あと10年開発、承認が早かったら

あと10年、お父さんの発症が遅かったら、

たぶん隣にまだお父さんがいて、

GとMMとYで色々できたのに。

認知症なんて年取れば

ほぼ誰でもなってしまうけど、

若年性だけは、本当に悔しくて、

憎くて、

この世から無くなればいい病気だ。

これから一人でも多くの

若年性アルツハイマーの患者に

薬が提供できますように。

とか思いつつも、

どうしてY達の時代にはなかったの…。

と苦しい気持ちも正直いっぱいある。





たまに考える、

お父さんは若年性

父方祖母は老人性。

確率的にきっと

Yはアルツハイマーになる可能性は高い。

それが父と同じ若年性だとしたら。

父のように最期まで生きられるだろうか

日々記憶を失う中で、家族のために

生き抜けられるだろうか。




とっくに動かない体

針も刺さらなくなった細い血管、腕、

食事や飲み物の取る本能は忘れたものの

毎日入る胃ろうからの食事。

Y達が決断した延命治療は

果たして正解だったのか。

もしかして生き地獄だったかもしれない。

いま冷静に振り替えると

自然のまま逝かしてあげればよかったと。

そう思う目安がいくらでも見当たる。

けど当時は

1日でも長く生きて欲しいと。

それだけしか考えることができなかった。

家族のエゴとしかいえない

延命治療かもしれなかった。

MMの誕生日まで命の炎を燃やし続けていた父は

どんな気持ちだったのか。

アルツハイマーだから記憶力や思考力は0。

と思いつつも

そうではなく、最期まで

父には人間力が宿っていたのかもしれない。

どうして気づけなかった、当時のY。





もうYも父のことを忘れつつある。

顔、体、あの優しさ。

でも時々ふと思いだし、

思い出すとき必ず涙が出てくる。

後悔と寂しさと悲しさと全部がまざったヤツ。

それでもYはなにもない日々を

生きていかないといけなくて。





なにを言いたいかといえば、

エーザイ、その勢いで

タイムマシーンとか開発してくれん?

なんてな。