俳優の玉木宏主演で、芥川賞受賞作家・羽田圭介氏の小説介[盗まれた顔;幻冬舎文庫]が連続ドラマ化されることが発表された。『連続ドラマW 盗まれた顔〜ミアタリ捜査班〜』として、WOWOWプライムで2019年1月放送予定(全5話、第1話無料放送)。
警視庁捜査共助課に勤める白戸崇正(40)は顔だけを頼りに、潜伏する指名手配犯を捕まえる“見当たり捜査員”。部下たちと共に繁華街を行き交う群衆を見つめ、脳に刻んだホシの顔を探し続ける日々。そんなある日、白戸は群衆の中に「見つかるはずのない顔」を見てしまう。4年前に謎の死を遂げた先輩刑事・須波。見間違いだと否定しようとした矢先、白戸は須波にまつわる不可解なうわさを耳にする。事件について調べるうち、公安や中国マフィアが動きだし、白戸はいつしか命をも狙われることになる…。
同ドラマは、指名手配犯たちの顔をひたすら脳に焼き付け、雑踏の中から見つける“見当たり捜査員”が主人公のサスペンス・アクション。連続ドラマW作品初出演にして初主演の玉木宏が演じる白戸崇正は、3000人の指名手配犯の顔を記憶し、数万もの“顔”が行き交う雑踏で、いつ現れるとも知れない手配犯を探す。“膨大な顔の海”に溺れそうになりながらも研ぎ澄まされた五感を頼りに捜査に没頭し、いつしか警察機構の深い闇に辿りついてしまう。
原作は、2015年に[スクラップ・アンド・ビルド]で第153回芥川賞を受賞し、一躍時代の寵児となり、独特の感性で“現代”を切り取ってきた羽田氏の唯一の警察小説。羽田作品の連続ドラマ化は初となる([スクラップ・アンド・ビルド]はNHKで16年12月に単発ドラマとして放送された)。
脚本は足立紳氏が執筆、監督は武正晴氏、映画[百円の恋]で、第39回日本アカデミー賞を席巻した監督&脚本コンビが務め、YouTubeでは本作の特報映像が公開中だ。さらに、玉木サン扮する見当たり捜査員・白戸崇正が、指名手配犯の顔を記憶する様子や、都会でジッと犯人を捜す姿が捉えられた特報映像も公開されている。
酷暑の中、7月上旬から都内近郊や横浜中華街などで熱い演技を披露し、8月末にクランクアップした。原作の羽田氏は8月中旬に現場訪問し、玉木サンと対面した。
▽玉木宏コメント
・『盗まれた顔』の魅力
この作品は「見当たり捜査」という変わった捜査手法を題材としていますが、ある「顔」を見つけてしまったことがきっかけとなり、そこから芋づる式に色々なものがつながってしまうという、事件性の怖さが詰まった作品です。誰かを追っていると思っていたらいつのまにか自分が追われている立場にいる......。そんな緊張感に満ちた、今までにない刑事ドラマになるのではないかと思います。
・白戸崇正の人物像
人の顔を覚える相貌識別能力の高さを評価されて“見当たり捜査員”になった男です。
彼は業務に対して真摯に向き合うのですが、その分どんどん神経をすり減らし、自分の身を削ることになる。
そういう意味では、誰もが白戸のようになり得る、普通の感覚を持った人間だと思います。
身を削りながら仕事をしている一方で、付き合っている女性を大事にしたいと思う気持ちもあり、その葛藤がままならない感じが、非常に人間らしいと感じています。
・「見当たり捜査」についての感想
人の顔は変わるものですが、手配写真から何年も経過していても、彼らは経年した顔の変化を想像して見つけることができます。実際にそうやって検挙されている実績もあるので、本当にすごい仕事だと思います。
▽原作・羽田圭介コメント
当初、推理とはかけ離れた“見当たり捜査”という、アナログな力業の性質が、起承転結に重きを置く映像作品とは親和性が低いのではないかと思っていました。しかしだからこそ、どんなものが出来上がるのかとても興味深く、楽しみにしています。
玉木さんは自分が高校生だった頃に映画で見てとても印象的な役者さんだったので、今回白戸を演じられるというのは感慨深いです(自分がイメージするもう少し野暮ったい白戸像からすると、いささか格好良すぎる気もしますが)。
視聴者の皆さんには、ぜひドラマをご覧頂き、そして原作本も買っていただければ、と思います。
▽武正晴監督コメント
本作は、見当たり捜査というまこと奇妙な仕事を職能とする主人公の物語である。まてよ、映画監督という職業も人の顔を見続けるという商売と重なるではないか。「孤独者とは良き観察者になり得る」とは、ある映画の名台詞ではあるが、僕はこの顔を盗み、読む、見当たり捜査員たちの職能の孤独性に共感したのだ。
玉木宏さんは、今回白戸という役の、喜怒哀楽だけでははかれない様々な感情や孤独、哀愁を見事体現された。孤高の主人公、白戸が仲間達と苦難をどうくぐり抜け、どのような宝を手に入れるのか、視聴者の皆さんには息を潜めて見届けて頂きたい。