長官からの連絡を受け、急いで司令室のメインモニターを切り変える宇崎。
そこには鐡と戦う晴斗の光景が。
よく見ると晴斗のブレードは見たことのない色に変化していた。
トリガー1回→刃は赤色に変化、トリガー2回→刃は青色に変化…までは設計通りだが、あの赤みがかったオレンジ色は想定外。
「長官、あれ…暁はトリガー3回引いたってことですよ。プログラムされてない事態が起きています!」
「想定外のことが起きてるなぁ…。暁が入ってから」
蔦沼は呑気。宇崎は突っ込む。
「呑気にしている場合じゃないですよ!あの黒づくめの男、あいつは…」
「鐡だろ?元老院と敵対している、『メギドを統べる者』だよ」
蔦沼はなぜ鐡が出てきたのか、推測。
元老院を潰すために動き始めたか…。元老院と敵対しているというのは本当みたいだな…。
異空間・元老院。
元老院の長と副官は鐡の行動に苛立ちを見せている。
「鐡、挑発なのかあれは…」
絲庵(しあん)は意図がわからない様子。鳶旺(えんおう)はかなりイライラしている。
「我々に喧嘩を売っているのか…!鐡め…」
「あの戦闘員、やはり進化態を生み出したのは鐡で確定ですね」
晴斗vs鐡は持久戦になりかけている。いくらタフな晴斗でも強力な敵相手なせいか、消耗が激しい。
ヤバい…体が持たなくなってきたかも。スタミナ切れか…?
鐡はニヤニヤしながら楽しんでいる。攻撃の手を緩める気がない。
「スタミナ切れかな、暁くんよぉ」
「うっせーなっ!」
晴斗はゼイゼイ言いながらも攻撃をやめない。この発動、ものすごく消耗する!
遠くから見ていた鼎はなんとか立ち上がる。そして銃を構えた。狙いは鐡。
鐡の注意を引き付ければそれでいい。
鼎は狙いを定める。そして1発、鐡に向けて発砲。弾は鐡の頬をかすめた。
鐡はこちらを見た。鐡は一気に鼎に急接近する。そして一言言い放つ。
「せっかく楽しいショーなのに、邪魔してんじゃねーよ。紀柳院鼎」
「晴斗を見せ物にするな」
鼎は語気を強めに言う。
「しかし、俺に弾を当てるとは…気の強い女だな。初めてだぜ、こんなにぞくぞくしたのはよ」
鐡はあっさりと攻撃をやめ、街から姿を消す。
去り際に鐡は晴斗と鼎に言った。
「言っておくが、あれはまだ本気じゃねぇ」
まだ「本気」じゃない!?
鐡は愉しげにしながら消えた。
ゼノク・隊員用休憩所。
今回の戦闘で隊員達の士気が微妙に。
「鐡…強すぎる…」
晴斗達は反省会モードになっていた。
「戦闘員が進化態にしたのはあの男なのは確定みたいですね」
二階堂は分析。
「敵は元老院だけじゃねぇってことか。元老院の奴らと鐡に何が起きてるかはわからねーが、厄介なことになったな…」
御堂もかなり厄介だな…というような感じ。
鼎はひとり、東館にいた。流葵(るき)と話たかったからで。
「すまないな、流葵。話し相手になって貰いたくてな」
「いいんですよ。私も紀柳院さんと話したかったですし」
――しばしの間。
「そんなことがあったんですか…。鐡…私は知らないです」
「元老院の他に敵がいる…」
ゼノク・司令室。
「鐡があれほどまでに強いとは…。厄介だな〜」
西澤は映像を繰り返し見ている。蔦沼は付け加えた。
「元老院の長・鳶旺並みかそれ以上だね。鐡の存在に気づかなかった僕も僕だが…」
「それにしても暁のあの発動はなんなんだ!?想定外すぎるでしょ!?」
「暁の中に眠っている力でも目覚めたのかな」
「んなバカな!?あり得るの!?」
「さぁねぇ。彼の場合は怒りと関係していそうだが、何かしらありそうだな」