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舞い散る夢を望む、(NARUTO)





※ナルト数年後をめっちゃ捏造(常に妄想!)
死にネタごろごろ、ナルサスはハッピーエンドじゃなきゃ許せない方は回れ右
あと妄想なんで現実じゃないんでと言い聞かせる





















01.



お前は死ぬな、と言われたのは二度目だ

一度目は  幼い頃

二度目は  もう二度と手放すまいと決意した矢先に





サスケは 死んだ
残ったのは  この  刀だけ






「あー…朝日が見えるってばよー…」
「あらあんた、まだ終わってなかったの?」
「サクラちゃーん…」

連日連夜、事務事務事務。
火影になったばかりのナルトに、それはあまりにも厳しすぎた。
元々書類仕事よりも現場に立って暴れていた人材だ。
一日中デスクに向かって書類に眼を通し、任務を振り分けていく。
もう綱手も自来也も、いない。
残された若い人材で木の葉を支えていくしかない。
九尾を抱える火影は、決して古参に歓迎された訳ではない。
それでも、もう、このメンバーで木の葉を支えなければ、自分達の故郷が、消える。
若すぎる彼らには重い現実、だが、生き延びる為ならば。
忍の世界が、犠牲の上に成り立っているならば。
その犠牲の上に立ち、築き上げていかなければ存続はあり得ないのならば。


「朝ごはんぐらい食べなさいよね」
「もう動けないってばよー…」
「作ってきたわよ」
「サクラちゃんがァ!?」
「……何よ、その反応」


忍には死が付いて回る。
仲間の死、上司の死、部下の死、上に立つ者の死。
それらを乗り越えて、それでも生きていかねばならない世界。
アスマを失った時の、10班の哀しみは、7班も同じく味わった。
伝説の三忍の1人が欠けた後、後を追う様に二人とも死んだ。
だからこそシカマルは紅の子を何としてでも守り抜く、と誓った。
だからサクラは、今度は師の遺志を継ぐと、誓った。
シズネは、師匠の代わりにはなれないけれど出来る事なら、と事務の傍ら戦線にも復帰している。
サイは、失うモノの多さに打ちのめされる仲間に、少しでも笑って欲しいと、願うようになった。

ナルトは、追い続けてきた人を、目の前で、失った。
師を二人も失った上に、「やっと出来た繋がり」すら失った。
どんな事があっても、手繰り寄せてやると言い切った繋がりが、残酷な形で、途切れた。


「いやぁだってサクラちゃんがご飯って…えぇー」
「何よ、食べられないとでも言うつもり?」
「だって変な色してるってばよ…」
「そんなに嫌ならいいのよ、食べなくて」
「食べますよう食べるってばよう……ぐほォッ」
「あら、面白い顔してるじゃない」
「ぐ……」


伝説の三忍は伝説となった。
木の葉を代表する上忍も多く失った。
砂の里も、色々なモノを失った。
世界は、壊れかけている。


「サクラちゃん、これ何入れたってばよ…?」
「病院食だけど」
「入院してる人にこれ食わせたら死ぬと思う…」
「失礼ねー、ちゃんと分量見て作りましたー」
「む…まぁ病院食ってこんなモンなんかなァ…」
「あんたラーメンばっか食べてるから味覚がおかしくなってるのよ」


これからもナルトもサクラも、失い続けていくのだろう。
それでも、生きる事を諦めたりは、しない。
様々な犠牲の上に築き上げた木の葉を、守る為に。
残された哀しみを押し殺して、遺志を遂げる為に。


「…とりあえず一旦寝るってばよ」
「あ、私ネジさんに用があるんだけど、ネジさん任務?」
「んあ?ネジなら待機…だったと思うけど」
「そう、ありがと。あんたもしっかり休みなさいよー」
「おーう…一応メシ、ありがと」
「一応って何よ」


笑って手を振るサクラだって、いつまでいるか解らない。
あの時はチヨバアが居たから助かった。だが、次は?
ネジだってリーだってキバだっていのだってヒナタだって


それでも




「…いい天気だなァ…」




見上げた朝日は眩しくて

血まみれの里にもボロボロの里にも裕福な里にも同じように射す光

どれだけ失おうと奪われようと奪おうと変わらず世界があるのならば


眠る時は、この朝日を受けて光る刀を共に







言い訳:友人がしきりにNARUTOはバットエンドだよ、と言うモンだから妄想が暴走しましてアスマや自来也に死亡フラグが立った時点でその他の仲間も死ぬ可能性があるんじゃないかと考えたらまぁ泣けてきて書き殴って読み返してまた鬱なんですけど←忙しいな(っていうのを2008年頃書いたのをそのまま上げてますいえすリサイクル)

アスマ以外にカカシ、綱手もお亡くなりになりそうで怖いんだ…!
うちは一族滅亡が一番怖いんですけどね。兄貴とマダラは兎も角、サス(あっ指が入力を拒否してる)
忍大戦が終わった後には火影にはナルト、補佐はサクラ、同期のメンバーが中心に木の葉を支えてます的な。
もうナルトより上の世代が殆ど残ってなくてサスケもいなくていやそんな時代ぎゃァアアア

なんて事があったら私は真剣に泣き叫ぶのでこれは妄想ですえぇ妄想ですとも
ナルサスには幸せな未来が待って…うわあああああ(;´д⊂)
















2.↑の数年後 相変わらず死亡しまくり









「ナルト、あんたは生きなさい」

二度と聞きたくない言葉を、また言われた

「あんたは火影なのよ…それに、サスケ君にだって言われたんでしょ…」

チヨバアの秘術を、密かに解明していたサクラの取った手段は、目覚めたナルトを絶望させた。

「いい事、私はただの上忍であんたは火影なの。意味は解るでしょ?」

もう二度とサクラは戦線に立てない。共に戦う事も無い。
それどころか、あと何日持つのかも解らない。
最も木の葉で医療に長けていた綱手は死に、サクラもまた後を追おうとしてる。
シズネは今、里にいない。

「…ねぇ、私もサスケ君もあんたには笑ってて欲しいのよ。死なないで欲しいのよ」
「…俺は、」
「勝手かもしれないわね、でもそれでも」

生きて、と掠れた声で呟いて、サクラは、






「―――ッ」
「あら、起きた?」

飛び起きて、あぁ今のは夢か、と認識して、安堵した。
火影の部屋。自分は今机に突っ伏して寝ていた。
窓際に、呆れたようで、それで居ていつも小言を言いながらもナルトの面倒を見ていたサクラが立っている。広い机には、サスケが腰掛けて、綺麗に笑っていた。


「顔色悪いわよ。ちゃんと寝てるの?ご飯食べてる?」
「…サクラ、ちゃん…」
「言ったでしょ、私もサスケ君も、あんたには生きてて欲しいのよ」
「それがどれだけ残酷でも…それでも、お前は、生きろ」
「サスケ…」


ざぁっと風が吹き込んで、桜が舞い散った。
部屋に残っていた残留思念を吹き払うように。


「……生きろ、か…」


怪我では死なない。
寿命も九尾を抱えた身は、人間の比ではない。
それでも、子供の頃から追い続けた残酷な夢を叶えた今は、どれ程残酷だと思っても、生きなければならない。
もう、かつての仲間では生き残っている人数の方が少ない。
数年前に起きた事も、それ以前に起きた事も、火影になったばかりの頃も、中忍になった頃の事も、木の葉を離れて修行をしていた頃の事も、下忍の頃の事も、未だに夢を見る。
夢を見る度に、サクラに、サスケに、カカシに、肩を叩かれる。


「…しっかりしなきゃってばよ…」


それでも、何年経っても、綱手が言っていたように涙は枯れない想いは朽ちない

見上げた空は、やはり蒼い









言い訳2:ナルティメットアクセル2をやっていて、サクラとチヨバアのコンビ技見てたらですよ。
チヨバアも医療忍者として転生術(蘇生術だっけ確かそんなん)を作っていたら、頭のいいサクラならそれを解明出来るかも→ 解明出来ちゃって、もしナルトが死に掛けて今までの医療忍術と九尾の力だけじゃどうにもならなくなっちゃったら→ 禁術でも何でも使わなきゃ、って状況になったら上忍のサクラと火影のナルト、嫌な話天秤で量ったらナルトの方に傾く訳で→ サクラが命と引き換えにナルトを(以下描写拒否)

※そんな事になったら更に私は泣くぞ、と己に突っ込みながらお送りしております

まぁ、サスケがもしお亡(略)なった時点で私は涙で前が見えないと思うんですがね。



(2008.1.5再録)

永遠を誓うならば其れは、(NARUTO/NS)






※本誌の流れがアレでそれなのに敢えてKYにサスケとナルトは木の葉でらぶらぶ
(いえす現実逃避!きらっ)
うちは一家は弟が心配で心配で仕方が無い

※いつも通り頭悪い







真夜中、さーて寝ようかなーと風呂上りの景気づけに牛乳を煽るナルトの耳に、通常ならばまず聞けないようなサスケの悲鳴が届いた。




うごぁぁぁ!?
「なっ何だってばよサスケェ!?」

寝室のドアを蹴り破り、ベッドにへたり込んでいるサスケの肩を掴む。
サスケの目はナルトを捉えていない、窓の外を凝視し、冷や汗をかいている。
尋常ならざるその表情に、ナルトも自然と臨戦態勢へと移ろうとして――サスケの言葉にすぐさま床で土下座をした。

「今兄貴と母さんと父さんが窓の外にィー!!」
「なんだって!?お父様、サスケを俺にくださいってばよ!
「あぁぁぁ幽霊に話掛けてんじゃねぇよしかも父さん怒ってんじゃねぇかあぁぁぁ

なにやら叫んでいるサスケもサスケだが、枕元に立った亡霊に結婚の許しを請うナルトもナルトだった。

「だって挨拶しなきゃってカカシ先生が、」
「だからって沸いて出た幽霊に話かけるか!?プロポーズするか!?」
「サスケは俺のモンごふっ!?」

サスケの見事なストレートがナルトを吹き飛ばし、サスケの恐怖心を更に加速させる。
夢に出ることはあっても現実で親と兄の霊を見るとは…サスケの混乱状態はピークに達しようとしていた。色々な意味で。

「ごめんなさい兄貴木の葉潰すとか言ってごめんなさい!二度と兄貴みたいな犠牲は出さないから枕元に立たないであああああああ」
「サスケがこんなに怖がるとは…思わず嫉妬して塩まいちゃったってばよ〜い!」
「人の家族に何さらす!?あぁぁ兄貴ごめんホントごめん…!」

マジで塩をまいたナルトをまたも吹き飛ばし、ひたすら兄に頭を下げる。
あの頃はもういっぱいいっぱいで、兄貴が守ろうとした木の葉を潰そうとしたのだ。
結局木の葉を共に立て直そう、と長い戦いの果てに和解したナルトと今頑張っているわけだが(子作りではないYO★)
それでもやはり後ろめたいというか何と言うか、兄には申し訳なかった。
兄も兄で、親を裏切っておきながらも護った弟は変な道に進むし挙句の果てには男と同棲してるし、あの世で親とかなりバトっていたのは弟の知る由もない。

「兄貴兄貴ってサスケはどんだけ兄貴が好きなんだよ!」
「兄貴とは色々あったんだよ!テメェにも話しただろ!」
「そーだけど!でも嫉妬しちゃうってば、よォ!!」
室内で螺旋丸ー!?てめ、人の家族に何やってんだコラァ!!」
「サスケが俺の事ほっとくからいけないのー!構って構ってくれってばよー!!」
「ウザい!!あぁあああ親父がどんどん怒った顔してるー!!」

幽霊に表情は無い、というのは間違いだ、と混乱した頭でサスケは思った。
それはもう父親は怒り狂った形相で、ミコトに踏みつけられている…あれ、幽霊って足あったの?(疑問)
兄貴はといえば、無表情でクナイを振り上げ――躊躇いも無くナルトに向けて放った。
クナイといっても、用は現実にサスケ達が用いる刃を模したチャクラの塊だ。
生前の癖というものは、抜けないらしい。ぼんやりとサスケは思う。
そんな事に意識が飛んでる間に、クナイもどきはナルトを直撃、ナルトは派手に吹っ飛んだ。

「ほぎゃらほえええ!?」
「あ」
「何、何だってばよ!?今の、何ー!?」
「に、兄さん…」
「何ィ!?てめ、自分で弟を頼むっつっときながらその旦那に何さらす!!うぉりゃー!」どんがらがしゃーん
「だっからテメェは何で室内で螺旋丸ー!?」ばちばちばちー
「そういうサスケも屋内で千鳥ー!!」

狭い部屋の中で、里でも二大奥義とされている術が炸裂した。
窓の外のうちは一家も臨戦態勢、木の葉のバカップルも臨戦態勢、何ですかこの図。
ミコトも、生前はフライ返し一つで強盗団を退治したとゆー伝説の調理器具を構える。上忍兼主婦は、強い。

「とにかく!サスケは俺がしっかり幸せにするってばよ!だからさっさと帰れー!!」
「帰れとか、酷ぇな…仮にも俺の家族なんだが」
「お前の家族は俺だろー!?」
「はいはい、お前もな」

段々冷静になってきたサスケは、ナルトの放つ術を悉く潰しに掛かった。
印を結ばせる前にサスケの手が出る足が出る。
さり気なく恥ずかしいセリフを叫ぶナルトを、これ以上家族の前で晒したくないとゆーのも本音だ。
あーそういやいつだったか、墓前できっちり誓ってくれた事もあったっけ…あれ最近?ぼんやりサスケの意識が漂う。
それでも何とかナルトを封じ込み、かつ兄の放つクナイを弾き返し、母のフライパンで父を殴り、中々カオスな現場となっている。
乱闘騒ぎは深夜の爆音によって駆けつけたサクラの鉄拳制裁によってあっさり幕を閉じた。






翌朝。
サクラと綱手の鉄拳制裁を食らった二人は、よろよろと自宅に戻った。
入院の勧めを断り、いのとネジに治療を頼み、傷は治ったが精神的にボロボロだった。
それでもナルトはぎゃぁぎゃぁ騒ぐ。

「何でサスケの父ちゃん達出てきたんだってばよ!?俺じゃダメですか!?そうなんですか!?」
「いや最後は何か偉い清々しい顔だったから認めたんじゃねーの?」
「俺は何が何でもサスケは手放さないからな!」
「…言ってろウスラトンカチ」
「ホントに、何があっても、手放さない、だから、」
「テメェはテメェの言葉は曲げないんだろ?」
「そうだってばよ!」
「ならいいじゃねぇか」
「…最近サスケは俺の事流すの得意になったよなぁ…」
「これだけ傍に居ればな」








一方、天国(曖昧概念)では

「しかしイタチよ…本当にあの小童にサスケを任せてよいのか」
「あぁ見えて彼は本当に強情というか駄々っ子というか…まぁ、宣言した事は実行します」
「お墓で誓ってくれた事は、信じていいのかしら」
「少なくとも俺は信じます。ナルト君は、サスケの事を、手放さなかった」
「そうよね、あなたが親を裏切ってまでして護った弟を信じてくれた子だものね
「………」
「ミナトの子だというからもう少し知的で落ち着いた子を想像していたのだが…やはりクシナの子だな」
「クシナちゃんに似て真っ直ぐなのはいい事じゃない」
「次に何か間違いがあったらその時はイタチ…解っているだろうな」
「えぇ、その時はまた父上を抹殺してでも弟を護りますから」
「……………」
「……………」
(どうしてこの親子は陰湿かしらねぇ…)










=============================
何をどうしてこんな話が出来上がった私(;´д⊂)

(2011.6.22)

おにぎり事件簿(NARUTO/NS)




多分上忍とかになってナルサス普通に二人暮らししてる前提






「違う…違うッ!!こんなんじゃない!!」
「………サスケェ?何してんだってばよ?」


任務を全うし、上機嫌で帰宅したナルトの目に入ったのは、台所で突っ伏すサスケだった。




「何故だ…この天才の俺でも見抜けない何かが…何があるというのか…!!」
「サスケー、ただいまー」
「写輪眼でも見抜けない?万華鏡写輪眼だぞ?バカな、そんなバカな…ッ!!」
「…サスケぇ…」

情けない声だとは自覚できる、それでもナルトは呟かずに居られなかった。
どれだけ機嫌が悪くても、ナルトの存在をここまで綺麗にシカトするという事は早々無い。
なのに今目の前にいるサスケは、ナルトの事などまるで見えていない。
ただただ台所の床に突っ伏し、自問を繰り返している。
…尋常じゃない。こんな深刻に落ちているサスケは、任務中ですら滅多に見る事はない。

「なーにやってんだってばよぅ……んあ?」

まだぶつぶつ言ってるサスケが何をしていたのか…台所に並ぶおにぎりが、何を語るというのか。
どれも見事な艶、形に揃っている。あのサスケが本気を出せば、全く同じおにぎりが並ぶ。
ただ、その数が尋常じゃない。
幾ら大食らいの男二人の家でも、ここまでの量のおにぎりは並ばない。
炊飯器の中身はあらかたおにぎりに化けている。
テーブルの端に、おにぎりの具に使ったおかかと昆布の煮物が小皿に乗っていた。
サスケの好物はおかかおにぎり。
それは里内で知る者は知り、知らない者は呆気に取られる。
おかかおにぎりを研究していたのか?それなら何故昆布が…?
別にこの家で昆布が使われない訳ではない。
ダシを取るのに、味噌汁に、色々使う。ただおにぎりの具に使われた事は一度も無い。
益々ナルトの思考がこんがらがる。まーだサスケはぶつぶつ言っている。

「…何が悪い…何が足りない何故ダメなんだ…えぇい諦めるなうちはサスケェ!!」ごちんッ
「うぉぅッ!?」
「ん?何だナルト、帰ってたのか」
「……サスケェ…これは…」

蹲ってぶつぶつ言っていたサスケが勢いよく立ち上がり、その石頭でナルトの顎を強打した――よくあるが、いざ体験するとあぁ笑っててすいませんみたいな、そんな心情、今のサスケにはどうでもいいらしい。
平然とした顔色で、今更ナルトに気付く。
ナルトは若干意識がぐらついていた…何故、サスケはノーダメなんだ。

「帰宅したら声を掛けろと何度言ったら解るんだ」
「声掛けたけどサスケがシカトしたんだってばよー」
「…まぁそんな事はどうでもいい。俺は忙しい。メシは適当に食ってくれ」
「適当って…このおにぎりの山は?」

テーブルに並ぶ白い山を指差す――その瞬間、サスケが阿修羅のような形相を呈した。
そしてそのスピードは忍で最も鋭いと謳われた拳が、ナルトの顎を再度打ち上げる。
「これがおにぎりと呼べるかァ!!」ガンッ
「ぐぉあッ!?」
「いいか、おにぎりっつーのは、シンプルに見えてあらゆる複雑な要素の上に成り立つモノであって、決して軽視していいものではないッ!!食物に求められる要素とは何か?味か?見た目か?満腹感か?色々あるな、総ての食べ物に総ての要素が要求される――――」

ナルトの意識がふらつく。遠のく。
サスケは何やら熱弁しているが、耳から耳へ流れている。
何故、今、殴られた…?

「――よってだ、今ここに並ぶこの米の塊に何が不足しているか?そうだ、その絶妙なるバランスだッ!!味、形、品質――それらが最高レベルだとしても、調和が取れないという事は先程も説明したな。この米の塊にはそれが足りない。かつてうちの母さんが作ったあのおにぎりのあのバランス、あれが何故再現出来ない?写輪眼を用いても何故見抜けない?俺は何を見落としている、何に気付いていない!?…聞いてるのかナルトォ!!
「ぱぎゃッ!?な、何か今日のサスケ変だってばよ…!!」

色々ごたごたがあって、まぁとりあえず里には帰ってきたサスケは、若干性格が変わっていた。
開き直ったといえばそれまでだが、物事に対する執着のベクトルが、なんというか…おかしい事になっていた。
生来の性格なのか、鷹だの蛇だのよく解らん事をやっていた為なのか。ナルトには解らない。
そして今日は輪に輪をかけておかしい。
何かに対してこうも熱く語る姿は…見た事があるようなないような。
まだ何か騒ぐサスケの話を要約すると、

「…要はサスケは、納得のいくおにぎりが作りたいと」
「――であるからしてッ!…何か言ったか?」
「だから、サスケはおにぎりを作りたいんだよな?」
「あぁ。お前話聞いてたか?
「聞いてねぇのはサスケだってばよ…ぬぁッ!?すいませんッ!!」

サスケの意思疎通手段の一つに、殴る蹴る、千鳥、果ては麒麟までもが含まれている事を失念すると、こういう事になる。
ナルトは三度顎を打ち上げられ、そろそろ辛くなってきた。顎、外れそう。
それにしてもサスケの様子はおかしすぎる。熱でもあるんじゃないだろうか…逆らったら、下手したら、怪我じゃ済まない。
「……何の話してたんだ…どこまで喋ったのか…あぁ畜生思い出せん!」
「おにぎりの話であります、サー!!」
「そうだ、おにぎりだ!あの味を再現するには何が足りない…俺は何を見落としている…何を!何が!?」
「さ、サスケさん…」

頭を抱えてがーがー言ってる…クールで強がり、という姿は完璧に吹き飛んでいる。やっぱり熱でもあるんだろうか。

「大体こんだけ綺麗に握れてんだから立派なおにぎりだってばよー?」

そう言っておにぎりの一つに手を伸ばす――スパァン!!

「ぎゃッ!?」
「こんな不完全な物体のどこがおにぎりだァ!!不完全な料理を食わせる等言語道断!!」
「サスケが作ってくれて食えるモンなら何でもいいんだってばよぅー、腹減ってるしィ」
「俺のプライドに関わる!!これを食らうとゆーならば形を崩せェー!!」がしゃー
「あー勿体ねー!!」

最早錯乱の域に達している…若干ナルトの背筋を、任務中の緊張感が這い上がる。
サスケは叫びながら手にした杓文字でおにぎりをすぱーんと斬る。…大丈夫ですか?
それでも腹は減ってるナルトは、おにぎりの欠片を口に放り込む。

「…普通に美味いけどなぁ…」
「違う…違う…何かが違う!何が!?塩加減か?握り具合か!?劣化した記憶を再現する事は不可能なのか…!」
「んー、こっちよりこっちの塩加減のが好みだってばよ…つーか全部具がおかかってすげぇよなぁ…」

また自問自答を始めたサスケを放置し、ナルトは次々とおにぎりを平らげる。
…そう言えば、サスケがおにぎりを作った姿を見るのは、初めてな気がする。
写輪眼を用いなくともサスケの料理の腕前は中々だ。レパートリーも豊富。
そのサスケが、今までおにぎりを作らなかった。その理由。

(…そういやサスケ、昔、おかかおにぎりで買収出来たっけ…)

まだ下忍の頃。下らない企みに巻き込む時、大抵はおかかおにぎりで釣れた。
二十歳を過ぎた今、少なくともナルトは、サスケがおにぎりを作っている姿を見た事が無い。あれ程好んでいたのに。
例え外出先でおにぎりを食べたとしても、…好物を食べた時の嬉しそうな顔ではなかった気がする。

(さっき…母さんのおにぎりがどうとか言ってたっけ…)

要はサスケは、所謂「母の味」を再現しようと奮闘していた、という事でいいのだろうか。
ナルトには母の味など解らない。
が、サスケは幼少期、両親と過ごしていた。
感傷的な日に思い出す事もあるだろう。
これが両親や兄の命日だとか、そういう日なら解る。
が、今はなんでもない、平日。
サスケがここまで家庭に固執するとは、何かがあったという事。

「サスケ?」
「………なんだ」

既にサスケは床に伸びていた。…伸びていた?
上忍二人の部屋があるマンションを、絶叫が劈いた。

「ぎゃーやっぱ熱ある!!なーんで黙ってるんだってばよ!?風邪人が何で料理に没頭してるんだってばよ!?何考えてんだってばよ!?」
「誰が風邪人だ!俺は至って健康だ!!」
「健康な人間の熱じゃねーよこれ!!アホ!バカ!ウスラトンカチはお前だってばよォー!!」
「何をォ!?」

おにぎりに対する熱意ではない熱に浮かされたサスケの眼は据わっている。
ナルトは任務中でもない家でぞっとした。殺される。

「誰がウスラトンカチだコラァ!もっかい食らうか、あァ!?」
「千鳥流しのクナイは卑怯だってばよー!!」

何せガード不可、避ける他には防ぐ手段の無い卑怯な武器。
確かに世界を探せば、千鳥で切れ味をあげた刃に対抗出来る物質もあるかもしれない。
しかし木の葉の里には存在しない。
防御力を綺麗に無視する物理攻撃。
そして食らえば電流によって身体が痺れ、そのままトドメを刺される。
幾度か生身でその威力を体感した身としては、何が何でも――それこそ写輪眼でも使って避けたい。
こんな時、不謹慎ながら赤い瞳が羨ましい。

「いーからサスケは寝てろー!今サクラちゃん呼ぶってばよォ!!」
「ぬ、サクラにまでこの不完全な米の塊を食わせようという魂胆か?そうは行くかァ!!
「人の話聞けってばよこのドアホー!!」

よもやナルトの口から「ドアホ」という罵りが出てくるとは父親でも思わなかったに違いない。
サスケもサスケで完全にヒートアップしてる。脳味噌が。
互いにクナイを引き抜き、バチバチと空気が爆ぜる。
このまま家の中で火遁でも使われたらたまったもんじゃない。
先手は、打つ。

「いーから沈めェえええ!!」ガンッ
「ぐあッ!?」
「……あれ?」

言うなれば軽いジャブ、サスケのかなり先の手を読んで打った筈の先手が、見事にサスケの顎に入った。
そのままサスケはひっくり返り、起き上がらない。

「ちょ、サスケー!?」
「……塩分の割合が………具…比率……ppmレベル…

怖ェよその寝言。
ナルトは本気で思った。
高熱に魘されて暴れられるのも困るが、こう、不気味な寝言も勘弁してほしい。
塩分が何よ?
とりあえず気絶したサスケをベッドまで引き摺る。
残ったのは大量のおにぎりもどき。
サスケの杓文字ですぱーんとやられたおにぎりの破片を口に放り込みながら、サクラを呼ぶ前に台所を片付けよう、そう結論付ける。
…つーか、米の塊を杓文字ですっぱり切れるってどういう事よ?疑問は尽きない。

「ぶッは!?」

片っ端から破片を食べていたら、クリティカルヒットレベルの塩分濃度の米の塊に遭遇した。
あり得ない、これはヤバイ、海水とか軽く凌駕してる。
塩分濃縮何%ですか?

「もしかして…かなり…ロシアンルーレット的な……」

ぞっとして並ぶ米粒を見やる。
これを片付ける頃に、自分は生きてるか。
量は問題ではない。味覚が。
愛情でもカバーしきれない見えない何かが立ち塞がっている。







結局、一晩かけてロシアンルーレットな米の破片を食い散らかし、最後にトドメの素晴らしき塩分濃度に遭遇し卒倒したナルトであった。
…サクラがサスケの看病に辿り着いたのは、翌日の昼頃。
ナルトは早朝ら辺りで倒れていた。






================================
大人ナルサスはこれくらいバカだといいと思います。
いえす青春カップル!!

なんか暗い話(XS/REBORN!)


※とっても暗いザンスクもどき

※なんか死んでるかもしれない









想いを殺して殺して


それでも傍に居たら、哀しくて哀しくて



だから、離れた、って

……生きられる、筈も、無いのに





「先輩さ、飛び出して3日で帰って来るとか。いい歳こいてガキみてーな真似して。王子呆れたー」

「………うるせぇ」


ヴァリアーのアジトを飛び出した先輩は、僅か3日で帰ってきた。帰ってきたっつーか、引きずり戻された。
バカみたいな騒ぎだけどさ、先輩の心情を知ってる身としては流石に笑い飛ばすだけで終わらせる気分にはなれない。
ガキの頃はよく見た、ボスにボコボコにされてボロボロになった先輩が、目の前でうだってる。

なんで飛び出したかって言えば、バランスが保てなくてプッツンいっちゃって。
そんで、ボスに引きずり戻された。
ボスも中々残酷だ。


「………要らねぇんなら、なんで連れ戻すんだよぉ…」


掠れた呟きも、弱々しく項垂れた姿も、ボスが居ない間はよく見た、でも戻ってきてからは見なかったな、頑張って隠してたから。
傍に居れれば、それでいいって。それだけだったから。
先輩もバカだけど、ちょっとなんかおかしいけど人間だ、殴られりゃ痛いし欲もある。


そりゃぁ、好きな奴の傍に居続けて何も欲がない方がおかしーんじゃね?
何も願わない方がおかしーんじゃね?
それが当たり前だって事、先輩気付けなくて。
……まぁ、王子も最近気付いたけど、さ


先輩は妙なとこで律儀だから、ガキん頃立てた誓いを守ろうとしたけど、食い違う自分に限界きちゃって。
それで発狂する前にって飛び出したのに当のボスに連れ戻されて、いよいよ発狂寸前。


…今も、何がだめなのか考えながら、無自覚に泣いてる。


「先輩さー、ボスから離れて生きられると思った?」


我ながら酷く残酷な台詞を吐いたと思う。
銀髪がびくりと揺れて、そろりと向けられた銀眼はもう正気ギリギリ。

…あぁ、この二人、うまくやっていくと思ったのに。


「ボ、スは、」
「先輩の事、要らなかったら、連れ戻さねえだろ」
「…も、解らな…」


先輩の一番の基盤が、ボス。
ボスが本気で死ねって言えば、先輩は躊躇いなく死ぬ。そういう人。
すれ違って真意が掴めなくなって、先輩は壊れかけてる。


「嫌われてるなら、其れで、いい、でも、必要と、されないなら、本当に、意味がない…!!」


よく、死に際の断末魔は、聞いてたけど。
心の悲鳴、って、こういう声かな。
…いつ何を言われたか知らないけど、致命的な何かがあったらしい。


「捨てたんなら、なんで連れ戻す…!!」


先輩のボスに対する執着心とボスの先輩に対する執着心は、種類は違えど異常な度合いなのは前々からで。
先輩が先を望んでしまったのが原因なのか、ボスがそれに気付きながら気付かないフリをしてそれでも尚縛り付けたのが原因なのか。


げほげほ、と唐突に先輩が咳き込んだ。


「……え、」

「げほっ…う゛、あ゛、」

「……嘘、だろ…」


グローブを外した右手が抑えた口元から、ぼたぼた、ぼたぼた、赤いのが、


「ルッス!ルッス、先輩が!!」

「……ぁ、ぐ、う゛、ぇ、」







先輩が、身体と一緒に精神も病んだ。


ボスの元を離れようとしたのも、病を悟られまいとして、だったらしい。


なんで、こうなったんだろう?


ガキの頃から、ウザかったけど、煩かったけど、兄貴みたいな存在だったのに。
ボスの隣にいつまでもいるんだと、思ってたのに。


「……ボスが不器用過ぎたんですよー」


ある日、眠り続ける先輩の横で、生意気な後輩がそう言った。


「あ、二人ともですねー。伝えたい事、伝えられなかった」

「解ったよーな口利くじゃん」

「人間の枠からはみ出てる隊長だって、殺せないものはありますよー。ボスもそれに気付かない筈もないのに」

「……………」

「好きなだけじゃ傍にいる理由にならないんですかねー」

「青臭いガキじゃあるめーし」

「少なくともミーはアリだと思いますー。…隊長は、そう思わなかったみたいですが」


好きなだけじゃ、傍にいられない、か。
理由を求めてしまえば。
傍にいる理由を、存在の理由を、関係の理由を、求めてしまえば。
こんな事に、なるのかな。


点滴と呼吸器と色々な管に繋がれて眠る先輩は、どんな夢を見てるんだろうか。

ボスの夢?
二人で一緒にいる未来の夢?
それとも、別々に生きる、辛い夢?


「このまま、スパッとやった方が、先輩、幸せかなー」

「ボスに殺されますよー堕王子」

「…これでも、先輩の為を思って言ってんだけど、王子」


ボスは、意外にも毎日先輩の見舞いに来る。
眠り続ける先輩を見て、端から見たら無表情に、俺から見たら辛そうに表情を歪めてる。


この事実、先輩知ったらどうするかな。


ホント、ボスって何考えてんだろ?
多分ボスは一回先輩を突き放したんだろうな、決定的に。
それでも、連れ戻した。
それがどれだけの結末を招くか、知らないで。


すれ違い、なんてもんじゃない、よね。

哀しい哀しい結末。

精神も病んだ先輩は、目が覚めれば点滴を引き抜いて、ひたすらに、死を、目指す。死のうとする。


だから、眠らされてる。


「……なんで、こんな事に、なったかなぁ…」


きっと誰もが思う疑問、本人だって思っただろう。
強そうな先輩だって「自分」の根本を崩されて、立っていられる程、強くない、むしろ、脆い。


こんな事なら。


こんな苦しむ先輩を見るくらいなら?



―――数日後、先輩の、生命維持装置が、誰かの手で、意図的に切られたのは、俺とはまた別の話。







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梅雨だからこんな考えがぐるぐるとぶつぶつ
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