晴斗と鼎の対怪人用ブレード・恒暁(こうぎょう)と鷹稜(たかかど)が突如人間の姿となってから数日経過した。

その間に2人はそれぞれの相棒、人間化したブレードと交流を深めていた。



鷹稜は見た目からしてマジシャンなせいか、時々鼎や他の隊員達にマジックを見せては楽しませてる。
鷹稜は人を楽しませるのが好きらしい。


鷹稜は鼎の前でマジックを見せていた。
「タネも仕掛けもありません」

彼は両手を裏表見せ、何もありませんよ〜。マントをヒラヒラさせて何もないですよ〜と見せている。

「これからお花を出しましょう。いきますよ〜。ワン・ツー・スリー!はいっ!」
何もないところから赤い花を出現させた。心なしか、鷹稜は嬉しそうだ。


「鼎さんにあげますよ。お花、好きでしょう?」
「知っていたのか」
「そりゃあもちろん」

「最初は変な感じがしたが、鷹稜は人を楽しませるのが好きなんだな」
鼎はいとおしげに花を見てる。


「私は主である鼎さんを反映していますからね…。もしかしたらあなたの内面が反映されたのかも。この出で立ちは最近変わったんですよ」
「内面が反映された…?」
「恒暁の見た目は防弾チョッキにプロテクターを着けた青年の姿ですが、あれは主である晴斗くんの性格が反映されたのでしょう。
現に恒暁は好戦的です」
「お前はそうは見えないが…」

「私はエンターテイメントショーとして戦っていますからね」
「だからお前、独りでにブレードが動いたのはそれなのか!?」
「まあ、そんなところかな」


鼎はこんなことを呟いた。

「お前が人間の姿で現れたのは、何か意味があるのだろうか…」
「あるかもしれないですね」


鷹稜は優しい声だ。見た目は奇抜なのに、意外。ギャップが激しいということか?

「今頃恒暁は暴れているみたいですね。人間の姿が楽しいんでしょうか」
「わかるのか?」
「ブレード同士だからわかるんですよ」

「お前も人間の姿、楽しんでいるではないか。マジック見せたりとかして」
「楽しいですよ」



本部・トレーニングルーム。


恒暁は晴斗と手合わせしていた。


「晴斗、なかなかやるじゃないの。もうちょい体の芯を意識して攻撃すれば確実に行ける」
「なんでお前、アドバイスしてるのさ」


「晴斗にはもっと強くなって欲しいからね。人間の姿なら手合わせ可能だし、話も出来るだろ?
俺が元の姿に戻るまでは話しようよ」
「お前、意外と馴れ馴れしいんだな…」

「ブレードは主によって反映されるんだよ、俺の見た目や性格もね」
「たから恒暁は好戦的なのか…」


晴斗、腑に落ちる。



宇崎は蔦沼とリモート中。


「それにしても不思議ですよね、ブレードが人間の姿になるなんて。
晴斗と鼎はブレードと交流してますよ」

「なぜ突如人間化したのかは未だにわからないままだ。
人間化したことによって、人間とブレードの繋がりは深くなってる。こんなことってあるんだなぁ」


蔦沼、感慨深げ。ヒトとモノ、それも武器との繋がりが可視化されるなんて。
この組織は暁が入ってから、イレギュラーなことばかりが起きている。

暁は意外性があるんだろうか…。



晴斗と恒暁は休憩中。


「恒暁、飲み物いる?」
「いや、俺は飲む必要ないから」
「お前、俺のエネルギーさえあれば十分なんだっけか…。忘れてた」


晴斗と恒暁は笑いあってる。



休憩所では自然と御堂達も恒暁と話をしている。


「恒暁って、鷹稜のこと…なんとなくわかるのか?」

「わかるよ。今、鷹稜は主のところにいるね。
俺達はある程度主から離れていても動けるんだ。エネルギーはある程度離れていても、届くから」
「恒暁さん、わかるんだぁ」

時任も興味津々。

「鷹稜さん、意外と律儀っすよね〜。マジック見てると楽しいし」
「…あ、鷹稜来たぞ」


御堂は休憩所の出入口を見た。めちゃくちゃ腰が低い。


「恒暁、今日はやっと本部に来れましたよ〜」

「鷹稜、なんだか満喫しているな。楽しそうじゃん」
「人との交流は楽しいですね。この姿だから言葉を交わすことも出来るから」
「ま、仲良くやっていこうぜ。主のために尽くすのは同じだからな」


ブレード同士、結束が固いようだ。


「このままでもいい気もしますが、やはり私達は元の姿に戻らないとならない気がします」
「やっぱりそうだよな〜。いつまで俺達はこの姿なんだろうな…。主も戸惑ってるのがわかるんだよ」

「私の主も受け入れてますが、やはりまだ戸惑っているようでした」
「まぁ、仕方ないよな。割り切っていこうな。鷹稜は真面目なんだね。律儀というかさ」

「そ、そうですか…?」


鷹稜、かなり戸惑ってるが、動きがコミカル。

「私の主は冷淡な言い方をしますが、本当は優しい人なんですよ。不器用なだけで」
「不器用…か。俺の主もむちゃくちゃだけど、いい奴だよ」


それぞれ、主には思いがあるようで。側にいるからこそ、わかることもある。





第46話(下)へ続く。