俳優の綾野剛が主演し、女優の北川景子が共演する映画『ドクター・デスの遺産―BLACK FILE―』が11月に公開されることが決定した。2人は刑事に扮し、初めてバディ役を演じる。ふたりは2018年6月公開の[パンク侍、斬られて候]以来2年半ぶり2度目の共演となった。
終末期の患者ばかりを襲う連続不審死事件が発生。捜査に乗り出す犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は、依頼を受けて患者を安楽死させるドクター・デスと呼ばれる医者の存在にたどり着く。
そんな中、重度の腎臓病に苦しんでいる犬養の一人娘・沙耶香が、ドクター・デスに安楽死の依頼をしてしまう。
【安楽死】という手口で、被害者を苦しませることなく、安らかな死を処方するドクター・デスの目的と正体とは…。
本作は、2010年に[さよならドビュッシー]で、[このミステリーがすごい!]大賞を受賞して作家デビューし、“どんでん返しの帝王”の異名を取り、数々のミステリー小説を世に送り出す作家・中山七里のクライム・サスペンス小説[ドクター・デスの遺産]の実写映画化。法律で認められていない安楽死を正当な医療行為として請け負う正体不明の医者と刑事の攻防戦を描く社会派医療ミステリーだ。
主演の綾野剛が演じるのは、主人公で警視庁捜査一課の敏腕刑事・犬養隼人。共演の北川景子が、犬養のバディである冷静沈着な女性刑事・高千穂明日香を演じる。
監督は、映画[洋菓子店コアンドル][神様のカルテ]シリーズや[サクラダリセット]前後編、[そらのレストラン]などで知られる、人間ドラマからサスペンスまで幅広い作品で手腕を発揮してきた深川栄洋。本作では、安楽死を手口とする連続殺人犯と刑事の、息もつかせぬ攻防戦をスリリングに描き出す。
撮影は2019年7月〜8月の真夏に敢行され、現在は編集中。
▽綾野剛コメント
禁断の題材にとうとう触れてしまった思いでなりません。撮影中も、この作品の強度に耐えうる表現ができているのか?と自問自答の日々でした。しかし、そこで大きな支えとなり現場を包み込んでくれたのが、初バディである北川景子さん。
2度目の共演ですが、本当に頼もしく、常にブレない芯の強さと清らかさがあります。深川監督、各部署スタッフ、キャストと共に、新境地に立つことができました。
お届けできる日が、今から楽しみです。
▽北川景子コメント
「お父さんが悪いお医者さんに殺された」という男の子からの通報をきっかけに、2人の捜査一課コンビが連続殺人犯を追いかけることとなります。
最後まで誰が犯人なのか分からない緊張感と、私たちが犯人像にたどり着くまでのもどかしさ、焦燥感をお客様に感じていただけるように撮影していきました。
事件を追えば追うほど、犬養、高千穂それぞれが「命の尊厳とは何か、安楽死は善か悪か」と悩みほん弄されていくので、その感情を細かく、丁寧に演じられるよう取り組みました。
アクションも少しあるので、かっこよく、暑い夏に負けないように(熱中症にもなりましたが)、がんばりました。
綾野さんとは2度目の共演ですが、2人1組でずっと動く役は初めてです。綾野さんは、常に役と向き合っておられる熱い方です。
犬養が一つのことに集中した時にかもし出す殺気や、こうと決めたら一直線に突き進んでいく勢いは、綾野さんなのか犬養さんなのか、分からないほどでした。
私は部下でありながら、そんな綾野さん演じられる犬養を冷静に、時々あきれながら、時々乱暴に扱いながら見守る役です。手のひらで転がしていると言っても過言ではありません。
現場でも、気がつけば綾野さんをずっと観察していました。綾野さんは思いつきでいろんなことをお芝居に取り入れたり、好奇心旺盛な子どものような一面があると、今回初めて気がつきました。そんな綾野さんを、後輩ながら微笑ましく見守ってきた夏でした。
私たち凸凹コンビをどうぞ楽しみにしていてください。
▽深川栄洋監督コメント
心がけたのは、最後まで振り落とされないように舵を握り続けること。プロデューサーと目指したのはエンターテインメントとして、ある社会問題と向き合うこと。
ともすれば深く入り込みすぎて、自分の立っている場所が分からなくなるような作品です。誰もが人生のどこかで必ず向き合わなくてはならないテーマを、綾野さん北川さんとともに悩み尽くした作品となりました。
2人はいいコンビです。綾野さんは北川さんのことを、北川さんは綾野さんのことを僕に教えてくれました。2人は、まったく違う考え方を持った役者ですが、2人とも強烈な役者バカだと思います。
もちろんそういう僕も映画バカですが……。子役オーディションに参加して子役のため熱演していた綾野さんと、アクションで綾野さんに本気の蹴りを見舞う北川さんの熱を感じに、劇場に来てください。
▽プロデューサー コメント
中山七里先生の原作を読んだ当初から、「今、映像化すべき作品だ!」と思いつつも、「この題材を扱いながら、映画としてエンターテインメントにするには?」というところで頭を抱えていました。
その懸念を吹き飛ばしてくれたのが綾野さんと北川さんのバディでした。綾野さん演じる犬養という男は、法を守る立場からドクター・デスを追うものの、安楽死に翻弄されていくという非常に複雑な役です。
綾野さんは、そんな犬養に真っ向から向き合い「綾野剛なのか犬養隼人なのか」分からなくなるほど狂気の芝居を見せてくれました。
北川さん演じる高千穂は、そんな犬養を冷静に理解し、叱咤し、支えていく役ですが、圧倒的な華やかさと、見る人を瞬時に引き込む芝居で、綾野さんの犬養隼人を受け止めてくれました。
この2人のバディのおかげで、難解な題材に負けない、最高のクライム・サスペンスが出来上がったと予感しています。ぜひ劇場で御覧ください。