。
結末は変わらない。

ならば、せめて二人で・・・

ドンッ!

胸に感じた衝撃。
爆発ではなかった。
離れていく君の体。

「ノブっ・・・!?」
「だめだよ、秋也・・・」

慌てて掴もうとした手を、君は払い退けた。

「秋也・・・ありがと。」

パァン!

幾度と無く繰り返される喪失感。
慌てて駆け寄った俺は、静かに横たわる君を見た。


#####


「・・・?」
「大丈夫?うなされてたわ。」

気がつけば、また典子が心配そうに俺の顔をのぞきこんでいた。

「・・・・・・・・・」
「秋也くん、大丈夫?泣いてるわ・・・」

泣いてる?
思えば、頬が妙に温かい気がする。
あぁ、でも、やっと、君・・・

「俺、救われた気がするんだ・・・。」
「え・・・?」
「所詮、夢でしかないのかもしれないけど・・・」

君、笑っただろう、あの瞬間。
『秋也・・・ありがと。』
繰り返しの夢の中で、君の泣き顔しか見れなかったけれど。

「ただの、俺の願いなのかもしれないけど・・・」

いや、君は確かに笑っていた。
静かに横たわる君は、とても穏やかに微笑んでいたから。

「俺、やっと、許された気がしたんだ・・・」

ありがとう、ノブ。
俺の親友、愛しい人。

[落乱]笑え(三木滝)

アイツが、怪我をした。

実習の最中、崖から落ちたらしい。


・・・級友を庇って。


そう言って綾部が駆け込んで来た時には、
心臓が止まるかと思った。



# # #


「三木ヱ門ーっ!」
「ど、どうしたんだ綾部?」

珍しく慌ただしい喜八郎を見て、三木ヱ門は少し怪訝な顔で訊いた。

「たっ、滝がっ・・・滝が、崖から落ちたんだ!」
「なっ?!」

綾部が息を切らせて言う。
三木ヱ門は驚いた。

「ど、どうして!アイツは自意識過剰な自信家だが、実力は確かなのに!」
「・・・さりげにヒドいよ・・・三木ヱ門。」

長年罵り合っていた口は、こんな時にも、素直に心配の言葉は紡げない。

「・・・クラスの奴を庇ったんだよ。」
「何でそんなっ・・・!無事なのか、アイツは!?」

思わず喜八郎に詰め寄って問う。
今度は喜八郎が驚いた顔をした。

「治療は終わったけど・・・、目はまだ覚ましてない。先生は、暫くは安静にしてないとダメだって。」
「そんな、アイツ・・・」
「・・・いつも喧嘩ばっかりしてるけど、やっぱり心配なんだ。」
「なっ!」

三木ヱ門はすぐさま首を横に振った。
喜八郎は、少し微笑む。

と、タカ丸が駆け込んで来た。

「目っ!目ぇ覚めた!滝夜叉丸が目ぇ覚ましたよー!」

半泣きの顔で言う。
喜八郎は直ぐに医務室に走り出した。
三木ヱ門も、その後を追おうとして・・・やがて腰を下ろした。

「あれ?・・・三木ヱ門は?」
「いや、俺は行かないよ。」
「・・・そう?・・・じゃあ後で行ってあげてよ。三木ヱ門来てくれたら、滝夜叉丸も喜ぶと思う。」

・・・あいつが喜ぶ?そりゃ、無いだろ。
医務室に戻るタカ丸を眺めながら思う。

「・・・アイツ、今日はずっと医務室に居るんだろうな・・・」

俺達は互いにライバルだし、仲は悪い。顔を合わせれば、喧嘩する。

「笑いに行くか・・・。」

心配なんか、してない。

# # #


「・・・失礼します。」

医務室の戸を開ける。
返事はない。先生は出ているようだ。
三木ヱ門はゆっくり中に入った。
ベッドを見れば、滝夜叉丸が静かに眠っていた。

「滝夜叉丸・・・」

ほっ、と安堵の息が漏れる。
巻かれた包帯には僅かに血が滲んで痛々しい。
それでも、規則正しく聞こえる寝息に安堵した。

「・・・よかった・・・!」

そんな言葉が思わず口をついて出る。
つい力が抜けて、近くにあった椅子に座りこんだ。

座って、滝夜叉丸の横顔を眺めながら、思わず自嘲した。

「・・・心配だった、のかな、俺・・・。」

滝夜叉丸の無事を見て、緊張が一気に解けるのを感じた。

「・・・滝夜叉丸・・・。」

そっと、絆創膏の貼られた頬を撫でる。
男のくせに、睫毛は長いし・・・綺麗だな・・・
その額に、そっと唇を近付けて。

「俺・・・ひょっとしたら・・・」
「・・・ん・・・?」

紡ごうとした想いは、滝夜叉丸の身じろぎで途切れた。
慌てて姿勢を正し、様子を窺う。

「・・・なんだ、三木ヱ門か。」

滝夜叉丸は覚めたばかりの目を擦って言った。
三木ヱ門はムッ、として返す。

「なんだ、とは何だ貴様。」
「笑いに来たのか。」

自嘲気味に笑い、滝夜叉丸が言った。

「・・・別に・・・」
「笑うがいいさ、私が未熟だったが為に起きたことだ。」
「・・・お前のせいじゃないだろう、これは事故だ。」

珍しく自虐的な言葉を吐く滝夜叉丸に、三木ヱ門は戸惑いながら返す。
だが、滝夜叉丸は首を横に振った。

「いや、俺のせいだ。俺は、自分の力量を量りきれなかった。だから、皆に迷惑をかけたんだ。」
「・・・何を言っているんだ、お前らしくもない。」
「・・・今頃、普段から私を快く思っていなかった連中は、ここぞとばかりに罵っているだろうな。」

そう呟くと、滝夜叉丸は俯いた。

「お前、そんなこと・・・」
「・・・お前だって、私を愚かだと思うのだろう?!」
「なっ・・・」

突然声を荒げる滝夜叉丸に、三木ヱ門は気圧される。

「笑うがいいさ、普段あれだけ息巻いておいて、この様かと、・・・笑えばいい!」

滝夜叉丸は掴みかからんばかりで叫んだ。
傷が痛むのか、僅かに顔をしかめる。

「っ!・・・笑えっ・・・半端な、同情など・・・」
「笑えるか、阿呆め。」

滝夜叉丸の肩を、痛まない程度に掴んで、三木ヱ門は言う。

「笑えないだろ。・・・お前、怪我してんのに・・・」
「三木ヱ門・・・?」
「何で、怪我してるお前見て笑えるってんだよ・・・阿呆め。」

滝夜叉丸は、驚いた顔をして三木ヱ門を凝視する。

「お前が、怪我しやがったって聞いて、・・・心臓、止まるかと思ったんだぞ。」

三木ヱ門は、そっと滝夜叉丸を抱きしめた。

「・・・笑わねえよ、誰も。お前は、人を一人助けたんだ。」

優しく言うと、滝夜叉丸は大人しく頷いた。

「・・・三木ヱ門・・・」
「・・・ん?」
「あ・・・ありがとう・・・」

消え入りそうな声で、滝夜叉丸が言った。
不覚にも、顔が熱くなる。

「や、そ、そりゃ・・・」
「?」
「おま、お前は俺のライバルだからな!お前が元気でなければ、俺と張り合える奴が居なくて退屈なんだ、だからっ・・・」
「そうか、・・・それは、すまなかったな。」

そう素直に言われれば、余計に恥ずかしくなる。
三木ヱ門は慌ただしく席を立ち、滝夜叉丸に背を向けた。

「だから早く治せよ!・・・俺はもう戻る。」
「・・・そうか。」

それでもやはり覇気のない声に、三木ヱ門は言う。

「お前を悪く言う奴が居たら、弓子で蹴散らしてやるから、安心しとけ。」
「・・・ふふっ・・・その時は奴ら、輪子との二重攻撃を受けるわけか。」
「ははは、そりゃすごいことになるな。」

やっと滝夜叉丸が笑うのを見て、三木ヱ門はほっと胸を撫で下ろした。
医務室から出ようと、扉に手をかける。

「時に、三木ヱ門。」
「ん?」
「貴様、寝込みの私に何をしようとしていた?」
「!!」

にやり、と嫌な笑いを浮かべて、滝夜叉丸は訊く。
コイツ、起きてやがった!と、三木ヱ門は再び赤面した。

「おまっ・・・あ、あれはっ・・・」
「アレは?何だったと?」
「あ、あれは・・・気の迷いだーっ!」

言うやいなや、三木ヱ門は医務室を飛び出す。
滝夜叉丸は、一瞬きょとんとして、やがて大笑いを始めた。

「あっはっはっは、奴め、一体どんな気の迷いだと言うんだ!」



やがて授業に復帰し、
周囲からの賞賛により前以上の自信を取り戻した滝夜叉丸に、
三木ヱ門がたじたじになってしまうのはまた、別の話。












あとがき

やっとの三木滝・・・

でも・・・よくわかんなくなっちゃった・・・orz

文字書きって、大変・・・

日本語ってむずかしい!

いつかリベンジしたい・・・なー・・・(遠い目)

[落乱]二人が二つだったから。(鉢雷)

「なぁ、雷蔵。」

三郎が呼びかける。
雷蔵はゆっくりとこちらに振り返った。

「どうした、三郎。」

同じ顔で、雷蔵は笑う。
三郎は雷蔵に手を伸ばした。

「どうして私たちは、ばらばらなんだろう。」

雷蔵は怪訝そうな顔をして訊く。

「どうして、そう思うの。僕たち、こんなにも一緒なのに。」

雷蔵も三郎に手を伸べる。
二人はまるで対称に動く鏡のようだ。

「そうだ。こんなにも一緒なのに・・・」

こんなに真似ても、
・・・どんなに真似ても。

「どうして私たちは、一つにはなれないんだろう・・・。」

三郎はゆっくりと雷蔵にキスをして、きつく、きつく抱きしめた。

「・・・ねぇ、三郎・・・。一つに、なりたかった?」

雷蔵も、三郎を優しく抱きしめ返す。

「うん。生まれた瞬間から、ずっと一つだったら良かったよ。」

三郎は少し悲しそうな顔をした。

「一つじゃない私たちには、いつか、別れの時が来る・・・。」

それを聞いて、雷蔵も少し悲しい顔をして。
三郎と抱き合ったまま、畳に転がる。

「・・・うん、そうだね・・・」
「・・・好きだ、雷蔵・・・。離れたくはないよ。」

こんな風に三郎が、どうにもならないことに文句を言うのは随分久しぶりだ。

「僕も好き・・・三郎が好きだよ。」

二人きつく抱き合うけれど、やはり二人は二人なまま。
雷蔵は少し苦笑して、三郎を眺めた。

「だから、僕は三郎と別々に生まれてきてよかった。」

三郎は不思議そうな顔でこちらを見る。
あぁ、君は僕より立派なはずなのに、どうしてそんな幼い顔をするのか。

「そうじゃないと、僕は三郎に出会えなかったから。」

そう言って笑いかければ、驚いた表情が帰ってきた。

「三郎に出会えて、よかったよ。」
「・・・お前は時に、すごく前向きな物の見方をするな・・・。」

三郎が言うと雷蔵は、すごいだろ、と微笑む。
可愛らしいな、と三郎も笑う。

「三郎に出会えてよかった。三郎を愛せてよかったし、愛し合えて幸せだよ。」
「・・・まぁ、出会うことも、愛し合うことも、一人じゃできないからな・・・。」
「うん。だから、よかったんだと僕は思うの。」

そうだな、と言うものの、やはり不満ではある。
雷蔵に合ってから、独りになるのが嫌になった。

「それでも・・・」

まだ何か言おうとした三郎の唇に、雷蔵の唇が重なった。

「・・・僕ら、二つのものだけど・・・今だけ一つになっちゃおうか。」
「・・・お前にしては珍しく大胆だな。」

愛らしく小首を傾げる雷蔵に、思わず頬が緩んで。

「うん、そうだな・・・」
「何?」
「もし元から一つだったら、こんなことをする機会もなかったのだから・・・二人でもよかったのかもな。」

言えば、雷蔵はからかうように大きく笑った。

「三郎ってば、ゲンキン過ぎだよっ!」

二人はもう一度キスをする。

壁に伸びた影は、確かに一つになっていた。










★あとがき★
うぉぉあぶねぇ!危うくあーるになるとこだった!
ってか鈴本は乱きり・三木滝派なのに、何で初が鉢雷・・・orz

次回がんば・・・(そればっか!

[復活!]笑え(山ヒバ)

「雲雀さん!」

廊下で草食動物に呼び止められた。

群れるのは嫌なので、距離を開けたまま答える。

「何か用?」
「あの・・・ケンカでもしましたか・・・?山本と・・・」

おずおずと話す草食動物。
・・・何の話なのかよくわからない。

「?・・・喧嘩なら爆発物の彼の方に聞くべきなんじゃない?」
「へっ・・・あ、いや獄寺くんと喧嘩したのとは違って・・・えーと・・・」

返したら、次は何やら口ごもっている。

「・・・山本・・・彼がどうかしたのかい?」

僕が訊くと、草食動物は心配そうに話し始めた。

山本武が最近笑わないらしい。

いや、
正確には、前のように笑わなくなっただけだが。

「ふぅん・・・珍しいね・・・。」

僕は正直な感想を述べた。


* * * * *


がら、と応接室のドアが開く。
来客の顔を見て、雲雀は皮肉気に言った。

「ワォ、珍しいね。部活動時間内にココに来るなんて。」
「・・・いいだろ、たまには新鮮で。」

そんな雲雀に笑いかけ、来客・・・山本は対面のソファーに座る。
そのまま静かに溜め息を吐いた。

「何?その溜め息。」

いつもここに来るときは鬱陶しいくらい元気なのに。
そう言うと、山本は困ったように笑う。

「ヒデェ、鬱陶しいって・・・」

確かに、いつもの快活さは見られない。
やがて、部屋に沈黙が降りた。

(確かに、珍しく静かだね・・・)

目の前に座る山本は、深刻な顔をして黙り込んでいる。

(・・・静かなのはいいことだ。)

いつもの様に好きだの愛だのをずっと語られるよりは、きっといいこと。

沈黙の降りた室内は、雲雀が書類をめくる音と、山本のため息が時折聞こえるだけとなった。

「・・・はぁ・・・」
(12回目、だね。)

山本にしては珍しい。
こんな溜め息も、長い沈黙も。

(確かに、様子はおかしいね・・・)

草食動物の言うとおりだ。
雲雀は書類透かしに山本を見る。

(・・・彼がこのままだと、きっと草食動物はまた僕に訊くんだろう。「ケンカしましたか」ってさ。)

・・・ワォ、鬱陶しいね、毎日訊かれるなんて。
雲雀は内心で愚痴た。

「今日は妙に静かだね?どうかした?」
「・・・ん!?あ、いや・・・何でもない。」

・・・明らかにぼーっとしてたくせに。
雲雀は、そう?と返して書類に再び目を落とした。

(・・・毎日訊かれるのは、癪に障るよね。)

雲雀は思い、書類をテーブルに置いた。

(笑わせる、ってことは、相手を喜ばせればいい・・・んだよね?)

ゆっくりとソファーから腰を上げる。
山本はぼーっとしたまま。

「山本 武。」
「・・・ん?・・・」

名前を呼ぶと、いつもより遅れて山本は振り向いた。
その頬に、そっとキスを落とす。

「・・・えっ・・・えぇえ!?」

山本は、急な出来事に慌てふためいた。

「君は、僕のことが好きなんでしょ?」
「ぇあ、・・・あ、あぁ。」
「じゃあ嬉しいよね、僕からキスされたら。」

雲雀は、不敵な微笑を浮かべて言う。
山本が面食らったような顔をした。

「笑いなよ。」
「?」
「君がそんな顔じゃ、草食動物達が心配して群れるてしまう・・・調子、狂うんだよ。」

山本は、やはりきょとんとしていて笑わない。
・・・これじゃダメだったのかな。
雲雀が次の作戦を考えようとした時。
山本が口を開いた。

「えっと・・・」
「何?」
「唇がいいな。」
「は?」
「今のキス。」

そう言って、にかっ、と笑う。
今度は雲雀がきょとんとした。

「だって、雲雀からしてくれるなんて滅多にねーし・・・」

言いながら笑う顔は、もういつも通り。
雲雀はトンファーを構えて呟く。

「咬み殺されたいの?」
「ははは、やっぱガード固ぇなー!」

そう言って笑う山本。
もうこれ以上構ってられるか、と雲雀は時計を見た。

「・・・あぁ、もう部活の終わりの時間だね。」

早々に鞄を持つ雲雀。
山本は慌てて自分の鞄を持った。

「なんだよ、もう少し・・・」
「僕は忙しいんだ。」

心配して損した気分だよ。
呟いて、ふと思う。
ん?心配した?
僕が?この野球バカを?
まさか。
雲雀は振り返る。
山本は、にぱっ、と笑った。

「キスしてくれんの?」
「・・・バカ。」

うん、言葉のあや、って奴だね。
ワォ、日本語って難しい。
雲雀は、うん、と頷いて歩き出した。
その隣を、山本が歩く。

夕暮れの廊下に、2つの影がどこまでも長く伸びていた。













★あとがき★
長っ!長いよちくしょぉ!
話が延びてしまった・・・
てか自分ザンスク派なのにカプ初作は山ヒバ(ヒバ山?)かよ!

ブランクが響いてるなぁ・・・
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