鐡が持ち帰った、異次元の巨大な実。彼はどや顔で蔦沼達の元へ見せる。

「異空間で気味わりぃもんを見つけた。長官だったか、これを調べてくれよ」
3人はまじまじと不気味な実を見る。ラグビーボールくらいの大きさの毒々しい色をしたもの。


「これはどこにあったんだ?」
蔦沼はいつも通りに聞いてる。
「元老院の館の庭にあった。不気味な木に成っていたんだよ」
「元老院の庭?鐡、何か見たか?」


鐡は見たままのことを話す。

「あのジジイ、この実からネオメギドに変化させていたぜ。いや…実自体がネオメギドなのか?
ネオメギドは植物系だ」
「鳶旺(えんおう)に対しては実が怪人に変化したわけね。早速この実を調べてさせて貰うよ」

蔦沼はあっさりと実を受け取る。西澤は「大丈夫かよ」という反応。


「長官、異次元の実ですよ!?いいんですか!?」
「元老院以外には実は反応しなそうだし、ゼノクなら研究するには施設が堅牢だから万が一怪人化しても大丈夫だから」


相変わらずノリが軽いなー。長官はそういう人だからしゃーないのか…。

ネオメギドに対しては今のところ暁と紀柳院頼りになってしまっているし、早いとこ実を解明しないと紀柳院の命が危ない。
他の隊員も負傷してると聞く。ネオメギド攻略はこの実の解明が鍵かもしれないな…。


こんなことがあったのでリモート会議は中止になった。



鼎は目を覚ましたらしい。嫌な記憶が蘇る。


過去に鼎は怪人に無理やり仮面を外されそうになったことがある。いや…あれは無理やり外された。
いきなり拉致られ、倉庫に入れられ動けないようにされ、その怪人は人間態で迫り必死に抵抗する鼎の仮面に手をかけ、無理やり外した。

あれは屈辱的だった。あの怪人の顔は忘れられない。人をいたぶることを快楽としている顔をしていたから。


御堂と彩音により、助けられたが鼎の心は深く傷ついた。これは晴斗がゼルフェノアに入る以前のことだ。

鼎が素顔を見せることが出来る人物は、彼女が心を許した人しかいない。だから素顔を知る人物はごく少数。


あの時の怪人には逃げられたんだっけ…。あいつ、狂気に満ちていたが冷たい目をしていた。
鐡とは似て非なる怪人。あいつは一体何者?



異空間・元老院。元老院は今や鳶旺だけとなったように見えたが、ある幹部を1人残していた。
それは過去に鼎を拉致し、無理やり仮面を外した男。狂気に満ちていたあの怪人だった。


「再びお前の出番が来たよ。都筑悠真の能力(ちから)を奪うにはお前が最適だからねぇ…。ネオメギドでもいいが。お前…あの女をいたぶりたいか?」

鳶旺は嬉しそうに声を掛ける。その幹部は元老院の者であるにもかかわらず、仮面を着けてない。
元老院では破格の扱いの幹部らしい。


「あぁ。紀柳院鼎のことだよなぁ。いたぶりたいなぁ…。素顔にされた時の泣きそうな顔、忘れるわけがない」
「ネオメギドを従えて出撃せよ。そこに5体いるだろう?」


鳶旺はある方向を示した。そこにはネオメギドが5体控えてる。その男はネオメギドを見て一目で気に入った。

「これが『ネオメギド』か。攻撃力が高いと聞いたが」
「血の気も多いからうってつけだ。現に紀柳院を負傷まで追い込んでる」
「あと一歩、足りないんだな…。なるほど。鳶旺、その命は賜った」

「任せたよ」


鳶旺はほくそ笑んでる。この男は実績がある。
あの時、ゼルフェノアに撃破されかけたこの怪人は鳶旺により救出された。



鐡はあることが引っ掛かっていた。元老院は今は鳶旺しかいないはずだが、1人…幹部が残っていたはずだ。
俺と似て非なる怪人…。狂気に満ちた男。

あいつが出てきたらマズイ。



謎の男は異空間からネオメギド5体を従えて人間界へと場所を変えていた。

「さて…君たちは街を襲撃するんだ。俺は2年ぶりにあの女…紀柳院鼎と再会しようじゃないか」



ゼノクでは急ピッチで異次元の実を調査中。

「なんか嫌な予感がするんですよね…。ネオメギド以外の何かが出そうで」
西澤はそう呟いた。蔦沼は淡々と調査中。

「早いとこ調査を終わらせなくてはね…」
「長官、鐡が何か元老院がどうとか言っていたような気がするのですが」
「西澤、ネオメギド以外の何かを出すかもしれないな。本部と支部に警戒しておけと伝えておいてくれ。防衛システムは起動させろとね」

「了解しました」