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おにぎり事件簿(NARUTO/NS)




多分上忍とかになってナルサス普通に二人暮らししてる前提






「違う…違うッ!!こんなんじゃない!!」
「………サスケェ?何してんだってばよ?」


任務を全うし、上機嫌で帰宅したナルトの目に入ったのは、台所で突っ伏すサスケだった。




「何故だ…この天才の俺でも見抜けない何かが…何があるというのか…!!」
「サスケー、ただいまー」
「写輪眼でも見抜けない?万華鏡写輪眼だぞ?バカな、そんなバカな…ッ!!」
「…サスケぇ…」

情けない声だとは自覚できる、それでもナルトは呟かずに居られなかった。
どれだけ機嫌が悪くても、ナルトの存在をここまで綺麗にシカトするという事は早々無い。
なのに今目の前にいるサスケは、ナルトの事などまるで見えていない。
ただただ台所の床に突っ伏し、自問を繰り返している。
…尋常じゃない。こんな深刻に落ちているサスケは、任務中ですら滅多に見る事はない。

「なーにやってんだってばよぅ……んあ?」

まだぶつぶつ言ってるサスケが何をしていたのか…台所に並ぶおにぎりが、何を語るというのか。
どれも見事な艶、形に揃っている。あのサスケが本気を出せば、全く同じおにぎりが並ぶ。
ただ、その数が尋常じゃない。
幾ら大食らいの男二人の家でも、ここまでの量のおにぎりは並ばない。
炊飯器の中身はあらかたおにぎりに化けている。
テーブルの端に、おにぎりの具に使ったおかかと昆布の煮物が小皿に乗っていた。
サスケの好物はおかかおにぎり。
それは里内で知る者は知り、知らない者は呆気に取られる。
おかかおにぎりを研究していたのか?それなら何故昆布が…?
別にこの家で昆布が使われない訳ではない。
ダシを取るのに、味噌汁に、色々使う。ただおにぎりの具に使われた事は一度も無い。
益々ナルトの思考がこんがらがる。まーだサスケはぶつぶつ言っている。

「…何が悪い…何が足りない何故ダメなんだ…えぇい諦めるなうちはサスケェ!!」ごちんッ
「うぉぅッ!?」
「ん?何だナルト、帰ってたのか」
「……サスケェ…これは…」

蹲ってぶつぶつ言っていたサスケが勢いよく立ち上がり、その石頭でナルトの顎を強打した――よくあるが、いざ体験するとあぁ笑っててすいませんみたいな、そんな心情、今のサスケにはどうでもいいらしい。
平然とした顔色で、今更ナルトに気付く。
ナルトは若干意識がぐらついていた…何故、サスケはノーダメなんだ。

「帰宅したら声を掛けろと何度言ったら解るんだ」
「声掛けたけどサスケがシカトしたんだってばよー」
「…まぁそんな事はどうでもいい。俺は忙しい。メシは適当に食ってくれ」
「適当って…このおにぎりの山は?」

テーブルに並ぶ白い山を指差す――その瞬間、サスケが阿修羅のような形相を呈した。
そしてそのスピードは忍で最も鋭いと謳われた拳が、ナルトの顎を再度打ち上げる。
「これがおにぎりと呼べるかァ!!」ガンッ
「ぐぉあッ!?」
「いいか、おにぎりっつーのは、シンプルに見えてあらゆる複雑な要素の上に成り立つモノであって、決して軽視していいものではないッ!!食物に求められる要素とは何か?味か?見た目か?満腹感か?色々あるな、総ての食べ物に総ての要素が要求される――――」

ナルトの意識がふらつく。遠のく。
サスケは何やら熱弁しているが、耳から耳へ流れている。
何故、今、殴られた…?

「――よってだ、今ここに並ぶこの米の塊に何が不足しているか?そうだ、その絶妙なるバランスだッ!!味、形、品質――それらが最高レベルだとしても、調和が取れないという事は先程も説明したな。この米の塊にはそれが足りない。かつてうちの母さんが作ったあのおにぎりのあのバランス、あれが何故再現出来ない?写輪眼を用いても何故見抜けない?俺は何を見落としている、何に気付いていない!?…聞いてるのかナルトォ!!
「ぱぎゃッ!?な、何か今日のサスケ変だってばよ…!!」

色々ごたごたがあって、まぁとりあえず里には帰ってきたサスケは、若干性格が変わっていた。
開き直ったといえばそれまでだが、物事に対する執着のベクトルが、なんというか…おかしい事になっていた。
生来の性格なのか、鷹だの蛇だのよく解らん事をやっていた為なのか。ナルトには解らない。
そして今日は輪に輪をかけておかしい。
何かに対してこうも熱く語る姿は…見た事があるようなないような。
まだ何か騒ぐサスケの話を要約すると、

「…要はサスケは、納得のいくおにぎりが作りたいと」
「――であるからしてッ!…何か言ったか?」
「だから、サスケはおにぎりを作りたいんだよな?」
「あぁ。お前話聞いてたか?
「聞いてねぇのはサスケだってばよ…ぬぁッ!?すいませんッ!!」

サスケの意思疎通手段の一つに、殴る蹴る、千鳥、果ては麒麟までもが含まれている事を失念すると、こういう事になる。
ナルトは三度顎を打ち上げられ、そろそろ辛くなってきた。顎、外れそう。
それにしてもサスケの様子はおかしすぎる。熱でもあるんじゃないだろうか…逆らったら、下手したら、怪我じゃ済まない。
「……何の話してたんだ…どこまで喋ったのか…あぁ畜生思い出せん!」
「おにぎりの話であります、サー!!」
「そうだ、おにぎりだ!あの味を再現するには何が足りない…俺は何を見落としている…何を!何が!?」
「さ、サスケさん…」

頭を抱えてがーがー言ってる…クールで強がり、という姿は完璧に吹き飛んでいる。やっぱり熱でもあるんだろうか。

「大体こんだけ綺麗に握れてんだから立派なおにぎりだってばよー?」

そう言っておにぎりの一つに手を伸ばす――スパァン!!

「ぎゃッ!?」
「こんな不完全な物体のどこがおにぎりだァ!!不完全な料理を食わせる等言語道断!!」
「サスケが作ってくれて食えるモンなら何でもいいんだってばよぅー、腹減ってるしィ」
「俺のプライドに関わる!!これを食らうとゆーならば形を崩せェー!!」がしゃー
「あー勿体ねー!!」

最早錯乱の域に達している…若干ナルトの背筋を、任務中の緊張感が這い上がる。
サスケは叫びながら手にした杓文字でおにぎりをすぱーんと斬る。…大丈夫ですか?
それでも腹は減ってるナルトは、おにぎりの欠片を口に放り込む。

「…普通に美味いけどなぁ…」
「違う…違う…何かが違う!何が!?塩加減か?握り具合か!?劣化した記憶を再現する事は不可能なのか…!」
「んー、こっちよりこっちの塩加減のが好みだってばよ…つーか全部具がおかかってすげぇよなぁ…」

また自問自答を始めたサスケを放置し、ナルトは次々とおにぎりを平らげる。
…そう言えば、サスケがおにぎりを作った姿を見るのは、初めてな気がする。
写輪眼を用いなくともサスケの料理の腕前は中々だ。レパートリーも豊富。
そのサスケが、今までおにぎりを作らなかった。その理由。

(…そういやサスケ、昔、おかかおにぎりで買収出来たっけ…)

まだ下忍の頃。下らない企みに巻き込む時、大抵はおかかおにぎりで釣れた。
二十歳を過ぎた今、少なくともナルトは、サスケがおにぎりを作っている姿を見た事が無い。あれ程好んでいたのに。
例え外出先でおにぎりを食べたとしても、…好物を食べた時の嬉しそうな顔ではなかった気がする。

(さっき…母さんのおにぎりがどうとか言ってたっけ…)

要はサスケは、所謂「母の味」を再現しようと奮闘していた、という事でいいのだろうか。
ナルトには母の味など解らない。
が、サスケは幼少期、両親と過ごしていた。
感傷的な日に思い出す事もあるだろう。
これが両親や兄の命日だとか、そういう日なら解る。
が、今はなんでもない、平日。
サスケがここまで家庭に固執するとは、何かがあったという事。

「サスケ?」
「………なんだ」

既にサスケは床に伸びていた。…伸びていた?
上忍二人の部屋があるマンションを、絶叫が劈いた。

「ぎゃーやっぱ熱ある!!なーんで黙ってるんだってばよ!?風邪人が何で料理に没頭してるんだってばよ!?何考えてんだってばよ!?」
「誰が風邪人だ!俺は至って健康だ!!」
「健康な人間の熱じゃねーよこれ!!アホ!バカ!ウスラトンカチはお前だってばよォー!!」
「何をォ!?」

おにぎりに対する熱意ではない熱に浮かされたサスケの眼は据わっている。
ナルトは任務中でもない家でぞっとした。殺される。

「誰がウスラトンカチだコラァ!もっかい食らうか、あァ!?」
「千鳥流しのクナイは卑怯だってばよー!!」

何せガード不可、避ける他には防ぐ手段の無い卑怯な武器。
確かに世界を探せば、千鳥で切れ味をあげた刃に対抗出来る物質もあるかもしれない。
しかし木の葉の里には存在しない。
防御力を綺麗に無視する物理攻撃。
そして食らえば電流によって身体が痺れ、そのままトドメを刺される。
幾度か生身でその威力を体感した身としては、何が何でも――それこそ写輪眼でも使って避けたい。
こんな時、不謹慎ながら赤い瞳が羨ましい。

「いーからサスケは寝てろー!今サクラちゃん呼ぶってばよォ!!」
「ぬ、サクラにまでこの不完全な米の塊を食わせようという魂胆か?そうは行くかァ!!
「人の話聞けってばよこのドアホー!!」

よもやナルトの口から「ドアホ」という罵りが出てくるとは父親でも思わなかったに違いない。
サスケもサスケで完全にヒートアップしてる。脳味噌が。
互いにクナイを引き抜き、バチバチと空気が爆ぜる。
このまま家の中で火遁でも使われたらたまったもんじゃない。
先手は、打つ。

「いーから沈めェえええ!!」ガンッ
「ぐあッ!?」
「……あれ?」

言うなれば軽いジャブ、サスケのかなり先の手を読んで打った筈の先手が、見事にサスケの顎に入った。
そのままサスケはひっくり返り、起き上がらない。

「ちょ、サスケー!?」
「……塩分の割合が………具…比率……ppmレベル…

怖ェよその寝言。
ナルトは本気で思った。
高熱に魘されて暴れられるのも困るが、こう、不気味な寝言も勘弁してほしい。
塩分が何よ?
とりあえず気絶したサスケをベッドまで引き摺る。
残ったのは大量のおにぎりもどき。
サスケの杓文字ですぱーんとやられたおにぎりの破片を口に放り込みながら、サクラを呼ぶ前に台所を片付けよう、そう結論付ける。
…つーか、米の塊を杓文字ですっぱり切れるってどういう事よ?疑問は尽きない。

「ぶッは!?」

片っ端から破片を食べていたら、クリティカルヒットレベルの塩分濃度の米の塊に遭遇した。
あり得ない、これはヤバイ、海水とか軽く凌駕してる。
塩分濃縮何%ですか?

「もしかして…かなり…ロシアンルーレット的な……」

ぞっとして並ぶ米粒を見やる。
これを片付ける頃に、自分は生きてるか。
量は問題ではない。味覚が。
愛情でもカバーしきれない見えない何かが立ち塞がっている。







結局、一晩かけてロシアンルーレットな米の破片を食い散らかし、最後にトドメの素晴らしき塩分濃度に遭遇し卒倒したナルトであった。
…サクラがサスケの看病に辿り着いたのは、翌日の昼頃。
ナルトは早朝ら辺りで倒れていた。






================================
大人ナルサスはこれくらいバカだといいと思います。
いえす青春カップル!!

なんか暗い話(XS/REBORN!)


※とっても暗いザンスクもどき

※なんか死んでるかもしれない









想いを殺して殺して


それでも傍に居たら、哀しくて哀しくて



だから、離れた、って

……生きられる、筈も、無いのに





「先輩さ、飛び出して3日で帰って来るとか。いい歳こいてガキみてーな真似して。王子呆れたー」

「………うるせぇ」


ヴァリアーのアジトを飛び出した先輩は、僅か3日で帰ってきた。帰ってきたっつーか、引きずり戻された。
バカみたいな騒ぎだけどさ、先輩の心情を知ってる身としては流石に笑い飛ばすだけで終わらせる気分にはなれない。
ガキの頃はよく見た、ボスにボコボコにされてボロボロになった先輩が、目の前でうだってる。

なんで飛び出したかって言えば、バランスが保てなくてプッツンいっちゃって。
そんで、ボスに引きずり戻された。
ボスも中々残酷だ。


「………要らねぇんなら、なんで連れ戻すんだよぉ…」


掠れた呟きも、弱々しく項垂れた姿も、ボスが居ない間はよく見た、でも戻ってきてからは見なかったな、頑張って隠してたから。
傍に居れれば、それでいいって。それだけだったから。
先輩もバカだけど、ちょっとなんかおかしいけど人間だ、殴られりゃ痛いし欲もある。


そりゃぁ、好きな奴の傍に居続けて何も欲がない方がおかしーんじゃね?
何も願わない方がおかしーんじゃね?
それが当たり前だって事、先輩気付けなくて。
……まぁ、王子も最近気付いたけど、さ


先輩は妙なとこで律儀だから、ガキん頃立てた誓いを守ろうとしたけど、食い違う自分に限界きちゃって。
それで発狂する前にって飛び出したのに当のボスに連れ戻されて、いよいよ発狂寸前。


…今も、何がだめなのか考えながら、無自覚に泣いてる。


「先輩さー、ボスから離れて生きられると思った?」


我ながら酷く残酷な台詞を吐いたと思う。
銀髪がびくりと揺れて、そろりと向けられた銀眼はもう正気ギリギリ。

…あぁ、この二人、うまくやっていくと思ったのに。


「ボ、スは、」
「先輩の事、要らなかったら、連れ戻さねえだろ」
「…も、解らな…」


先輩の一番の基盤が、ボス。
ボスが本気で死ねって言えば、先輩は躊躇いなく死ぬ。そういう人。
すれ違って真意が掴めなくなって、先輩は壊れかけてる。


「嫌われてるなら、其れで、いい、でも、必要と、されないなら、本当に、意味がない…!!」


よく、死に際の断末魔は、聞いてたけど。
心の悲鳴、って、こういう声かな。
…いつ何を言われたか知らないけど、致命的な何かがあったらしい。


「捨てたんなら、なんで連れ戻す…!!」


先輩のボスに対する執着心とボスの先輩に対する執着心は、種類は違えど異常な度合いなのは前々からで。
先輩が先を望んでしまったのが原因なのか、ボスがそれに気付きながら気付かないフリをしてそれでも尚縛り付けたのが原因なのか。


げほげほ、と唐突に先輩が咳き込んだ。


「……え、」

「げほっ…う゛、あ゛、」

「……嘘、だろ…」


グローブを外した右手が抑えた口元から、ぼたぼた、ぼたぼた、赤いのが、


「ルッス!ルッス、先輩が!!」

「……ぁ、ぐ、う゛、ぇ、」







先輩が、身体と一緒に精神も病んだ。


ボスの元を離れようとしたのも、病を悟られまいとして、だったらしい。


なんで、こうなったんだろう?


ガキの頃から、ウザかったけど、煩かったけど、兄貴みたいな存在だったのに。
ボスの隣にいつまでもいるんだと、思ってたのに。


「……ボスが不器用過ぎたんですよー」


ある日、眠り続ける先輩の横で、生意気な後輩がそう言った。


「あ、二人ともですねー。伝えたい事、伝えられなかった」

「解ったよーな口利くじゃん」

「人間の枠からはみ出てる隊長だって、殺せないものはありますよー。ボスもそれに気付かない筈もないのに」

「……………」

「好きなだけじゃ傍にいる理由にならないんですかねー」

「青臭いガキじゃあるめーし」

「少なくともミーはアリだと思いますー。…隊長は、そう思わなかったみたいですが」


好きなだけじゃ、傍にいられない、か。
理由を求めてしまえば。
傍にいる理由を、存在の理由を、関係の理由を、求めてしまえば。
こんな事に、なるのかな。


点滴と呼吸器と色々な管に繋がれて眠る先輩は、どんな夢を見てるんだろうか。

ボスの夢?
二人で一緒にいる未来の夢?
それとも、別々に生きる、辛い夢?


「このまま、スパッとやった方が、先輩、幸せかなー」

「ボスに殺されますよー堕王子」

「…これでも、先輩の為を思って言ってんだけど、王子」


ボスは、意外にも毎日先輩の見舞いに来る。
眠り続ける先輩を見て、端から見たら無表情に、俺から見たら辛そうに表情を歪めてる。


この事実、先輩知ったらどうするかな。


ホント、ボスって何考えてんだろ?
多分ボスは一回先輩を突き放したんだろうな、決定的に。
それでも、連れ戻した。
それがどれだけの結末を招くか、知らないで。


すれ違い、なんてもんじゃない、よね。

哀しい哀しい結末。

精神も病んだ先輩は、目が覚めれば点滴を引き抜いて、ひたすらに、死を、目指す。死のうとする。


だから、眠らされてる。


「……なんで、こんな事に、なったかなぁ…」


きっと誰もが思う疑問、本人だって思っただろう。
強そうな先輩だって「自分」の根本を崩されて、立っていられる程、強くない、むしろ、脆い。


こんな事なら。


こんな苦しむ先輩を見るくらいなら?



―――数日後、先輩の、生命維持装置が、誰かの手で、意図的に切られたのは、俺とはまた別の話。







===============

梅雨だからこんな考えがぐるぐるとぶつぶつ

積もり去れ(REBORN!/XS)



はらり ひらり


積もって


総てを


覆い隠す







「う゛ぉおい起きろぉ、雪だぜぇ!!」

目が覚めたとは言い難い微睡みの中、頭に響く大声が耳をつんざく。
隣をまさぐればある筈の温もりもなく、寝起きの不機嫌も相俟って手近な目覚まし時計を思い切り大声の持ち主に投げ付けた。寸分違わずヒットし、呻き声が漏れる。


「ぐっ…何しやがる!!もう昼だぞぉ!!」
「るせぇ!!今日は休みだろうが!!朝からがなるな!!」
「もう昼だっつってんだろうがァアアアア!!」


幼稚な言い合いの末に、馬鹿らしい、と溜め息を吐いてザンザスは再びベッドに潜り込む。それを素早く阻止する手腕は伊達にヴァリアーのNo.2を、ザンザスの妻役を務めてはいない。


「起きろぉ!!雪が積もってんだ、見に行こうぜぇ!!」
「…てめぇはガキか。雪なんざ窓からでも見れるだろ。自分の歳考えやがれ」


投げ遣りにやかましい鮫を放置すると、余程悔しいのか今度は大声だけでなく枕までぼすっと降ってきた。ザンザスに枕を投げ付け、そこにスクアーロは顔を埋めていた。


「なーなー見に行こうぜぇ…お前と雪ゆっくり見れるなんて何年振りだぁ?」
「………知るかよ」
「……最近あんま一緒に居れねえし」
「てめぇが100人斬るだのガキのお守りだなんだで飛び出すからだろ」
「なんかお前冷てぇし」
「いつもだろ」
「妬いてるのは俺だけかぁ?だとしたら虚しくねぇ?」
「そりゃお互い様だ」
「………う゛、ぉ…」


さらっと放った一言に、鮫の顔面が一気に赤くなる。
ザンザスは笑いを噛み殺して、俺も随分丸くなったもんだと結局苦笑は殺しきれず、むくれてるのか照れてるのか、半々なのか、黙り込んだスクアーロの銀髪を弄ぶ。

この銀髪に懸けられた願いは、途方もないものだ。
この単細胞バカは、帰るかも解らない自分を待ち続けて無茶な事ばかりして、帰ってきた自分による理不尽な暴力にも耐えて耐えて耐え抜いて。そしてスクアーロも少しずつ自分の意見を通す事を覚え始め。


やっと、落ち着いた。


色々なものを与えてくれた、頭の弱い、傲慢だけれどもそれでも真っ直ぐなこの鮫に返せるものを見つけられた。


「………ボス?どうしたぁ?」
「……何でもねぇよ」
「なんだぁ、黙りこくって。考え事かぁ?」


スクアーロが、穏やかに、いつもの獰猛な笑みではなく、柔らかく笑う。いつから、こんな笑い方をするようになっただろうか。


「……いつになったらてめぇがまともに仕事するのか考え中だ」
「う゛お゛ぉい!!どういう意味だぁ!!」


がなってはいるが、本格的に機嫌を損ねた訳でもなく。むしろ上機嫌に笑って、じゃれついてくる鮫を構いながら、ふと思う。


いつか、伝えられたら。
積もり積もった、長年の、色々なものを。


上機嫌にじゃれついていたスクアーロが、ふと、ザンザスを見上げる。


「……ボス?」
「……もし、」
「?」
「もし……、俺とテメェが別の道を歩いてる未来があったら、どうする」


一瞬、きょとんとした表情を見せたスクアーロが、すぐに勝ち気な笑みを浮かべた。


「何悩んでんのか知らねえが、俺は意地でもお前を探し出すぜぇ!!別々だろうがなんだろうが、絶対ぇ見つけてやる」
「………………」


どこかこう、ずれた答えが返ってきた気がしたが。
それが、スクアーロなりの気遣いで、どこか翳った表情を見せたザンザスから不安を感じ取りそれを振り払おうとしたのだと気付いたのは、少し後。


「…………大丈夫」


スクアーロが、じゃれついてきた姿勢のまま、ザンザスの胸板に顔を埋める。


「…………大丈夫、」


繰り返される言葉は、時に、愛してると囁くのにも、似ていた。











(降り積もって降り積もって)

(覆い隠すのは)

(絶望か)(希望か)


(なんにせよ、今腕の中にあるのであれば、守り抜ける)








===================


何を書きたかったか すっかり忘れた!!←
甘える三十路って…いいよね…ぽわあああん

時に残酷な異文化交流(DFF)



死ねゴラァ!!
「主人公のセリフじゃねェー!!」



威勢のいいスコールの叫びに、ジタンは思わず叫び返した。

 

「壁とでも話してるんだな!」
「お前もしかして結構病んでる?


ふん、とお決まりのポーズでガンブレードを振るうスコールに、ジタンの冷たいツッコミ。
そりゃ誰だっていきなり壁と話せと言われたら戸惑う。疑う。主に正気を。
スコールと年が近い事もあって(そうは見えないが)バッツを探さねばならないという事もあって(これはバッツのせい)
二人はよく一緒に行動していた。ロンリースコール、アルティミシア撃破後卒業。


「なるほど…スコールの世界では壁と会話する事もあるのか…」
「クラウドォ!!落ち着け、そんな文化どこにもねぇー!!」
「あぁそうだ、バラムガーデンには誰かに話を聞いてもらいたいだけなら壁に話し掛けろという校則がある」
「どこの誰だよそんなん作ったの!?」
「最高権力者たる俺だが」
「庭に…校則?庭の権力者?」←クラウド
あぁあああ面倒くせぇー!!」←ジタン


ジタンはキィー!!と頭を掻き毟りたい衝動に駆られた。
クラウドは純粋に聞き返しているだけなのだが、この噛み合わないやり取り、前もした気がする。
ジェノバ細胞の後遺症がここに。
スコールもスコールで真顔でべらべら喋るモンだから何がホントか嘘か、解らない。
ジタンがそろそろアルテマでも使おうかと悩んだところで、一陣の風と共に誰かが現れた。

「スコール、それは違う!」
「うぉッ!?」


突然現れたのはのばら、フリオニールでした。
無駄に爽やかに現れた。輝きと共に!(違う)
スコールすらも虚を突かれた間抜けな顔をしている。


「話しかけるなら、ここの咲き戯れる花々に話しかければいい!特にのばら!」
「…は?」←スコール
「のばらに話しかける習慣も存在するのか…」←クラウド
お前も帰れ!!!


ジタンは再三叫んだ。
またややこしいのが現れた。
壁にものばらにも話し掛けたって今の現状が解決するとは思えない。
スコールのは本気か揶揄なのか解らないが、フリオニールは本気だからよりタチが悪い。


「のばらは素晴らしいんだぞ!のばらを無下にするな!」
「てやっ」←スコール
「あ゛ッ」←フリオ

のばらについて熱く語るフリオニールがいつの間にかあののばらを持っていた。
いい加減暑いわ、とスコールは軽いノリで、異世界であるにも関わらずジャンクションしていた
シヴァを呼び出し、普通にダイヤモンドダスト(ブレイブじゃなくて物理的に作用する)を発動させ、のばらをフローズンなローズにしてしまった。


「スコール!君はなんて事を!!俺の夢ー!!」
「俺の夢はゆくゆくはエスタを支配下に置く事だが、何か
「何かじゃねーよ、人の宝モンを破壊するな!!」ばしんっ


ジタン、4度目のツッコミ。
誰もスコールの野望など聞いては居ない。
バラムではキスティスが不穏な空気を感じ取り、本家セイブザクイーンを構えていた。先生、出番です。


「ん?今ののばらは幻だったのか?…そうだよな、本物は俺がセフィロスから取り返した筈だよ、な…?」
「そこも自己完結するな。怒る時は怒れよ」


また不思議そうに首を傾げるクラウド、君の世界にもシヴァのマテリアはあっただろうが。
フリオニールは再びのばらを探すために泣きながら走り去っていた。
…本当にスコールは主人公だったのかと問いたくなったジタンだった。主人公です(確認)
ディスクを取り替えると性格も豹変すると専らの噂だったのだかジタンはそれを知らない。
それどころかフリオニールやティーダにはディスクを取り替えるという概念がないのだが。ディスク4枚組みって何スか?


「何か…思ったより平和なんだな…ここ…」


ジタンはぼんやり呟いた。最早現実逃避したい。

 



(ところでスコール、さっきのバラだが。よく考えたら俺が取り戻した=俺のもの、俺のものを壊したのは、お前だよな?)←クラウド
(………ほう、やる気か)←スコ
(謝れ!謝れよ!!なんで速攻ガンブレ構えんだよお前はよォ!!!!)←ジタン

 

 

===============

異文化って難しいNE☆(そういう問題ではない)

酔っ払ってトイレに行くと大変です(REBORN!/xs)

 

 

ジャッポーネには新年会、忘年会、その他諸々、兎に角飲み会の機会が多いらしい。


それが何をどうして、目の前のバカ鮫のアホな姿に結びつくのか、流石のザンザスも理解が追いつかなかった。

 


「さーて今日は飲むわよォ!」というオカマの掛け声と共に、ヴァリアー幹部は揃いも揃って鬼のようなペースで飲み続けていた。


事の発端は若きドン・ボンゴレ10代目の何気ない一言からだった。


「そういえばさ、ヴァリアーはやらなかった?忘年会?」
「なんだぁ、そりゃぁ」
「あれ、じゃぁ新年会もやってない?まぁ単なる飲み会なんだけど、日本だけの文化なのかな…」
「綱吉ィ、余計な事ぁ…」
「何それ何それ、王子にも教えろよ!」
「あら楽しそうねオホホホホホ」


基本的に珍しいものが大好きで、異文化交流が盛んなヴァリアー幹部は幾つになっても好奇心旺盛で。
綱吉がぽろっと零した一言により、新年会が開かれる事になった。
飲み会大好きな彼らが、こんな口実を逃すはずも無い。
かくしてアジトでは幹部による新年会という名の飲み会が開かれていた。

 

「マジうけるー!あっりえねー!!」
「あり得ないのは先輩ですー、人の過去を笑う前に自分の過去を振り返りやがれってんです堕王子ー」
「あらあらオホホホ喧嘩はよしなさいなお酒が不味くなるわぁ」
「姐さん其れは消毒用のエタノールですーワインはあっちですー」


べろべろに酔った幹部たちは始末に終えない。
ベルは大声で笑い転げてる。それはまだいい。
フランは酒を辞退し、オレンジジュースをちびちび飲んで、律儀にも先輩に突っ込みを入れていた。
ルッス姐さん、何でエタノール飲んでるんですか。
死にませんかそれ。姐さんなら死なないよね。解決。
そしてスクアーロは隅っこで静かにグラスを傾けていた。


「バカ鮫飲んでるー!?何さっきから大人しくしてんだよ!」
「酔っ払いがぁ、てめぇももうガキじゃねぇんだ、ちったぁ節度を以ってだなぁ、」
「隊長、それは堕王子じゃないですー、招き猫ですー」
「バカ言えぇ、どっからどう見てもベルじゃねぇか。なぁ?


真顔で招き猫に話しかける作戦隊長。スクアーロのファンが見たら何人か幻滅しそうだ。
一体招き猫のどこかがどうベルに見えたのか説明して頂きたい。
顔色が全く変わっていない辺りが恐ろしい。

「バカ鮫喧嘩売ってんの?何王子と飾り物間違えてんの?てか酔ってる?一番酔っ払ってますか?」
「何だとォ!?俺は誰だ!?」(※直訳:俺を誰だと思っている?)
酔ってる!!顔色一つ変えずに酔ってるよバカ鮫!!ボス、ボース!!!!」
「ボスなら会合ですー、隊長、自分が誰だか解ってますかー」
「てめぇらいいか、俺は誰だぁ、お前じゃない解ったかぁ?」(※訳:俺はお前らと違って酔ってないんだ解ったか)
「か、会話不成立!!こんなだけ酔ったバカ鮫初めて見た!!」


とうとう意味不明な言葉が飛び出してきた。
最早会話が成り立たない。
いや、スクアーロの中では成り立っているのだが、酔っ払ったベルから見てもヤバイくらいにスクアーロは酔っ払っていた。ちょ、何時の間に。
ぎゃー!と叫ぶベルにルッスーリアは至って呑気に笑っていた。


「あらぁ、ボスが居なかった時期の方がもっと酷かったわよぉ。今はただのバカだから可愛いもんよ、ねぇ?」
「姐さん死体に同意を求めないで下さいー」
「ねぇベルちゃん。あなたも見ていたでしょ?荒れていたあの頃のスクちゃんを…」
「だっからどうして皆置物とか死体とかと俺を間違える訳?嫌がらせ?」
「酔っ払いだからしょーがないですよー」
殺意


殺意が湧いても確かに誰も咎められないが。


「…って何泣いてんの!?バカ鮫泣いてんの!?」
「あ゛ぁああ頭痛ェえええー…うぅ…」
「ちょ、何この32歳!?おいカエル、ちょっと水持って来い!」
「……隊長、よっぽどストレス溜まってるんですかねー…」


フランですらあんぐり口を開けてしまうくらい破壊力がある、泣いてぐずるスクアーロ。
しかも頭痛いとか言いながら泣き出すって。お前は幼稚園児か。
案外バカ鮫って酒癖悪いのか…とか思いながらもベルも若干自分の酔いが引いていくのを感じた。


「おら、水飲めって。お前どんだけ飲んだんだよー」
「う゛ぅ…ボスさんがよぉ…何でいっつも俺ばっかり…ってこれ水じゃねーかぁ!俺は、酔ってねぇ!!」
「いやどっからどう見ても酔ってるから。いいから水飲め!」
「あらあらオホホホどっちがお兄ちゃんか解らないわぁ」


ルッスーリアから見れば、弟が潰れた兄を介抱している微笑ましい図面にしか見えないがベルにとっては一大事だった。あれコイツこんな奴だっけ?
ふと先程スクアーロが居た場所を見ると、空になったウィスキーボトルが転がっていた。
…まさかあれ、独りで飲んだんですかこの人。バカですかこの人。


「…ちなみに、」
「何だよバカ鮫。水ならまだあるぜ?」
飲んだら、俺は、吐く」←真顔
……トイレ行けェえええええええ!!!!!!


ベルフェゴールは近年稀に見る大声で叫ぶと、どうしようもない酔っ払いをトイレへ放り込んだ。
何なの?この人何なの?
とりあえず面倒臭い酔っ払いをトイレに放り込んでから数十分後、我らがボスが会合から帰ってきた。


「あらぁ、ボス、お帰りなさぁい」
「………お前ら、何やってんだ」
「新年会よぉ」
「………カスは」
「あー、相当酔っ払ってたからトイレ放り込んどいた。そういや出てこなくね?」
「寝ちゃったんじゃないんですかねー?」


投げやりにベルとフランが言うと、ザンザスはいい具合に酔っ払っている部下達を放置してトイレに向かった。


「…おい、ドカス、………」


ノックをしても呼びかけても、反応が無い。
これは寝たな、どこまでもどうしようもねぇカスだ、と独りごちながらもザンザスはトイレのドアを蹴破り、


「………は?」


間の抜けた声をあげた。

そこには、確かにスクアーロは居た。

ただし、何故か便器とフタの間に頭が挟まった状態で。

流石のザンザスも我が目を疑ったが、どう見ても、カス鮫は、物凄くアホい格好で便器にもたれかかっている。


いやいやいや、何これ。何をどうしたらこうなる。


考えられるのは、座り込んで吐いてる間に寝落ちして、そうこうしている間に自動で便座のフタが閉まったという事か。(ヴァリアークオリティによりトイレも全て自動だ)
しかし頭が挟まれてそれでも起きない辺り相当飲んだらしい。
物凄くアホな格好を晒しているスクアーロだが、ザンザスも結構間抜けな顔をしていた。


「バカ鮫だいじょー、ぶ、……ぎゃははははははははは!!!!!!
「先輩なんですかーうるさいで、す、よ……ぶっ」
「ちょっとぉ何よぉ……何これェ!?」


そして到着した幹部の面々が、大爆笑したのは言うまでもない。主にベルが。


「ひははは、は…っ王子お腹痛い…ッちょ、写メ、写メ撮って!」
「いや、ちょっと、これは、間抜け…」

 


後日、この物凄く間抜けな写メによって、スクアーロがからかわれ続けたのは言うまでも無く。
「二度と酒なんざ飲まねェええ」と固く誓ったのは言うまでもない。

 

 

 

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実話@友人
ヴァリアーの飲み会に参加し隊
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