ドラマ、映画など数多くの話題作で活躍する女優・石原さとみが、4年ぶりに舞台出演。[博士の愛した数式]などで知られる芥川賞作家・小川洋子の94年に発表された長編小説『密やかな結晶』を舞台化し、石原サンは主人公の小説家を演じる。

物や人々の物にまつわる記憶が消滅していく島を舞台に、小説家の「わたし」と、「わたし」が幼いころから彼女の世話をしている「おじいさん」、「わたし」の担当編集者で、島では少数の記憶が消滅しない人「記憶保持者」であるR氏の3人の関係と、島の秩序を維持するために記憶保持者の摘発を行なう秘密警察を中心とした物語が描かれる。 わたしに島で平和に暮らして欲しいと願うおじいさんと、わたしに人間本来の記憶を取り戻してほしいと願うR氏が、それぞれの正義感でわたしを正しい方向へ導いていく。

近年、ドラマや映画を中心に活躍する石原サンにとって13年末の[ピグマリオン]以来の4年ぶりの舞台出演となる本作は、日常が“消滅”していく島を描いた小川洋子の長編小説[密やかな結晶]が原作。脚本・演出を[焼肉ドラゴン]で知られる鄭義信が手がけ、秘密警察による「記憶狩り」から、想いを寄せるR氏を守ろうとする島に住む小説家の主人公の「わたし」役を演じるのは、石原さとみ。20歳前後の容姿を保ったままのおじいさんを村上虹郎、「わたし」を愛すると同時に「わたし」たちの記憶も留めようと抗う小説家の編集者・R氏を鈴木浩介がそれぞれ演じる。村上虹郎、鈴木浩介との不思議な三角関係も見所の一つ。

また共演には秘密警察のトップ役を山内圭哉、藤原季節、山田ジェームス武、福山康平、風間由次郎、ベンガル、大阪出身の劇団子供鉅人の益山寛司キキ花香ら実力俳優陣が名を連ねる。

また虹郎君は石原サンとの初共演について「石原さんはぼくにとっては小さい時からいつも画面の向こう側にいてキラキラしてる存在です。舞台でご一緒できるのは楽しみです」とコメントしている。


▽石原さとみコメント
ここ何年もずっと舞台への思いを強く持っていたので、4年ぶりに舞台に立たせて頂けることを心から嬉しく思います!
実は今回の「密やかな結晶」は、原作を読み、是非これを舞台化して演じてみたいと思い、お願いした作品です。
ですので、特に思い入れが強く、今はただ実現していく高揚感に浸っています。
記憶が消えてしまう恐怖と悲しいくらいの柔軟性、そして大切な人を守る事で抱く忘れたくない感情を、舞台上でどう感じられるのか今から楽しみで仕方ありません。
演出の鄭さんは、「焼肉ドラゴン」や「ぼくに炎の戦車を」など、作品を観客として観る度に圧倒されていました。いつか鄭さん演出の舞台に出演したいと願っていたので、今回ご一緒できることになり心から感謝の気持ちでいっぱいです。
村上虹郎さん、鈴木浩介さんはじめ、共演者の皆さんとともに早く稽古に入りたいです!
出演を願ってやまなかった舞台、新年明けて2月に本番です!
心から楽しみにしています!
どうか皆さん、ぜひ舞台「密やかな結晶」に足をお運びください!!

▽鄭義信コメント
あらゆるものを表層的に消化していくことが当たり前となった今だからこそ、演劇として上演する意義がこの作品にはあると思います。
辛いことや悲しいこと、様々な記憶を抱えて生きていく人間を、人間の営みを愛おしく思える演劇作品になると確信しています。
原作から戯曲にする段階で、いくつかの設定上の変更を考えていますが、設定は変えても、小川先生が小説に込められた思いを大切に、そのスピリットを変えることなく戯曲化するつもりです。


チケットの一般前売りは11/25にスタート。東京公演は池袋の東京芸術劇場 プレイハウスで2018年2/2から2/25まで。なお本作は東京のほか、2018年3月に富山、大阪、福岡でも上演予定だ。