そして迎えた、ハロウィン祭当日。
桜庭市に設営された共用更衣室を前に、
2人は男性用と女性用の更衣室に向かった。

「…………それにしてもギランボ(仮)か………。
ホントに何を考えているんだろうね。」
「そうですね………ウルトラマンティガに出てくる、ギランボは子供の夢を食らう怪人でしたから。」
「…………今まで他の都市で誘拐された子供達はハロウィンが終わってから、帰ってきたんだよね?」
「ええ。ただ、半々の確率で記憶障害を抱えていたりとかしているので………。
犯人逮捕にはいたっていないそうなんです。」

「………そんな。」

「とにかく、お嬢様も1人歩きはよしてくださいね?
若旦那様みたいに、喚き散らすのはもっとよくないです。」
「うぐ…………。」

物吉に念を押されて、満月は言葉に詰まった。
「そんなに心配?」
「はい。お嬢様は綿貫家に嫁ぐ身ですし、何かありましたら綾人様達に叱られてしまいます。」
「…………まあ、物吉もお兄様達も心配症だからなぁ………。」

「……はい、着替えが終わりましたよ。お嬢様。」

物吉の手伝いもあり、満月は堀川国広に扮することにした。
「よし、これでOK。頑張って縫った甲斐があった。」
「そうですね。旦那様の分も縫っていらっしゃいましたから。」
「あはは………。」



「…………満月ちゃん、良く似合っているね。」
「芳樹さんも、似合っていますよ〜………!」

「わ、嘘、綿貫芳樹さんと姫宮満月ちゃん!?」
「和泉守兼定と堀川国広に扮するなんて聞いていないよ!」

ハロウィン祭に参加する予定の参加者達は、芳樹と満月の仮装に吃驚していた。

「あー、カッコいいと可愛いの組み合わせが尊い………!!」
「一緒に写真撮影をしたい…………。」
「有料でもいいから、写真撮らせてくれないかな…………。」
「馬鹿言わないでよ、そんなことができたら誰だって苦労しないわよ………。」


「……結構盛り上がっていますな。」


一期一振の言葉に芳樹はうん、と頷いた。

「さて、それじゃあ街を歩くとしますか。」
「………あ、でもその前に智仁様と綾子お義姉様と合流しないと…………。」



続く。