19Hzの音は人間に聴こえない音として知られている。
人間が感知できる音は20Hz〜20000Hzと言われており、ギリギリ19Hzは聴こえない音というわけだ。
しかし耳で聴き取れなくても、脳は認識し、19Hzの音をキャッチしている。
2015-6-28 13:53
自分以外、誰も居なくなっていた。
誰か居ないか街中を探し回ってみたが、喧騒の無くなった街には見る者が居ない街頭スクリーンから流れる音声と歩行者用信号機の音楽のみが響いている。
無人の建物から煌々と漏れる光。
点滅を繰り返す利用者が居ない信号機。
誰も居ない地上を照らす街灯。
電気はまだ生きているようだが、それを利用する人間は誰一人として見付からず、発電所を管理する者も居ないとなれば近い内に消えてしまうのだろう。
ああ、世界から人間が消えてしまったのだろうか?
それともこの国からだけ?
いや、もしかしたらこの街からだけ人間が消えてしまったのかも知れない。
ひょっとしたら違う所なら誰か居るかも知れない…そんな僅かな可能性に掛け、道路に転がっていた主の居ないバイクに乗ると無人の街を疾走した。
途中でバイクの燃料が無くなり走行不能になると、違うバイクに乗り換えて誰かと出会えるまでひたすら走り続けた。
空腹になれば無人の商店から食料を持ち出して腹を満たし、自然から何かしらの洗礼を受ければ主人の居ない家屋を間借りした。
そうして別の街に辿り着いては誰も居ない事を嘆いて、次の街にはきっと誰か居る筈と根拠の無い希望を見出だし走り続ける。
そうしていないと孤独に押し潰されてしまいそうだった。
ふと気付くと宙を漂っていた。
何が起こったのか分からず、ただ空の上から地上を見下ろしていると身体がどんどん上昇していき、最終的には宇宙から地球を見下ろしていた。
人工衛星や、それ以外の浮遊物も多く視界に入ったが、今までテレビの映像でしか見た事がない真っ青に輝く故郷を暫く眺め、綺麗だな…そう思いながら安堵の中、目を閉じた。
もう孤独ではないのだ。
周りには自分と同じように大勢の人間が漂っているのだから。
2015-6-19 13:33
四月から東北歴史博物館にて開催している医は仁術展に行ってきた。
この仁術展では、江戸時代に日本独自の発展を遂げた医術について当時の書物や巻物、道具等の展示物を通して、その発展を見ていく事が出来る。
展示物はどれも興味深かったが、特に木で作られた精巧な骨格標本や生き人形(精巧な人形で人体模型のように人体模型のように内部が作られている)、腑分け図等は当時の人々が医術や人体について学び、如何に興味を持っていたかが伺い知る事が出来るものだった。
因みにこれに関連するエピソードで、解剖書を目にしたとある医者が夜な夜な刑場に忍び込み、そこらに散らばる骨を拾い集めては自宅でひっそりと研究していていたと云うものがある。
他にも『大宅太郎光国妖怪退治之図』を始めとした浮世絵が数点展示されていたが、中でも骸骨描いたものは骨の形や数が正確に描かれており、解体新書以降に一般に広まった解剖図を参考にしたものとされている。
また此処では世界初公開とされる『杉田玄白の直筆の漢詩』『日本最古の解剖原図』も展示されており、滅多に目にする事が出来ない貴重な資料を硝子越しに見る事が出来た。
見るのは今日が最初で最後になるかも知れないので、自分の中では貴重な経験だと云える。
展示の後半は現代の医についての展示があり、ヒトiPS細胞の固定標本の他、肺癌や心筋梗塞、脳梗塞を模型で見る事が出来、改めて病気の恐ろしさを再認識した。
また此方には3Dプリンターで作られた臓器モデルに触れる事が出来る。
心臓のモデルの触り心地が弾力のある柔らかさで最高だった為、つい揉みしだいてしまったのは此処だけの話。
更に仁術展では鉄拳が製作したオリジナルパラパラ漫画が上映されており、内容は受け継がれていく仁と医者である母親とその娘の物語で、割りと良い話だったと思う。と云うかちょっと涙腺が緩んだ。
展示場を出ると仁術展関連のグッズがお土産として売られており、大腿骨のペンスタンド(重い)や第三頚椎のペンスタンド等の骨グッズや、『腹八分目』『親孝行』『酒は微酔 花は半開』と書かれた湯飲みやTシャツ等のユニークなグッズもあった。
因みに、がしゃ髑髏と云う妖怪が描かれた手拭いを買うか買わないかで散々悩んだ挙句、それを買わずに元々買う気だった飴だけを購入したが、今になって手拭いも買えば良かったと後悔している。
2015-6-13 22:19
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