佐賀県唐津市鎮西町に知る人ぞ知る奇妙な建造物がある。小高い山々に囲まれた窪地にあるのは、『日韓トンネル』だ。
窪地を挟み込んでいる2つの小高い山の間にはレールの敷かれている鉄橋があり、その上に敷かれているレールが山肌にポッカリと開けられたコンクリート製の穴へと吸い込まれている。

この『日韓トンネル』は、「日本と韓国の間をトンネルで結ぼう」という計画の元に造られたもので、1981年に世界基督教統一神霊協会(統一教会)の故・文鮮明氏が提唱した。
完成すれば、九州北部にある唐津市と韓国の釜山を結ぶ総延長約200キロのトンネルとなる。
ちなみに、トンネルを往来することができるのは列車のみとなる。

鉄橋からトンネルの奥に向かっている2条のレールの傾斜はかなりキツい。今時、JRの在来線でもこんなところはないだろう。
ボールを放り込んだら200キロ以上のスピードで転がっていきそうだ。
どうしてこのようになっているのかと言うと、このトンネルは、本坑が掘られる前に造られる"調査斜坑"だからだ。

調査斜坑は、本坑ができたときに出水した水を地上に送り出したり、資材などを運んだりするための役割を担うもので、実際に列車を走らせることはない。トンネルはすでに540メートルほど掘り進められていて、「第3期工事」まで終了している。
しかし、JRにも私鉄にも繋がれていないレールがトンネルと直結しているのは、どことなく違和感を感じる。
現場にいた関係者が、くったくのない表情で熱心に語ってくれた。

「この工事は、ひとまずここで終わりになります。計画としては1300メートルほど掘り進める予定がありますが、この先に公道がありますので、これ以上掘り進めることはできません。これからは、対馬から韓国に向けて掘り進めることになります。
これまで莫大なお金を使ってきましたが、元々、このようなことをやるためにはお金がかかります。
ちょっと前に一般財団法人となったので、そこで工事を進めているのですが、このことによって、どのような団体・個人からも寄付を募ることができるようになりました。もちろん、他の宗教団体からの寄付を受けることも可能です。
もう壷を売ったり、何かをしたりするようなことはありません。寄付は一口5000円からです」(以下略)
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