数日後。御堂達は怪人と交戦中。
「また出てきやがった!どうなってるんだよ!!」
御堂はイライラしながら銃をぶっ放つ。
「たいちょー」
「なんだよ、いちか!」
「異界から人質を憐鶴(れんかく)さんが解放したから、こんなことになってんのかな…って」
「あいつは悪くねぇだろ!消えた人達をわざわざ異界に行って解放してんだぞ!!
…憐鶴のやつ、絶鬼を倒すためだけに『闇の執行人』になったのかなって」
「それ、ありそう」
御堂といちかは怪人を撃破。御堂は銃をしまう。
「だとしたら、憐鶴が狙われる可能性がめちゃくちゃ高い。
室長から聞いたんだが、鼎と憐鶴は重要なんだとよ。だから協力してんだよ、あの2人。まさか表と裏の人間が協力するなんてな」
「憐鶴さん、襲撃されたらそれこそヤバいっすよ!」
「あいつは頭が切れるから、なんとなく察しているかもな」
本部隣接・組織直属病院。鼎の病室。
「また来たのか、憐鶴」
「絶鬼の活動が活発化しています。それを知らせに来たのです」
「そう言われても私はまだ退院出来ないぞ…」
「わかっています。あなたを襲撃した怪人は絶鬼の手下・禍鬼だと判明しました」
「…いつ調べたんだ?」
「長官と西澤室長が調べてくれたのです」
「お前…わざわざゼノクから来たのか?」
「それは秘密です」
秘密主義か…。
ゼノクでは西澤が地下を探索中。するといきなり蔦沼と遭遇した。
「わ!わわっ!?長官!?」
「何驚いてんの、西澤。ずっと前から地下探索してたの…知ってたよ」
バレた!!
「隠し通路2つ見つけたのはすごいが…この壁の意味、全然わからなかっただろ?」
蔦沼は壁の色が違う場所を示した。あれは3つ目の隠し通路ではないのか?
「これはね、異界文字が刻まれてるの。ここは異空間ゲートなわけ」
「異空間ゲート?あの部屋のものとは違うんですか?」
蔦沼はすっとぼけたように答えた。
「違う場所に繋がるゲートだよ。この異界文字は憐鶴じゃないと解読出来ない。彼女の力なしでは行き来出来ないわけ。
ちなみにこのレリーフは本部と支部にもあるよ。地下にな」
「…泉憐鶴って、一体何者なんですか…。異界の人間?」
「違うよ。異界文字解読は僕が鍛えておいたの。
泉憐鶴の本名はわかっているよね。『御子柴紗綾』なの。
10年前にかくかくじかじかあって、名前変えたんだけどさ」
「憐鶴のあの包帯、特殊仕様ですよね。あれはなんで?」
「絶鬼に襲撃された後遺症を隠すためだよ。異界では元の姿になるんだが、どういうわけかこの世界ではとてもじゃないが…人前には出られない状態になっている。完全に元に戻るためには、首謀者の絶鬼を倒さなければならない」
「特殊請負人を作ったのって、そのため?」
「まぁ…そんなもんかな」
軽いなっ!!
鼎の病室では憐鶴が引き続き話をしてる。
「異界ではお前…元の姿だったよな。執行人をしてるのは全ては元凶の絶鬼を倒すためか?」
「そうですね。絶鬼を倒せば元に戻ると聞いたので」
「憎しみだけでは何にもならないというのにな…。憐鶴は復讐に取り憑かれている」
「…私はそろそろ行きますね」
「また倒すのか」
「絶鬼の手下が出ているんですよ。紀柳院さんは死んだと思い込んでいるようですが…」
「憐鶴、お前も気をつけろ。狙われるかもしれないぞ」
「わかっています」
憐鶴は病室を出ていった。
なんとなく背中が寂しく見えたのは気のせいだろうか…。
憐鶴は仲間らしい仲間がいないと聞いた。世話役の姫島くらいだと。
彼女はひとり、孤独にずっと戦っていたのか…。
都内某所。憐鶴は愛用の対怪人用鉈・九十九(つくも)を手に怪人もとい鬼狩りをしていた。
数が多い…!
憐鶴が孤独に戦う理由、それは周りを傷つけたくないことから来ていた。仲間なんていらないと。
だが仮面の司令補佐・鼎に会ってから→異界の件以降、憐鶴の中で僅かに変化が出始める。
「憐鶴さん!」
応援に来たのは晴斗と霧人。
「なんで来たんですか…」
「ごたくはいいから倒すの追いつかないでしょ!?
孤独に戦うのもいいけど…せっかく出来た仲間を頼ってよね!」
「仲間…」
私は独りだと思っていた。
本当はそうでないと知る。自分のバックにはいつも長官がいたし、姫島がいてくれた。
晴斗と霧人は援護する。
「霧人さん!そっちお願い!」
「了解」
憐鶴は油断してしまう。その時だった。禍鬼が突如姿を現し、彼女に囁く。
「見つけましたよ。執行人」
「お前は禍鬼…!?」
「あなたも終わりです」
禍鬼はナイフを憐鶴に突きつけた。刹那、晴斗が禍鬼に反撃。
「憐鶴さん!逃げてーっ!!」
「で、でも…」
「こいつは俺がなんとかするから早くっ!!」
憐鶴は晴斗に促されて逃げることにした。禍鬼は追うが晴斗のブレードの力に阻まれた。
晴斗の対怪人用ブレード・恒暁(こうぎょう)が発動。
禍鬼は圧倒的な力に圧され、やむなく退散することに。発動によるダメージはかなりのものだった。
「なんなんだ…あのガキ…強い……」
禍鬼はぼろぼろの姿で絶鬼の元へ。絶鬼は冷たい目線を向け、言い放つ。
「禍鬼、お前はもう用済みだ。失せろ」
「絶鬼!チャンスをくれ!くれよ!」
「却下」
絶鬼は手のひらを禍鬼に翳した。禍鬼は一瞬で業火に包まれ、消される。
それを遠目に見ていた裂鬼。
「絶鬼様、容赦ないね〜」
裂鬼はニヤニヤしてる。
「禍鬼は捨て駒だからな。裂鬼、お前も消されないようにしろよ」
「は、はい…」
裂鬼、怯える。
絶鬼の恐ろしさを垣間見た裂鬼なのであった。
私もいつか、消されるのだろうか…。