6月10日はバンタンのカムバ日。
いつもの薬貰いに行って心斎橋のSpotifyの広告撮ってルンルンで帰宅したら関東の役所から書類が届いていた。
ご尊父 ◯◯◯◯様の逝去云々〜
その名前を知らなかった。
最初は名前に気を取られて、そもそも親族にそんな苗字の人いないし誰か亡くなったなら連絡が来るはずなのに来てないし間違いじゃないの?と思った。
3枚綴りの書類には私が相続人になっていて、相続放棄する意思があるかの確認をするために記入して返送しろとある。
いやいや、赤の他人が相続出来るわけないじゃん。何でこれ私が相続人である前提の選択肢しかないの?しかもいちいち書類書いて送り返せと?期限も一週間ちょっと?はぁ?
その人が亡くなったから相続人である私に代わりに負債を払えという内容だったので、腹が立ってすぐに書類に書いてある役所に電話した。けど、担当者が出られずで、結局確認して月曜日に折り返すと言われた。
仕方ないから書類を読み返す。
私の中で『亡くなる=お爺ちゃんお婆ちゃんからいの年代』のイメージだったから、両親は母方も父方も両方すでに亡くなってるし、おじちゃんも亡くなった知らせを聞いた。
私は家族と離れて暮らしてるから、親族が亡くなったら必ず連絡をくれる。
だから、私の親族じゃない。
そう思うのにはもう一つ理由があって、最初に書いたように、書類に載っていた名前。
苗字に心当たりがない。
親族にもそんな苗字の人はいない。
お恥ずかしながら『ご尊父』が何を意味するかを知らなかったため、調べたら『父親』と出てきた。
父親…?
私の父親はそんな名前じゃない。
今も健在だし、先週お母さんと電話した時にお父さんの話をしていた。
じゃあ、この名前も知らない父親は…
ネットでその人の名前を検索した。
SNSに登録があり、何年も前に私を探す書き込みをしていた。
この人、私の実のお父さんなの?
お父さんが死んだの?
お父さんが、死んだの?
何で死んだの?
何で?
小さい頃、お母さんに実父の事を聞くと話したがらなかったからそれ以降聞くのをやめた。
お母さんに嫌な思いをさせたくなかった。
思い切ってお母さんに聞いた。
「◯◯◯◯さん知ってる?」
「知らない」
「元旦那さんとも違う?」
「その人とどこかで会ったの?」
返事を打とうとして電話が来て書類が来た話をした。
そして、昔の話をしてくれた。
離婚したのは私が3歳の頃。
元旦那さんの事は言いたくなくて私には教えなかった。
私は二人から望まれて生まれたのだと。
二人とも喜んでいたと。
私は母と私を置いて出て行ったろくでもない奴という印象を持ったまま育った。
母が話したがらないのもあり、知りたいとも思わなくなった。
自分達を捨てた人なのだからどうでもいい。
今は新しい家族がいるんだし。
そうやって、実父の事は忘れ続けて生きてきた。
なのに突然、実父が亡くなった事を知った。
私は何も知らない。
名前を見ても他人だと思ってしまうほどに。
母は名前に見覚えはあったけど苗字が違うから違う人かと思ったと言ってたけど、どうやら母と離婚したあと再婚して、書類に載っていたのは再婚後の名前だったみたい。
相続権の順番、子の順番になったから私に来たんだろうけど…私だけだったのかな。
どう生きようが知ったこっちゃないけどさ、名前どころか顔だって声だって、姿だって何も覚えてないのに涙が出るんだよ。
よくわからない感情でいっぱいになって涙が止まらないんだよ。
何で探してたの?
何年も前に
謝ろうとした?
それともお金の無心?
私何も知らないから
急に存在感出されても
何も思う事が出来ないんだよ
役所はやらなきゃいけない事なんだろうけど
私は知りたくなかった。
いないも同然の
いなくなったら悲しませるだけの
血が繋がってようが
一度も会う事は無かったんだから
知りたくなかった。