※特に頭動いてない感じで作った文章
※ほも
※総ての事象をほもに置き換えたら解決するんじゃねって思った
※ただ話が逸れただけでした
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つらつらHOMO小話を書きとめておくだけのブログ
※特に頭動いてない感じで作った文章
※ほも
※総ての事象をほもに置き換えたら解決するんじゃねって思った
※ただ話が逸れただけでした
教えていたつもりでも、実際教わっていたのは自分だったとか。
頭の造りが若い輩を見ると苦々しい気分を味わいながらも少しだけ羨ましいとか、そんな複雑な気分を覚えるようになるくらいにはいつの間にか歳を重ねていた訳で。
別段、自分以外の総てを否定するほどの破滅願望者ではないにせよ、意見の、価値観の相違という問題に対しての己の考え方が変わってきたのは事実で。
教える事も学ぶ事も生涯終わりなど見えてはいけない。
「あーまたお前はそういう…」
「…あんたが見えてる世界が全部だと思うなよ!俺には妖精さんが見えてっからね!まじで!」ばりん!
「とりあえず窓から飛び出す癖を直せ!!」
最早こいつは頭の造りは別の生物だと思う事にして、面倒を見ている部下が落とす言葉を拾ううちに、見えたモノがあったのは確かだったので、それを組み立ててみたら、案外他人を理解するという行動も無駄ではないなと思った。
完全には、理解できる訳がない。脳味噌が違う。所詮は他人だ。ただ、見えたモノを自分なりに解釈して飲み込んで、知る事もある。そもそもそのプロセスが苦ではない時点でその生物が自分にとっては意味を持つ存在でもある。
「あんたなんか、窓枠に脚引っ掛けて転んでしまえギャァアア」
「お前が転んでどうする!?」
ある意味数式を解く感覚で、そうやって部下の思考回路を追ってみたら面白かった。例えるならインキュベーターから取り出したシャーレを覗いたら、培養している筈の細胞以外のものが見えたような。
あぁ確かに人は変わるんだな、他人に興味も無く上辺だけの付き合いが死ぬ程得意だった筈なのに。
「い、痛い!あんたマジ机の角に小指ぶつけろ!」
「おぉ…とりあえずお前はなんで毎回予想の斜め上を行く結果になってんだ。なんで窓枠にロープ付いてんの?なんでそれにしがみ付いて無事なんだ?」
「万が一俺が脱出に失敗した時の為の保険をだね、こないだ作っておいた!」
「すげぇ無駄な労力な気がするのは俺だけか!?」
人の面倒を見るのは別段苦ではなかった、という事実が最早驚きだった最初に比べたら、よくまぁこの手のかかる生き物の面倒を見た上で、向き合おうとしているのだからそれはもう自分に問いたいくらいだ、何があったんだ。
面倒を見るだけでなく、その生物の本質と向き合うというのは恐ろしく根気と体力と気力ととりあえずありとあらゆるモノを消費する行動だ。特に時間も消費する。
その上でも、向き合う価値があると思ったのだろうか、自分は。
そう判断したから、ここまでの関係性を築き上げて来たのだろうが。
「見てよこのロープまじパクって来た甲斐があったいやホント俺一人余裕で支えるよね」
「どこから持ってきた!?返してきなさい!」
「あ、ロープ?ワイヤー?よく解んないけど、合同合宿ん時に皆が使ってたから持ってきた!」
「合同…?おい、それ、まさかヘリの備品…」
「え?あ、うん、いっぱい巻いてあったからちょっとだけちょん切って来た!」
「……お前、それ、まじ、どうせだったら全部パクって来い!!何号機だ!?物凄い迷惑だぞ!!」
「なんでー?あんなに長いんだから別にこのくらい持ってきたって大丈夫だって」
「いやいや、お前もやったよな?降下訓練やったよな?あん時に使ったのなんだか解るか?」
「え、これっぽいワイヤーでびゃーって下に降りる奴?」
「おぉ…そこまで解っててどうしてそれをちょん切って持ってこようとするんだこいつ…ッ!途中でぶった切ったら地面まで届かねぇだろ…ッ!」
言葉、というものは便利でありとても厄介なものでもある諸刃の剣である、とする。
言語は共通であったとしても、何かを表す言葉は人によって、見えている世界によって異なっている。
「青」というある色に対して、数値で表せば確かに一遍の答えは出るが、見えている世界によってはそれを「緑」とも「赤」とも捉える事がある以上、「青」という定義が曖昧になる。其れほどに言葉という事象に貼るラベルは結局曖昧なのだろう、と、気付いた事があった。
事象が共通していても貼り付けるラベルが異なればそれはもう「違う」事としてお互いの中で処理されて進んでいく訳だから、そこから会話という「言葉だけでのやりとり」で理解を進めていくのは困難であり果てしなく面倒臭い。
「あれをやったからこのワイヤーの強度を信頼してる訳で」
「降下訓練の意味!!ワイヤーに対する信頼度を高める訓練じゃねーよ!!」
「うるさいなー、俺がこのまま落ちたらどーすんの?流石に無傷は無理だからね?」
「おぉおおお…!!何からどう言えばいいのか!!」
前述した「向き合う」「理解しようとする」という過程は、会話か、もしくは当人が落とした言葉その他微量の事象から構成した仮定を辿って本人の意思に近いものを知るというプロセスであるとしたら、それは面倒の次元を通り越してある程度の己の犠牲、なにかを削るという代償を以って得られるものだという事だ、と身を以って経験する。そして何度か経験した辺りでそれだけの代償を払ってでも向き合う価値があるのか?と考えた辺りで納得するのが、「それだけ大事な存在」「自分の労力削ってでも接する価値のある」「大事が一周回って愛情」に行き着いたという結論。
「あー、そろそろ腕疲れてきた!ちょっとどいてよ、戻れないでしょ」
「お、ま、え、は…!!……あー、うん、もうこれは誰が悪いとかじゃないんだろうな、うん」
「はぁ?何ぶつぶつ言って……う、おっ、わっ」
「話はちゃんと聞くから、とりあえず窓からぶら下がるのやめろ」
「……ぶら下がってる原因はあんただからね。根に持つよ」
「もうなんでもいいからこの窓誰が修理費払うんだよ…」
「経費で落として」
「それ怒られるの俺だろ」
「りょーしゅーしょ、の偽造?ならやってくれると思うよ!」
「代価が高ぇんだよあいつ…」
結構な時間、そこそこ高い窓枠からロープ一本でぶら下がっていたどうしようもない部下を引き上げて抱きとめると、部下は相変わらず人の事を考えているようで全く考えてない言葉を本気で落としながら、笑いながら抱き付いて来て首元に顔を埋めた。全く以ってどうしようもない。なんで窓から飛び出そうとするのか。なんで飛び出そうとして窓枠に脚を引っ掛けてすっ転ぶのか。なんで予めロープなんぞビルの窓枠に固定しておくのか。なんで自分はこのどうしようもない生物にほだされているのか。
先程はなんか色々と小難しく考えていたような気もするが、目先、腕の中でごろごろしてる部下がご機嫌である事と怪我のない事に大分流されている。そのくらいはほだされてる。完全に。
「…あ、そういや俺さっきまであれ持ってた気がする」
「どれだよ」
「あれだよ、あの、あれ」
「だから何だよ」
「ハンコ」
「……なんの?」
「昨日届いたんだったかなー、あの、あれよ、今度さどこだかと合同でなんかやるって言ってたじゃん?そん時の名簿に押すやつ」
「合同訓練で使う…印鑑…?昨日…?おい、ちょ、待て、それって、」
「支給品?だけどなくしたら弁償って書いてあったからー、さっきあんたに渡そうと思って…あ、ロープ持った時にそういや捨てたわ。めんご!」
「…………お前、まじ、……」
「あれ結構でかかったから持ってたらロープ掴めなギャァアア!!」
「 拾 っ て 来 な さ い 」
一度窓から引き上げて、なんやかんやいちゃいちゃしてた部下を、彼は思いっ切り窓から投げ捨てた。
オフィスに居合わせた他の部下達は語る。
「すっげーよなぁ。あいつの面倒見るのに悩むわ手ェ出すか悩んでた癖に持ち出し厳禁の印鑑捨てられたくらいで1分前までべたべたちゅっちゅしてた相手をブン投げるのは出来るんだからよー」
「仕事の鬼…」
「なんで別れねぇのあいつら。フツー窓から捨てられたらキレるだろ」
「キレた所にあの人物凄く真面目に説教したみたいだよ。珍しく反省してたからよっぽどじゃない」
「しょげたアイツにほだされたんじゃねーの」
「いや、ガチで説教したっぽい」
「……身体で?」
「言葉で。ついでに印鑑はまじで探させたっぽい。5班だったかな、駆り出されたらしい」
「……アホだろ」
「そんだけ真剣なんじゃないの。俺は知らないし知りたくも無い。ついでに巻き込まれたくない」
「あぁ、同感」
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どこまでがやっていい事でここからがやっちゃいけない事っていうそんな簡単な事柄を共通認識させるのも大変なくらいの生物に、力ずくじゃなくても教えられるようになった事に萌え
とりあえず最初に考えてた事忘れた系