じいちゃんばあちゃんと犬猫が死んで、
そうしたら漸く「私の番」が来るのかと少しだけ思う。
けどきっとその時が来たらあの人は「私の番」だと言って一人でどこかへ行ってしまうんだろう
あの人は「手のかかるもの」が好きだ。
犬猫に始まり魚とか、着物、日本人形。
しかし手は行き届かない
お金と時間が足りないからだ。
ずっと私の価値は犬よりも下だと思っていたけれど、考えてみれば犬と同程度の価値はあったのかも知れない。
餌と水をやって散歩に行く。
それだけ。それだけだ。
犬は撫でられることはない
あの人はそういったことには興味がない。
同じなんじゃないか。
衣食住を与え、それだけで十分だと思っている。
だとしたらあの人のもとに生まれた時点で、私が欲しかったものなんて一生手に入らないことは決まっていたんだ。
いやでも、犬には「飼った責任」というものがあるそうなのでやっぱり私の価値は犬よりは下なのかも。
私を生んだ責任は、時間の経過と共に無くなるようだから。