「鷹稜(たかかど)が反応しなくなった!?」
謎の怪人戦から数日後。御堂が大袈裟に反応してる。


鼎は謎の怪人によりダメージを受けたため、まだ怪我から回復していない。
彼女は深刻そうに答えた。

「あの怪人戦からブレードが反応しなくなったんだ…。これでは発動が使えない」
「それって何気にヤバくねぇか?鼎の怪我の程度は軽いが、怪人に容赦なくやられていたからな…。
またあるかもしれない。ブレードの件は小田原司令と北川さんに聞いてみる…ってか、ブレード借りるぞ。見せた方が手っ取り早い」

「御堂、ありがとう」
「鼎はゆっくりしてろ。あんだけボコられた上に仮面割られてるんだ…」


鼎は軽傷だったが、心の傷は深い。



支部・司令室。小田原と北川が謎の怪人について話してる。

「紀柳院を執拗に狙ったあの怪人、今までのと明らかに違うタイプだな」
「彼女の怪我は軽傷で済みましたが、あれだけ殴られ蹴られていますからね。
あの怪人は紀柳院を狙うために作られたようにしか見えないな。仮面を狙うあたりが…」

「弱点を意図的に狙っている。紀柳院はあの後、どうしたんだ」
「俺の側から離れませんでした。相当怖かったのでしょうね。仮面を怪人に割られた恐怖が襲ってきたのかと…」


そこに御堂が入ってきた。

「小田原司令、北川さん…鼎のブレードが反応しなくなったって、彼女が言ってたんだが…。鷹稜を見てくれないかな」
御堂は鼎のブレード・鷹稜を見せる。北川は鷹稜を受け取った。


「御堂、紀柳院から借りたのかい?」

「俺に相談してきたんだよ…あいつ」
「わかった。俺と小田原司令でこのブレードを見てみよう。俺達でダメならゼノクで見て貰うしかないが」


御堂は気になっていたことを聞いた。

「あの怪人は一体なんなんだ!?今までのと明らかに違うし、鼎を執拗に狙ってた…」
「今調査中だよ。考えられるのは元老院が密かに開発していたとか、そんなところだろうな。
あれだけ攻撃的となると…君たちだけでは撃破が困難になる」

「そんなにもヤバいのか!?」
「かなり危ない怪人だよ。あの時は俺がいたから良かったものの、ターゲットは『敵の攻撃無効化能力』を持つ紀柳院に絞られている…。暁がスルーされてるあたり、意図的だ。
彼女はある条件を満たさないと能力を発現しないみたいだが。あ、そうだ。この箱を紀柳院に渡してくれ。
彼女の『能力の代償』から守るアイテムだよ」


御堂は箱を受け取る。


「これは?」

「都筑家の本家筋から色々と聞いたんだ。そしたらこの『守り刀』が有効だと聞いてね。
俺は長官から密命を受けてたの。紀柳院に渡すんだよ。大事なものだから」
「はい」


北川さんは密命を受けてただと!?臨時隊員ってそんなこともすんのかよ!?
それよか都筑家の本家筋って…。都筑家どころか「一族」規模じゃねぇか!



支部隣接・組織直属病院。


御堂は鼎にその箱を渡した。鼎は恐る恐る受け取る。


「これは何の箱だ?」
「北川さんからだ。お前の能力の代償から守るための『守り刀』だってよ。持ってるだけでいいらしい」

「ブレードについて何か言ってなかったか?」
「小田原司令と北川さんでブレード見るから心配するな。それよりも鼎は怪我の回復が先だろ?。守り刀は俺が預かっておくから」



「あの怪人についてはまだわからないのか」
鼎は深刻そうに聞いた。

「調査中だ。ただ今のところわかっているのは鼎を明らかに狙っていることだけだ」


私を明らかに狙っている…。
御堂は病室を出た。



支部・隊員用休憩室。


晴斗は鼎が気になっている様子。

「鼎さん、大丈夫そうに見えなかったけど」
「仮面割られたショックもあるからね…」

彩音も心配そう。晴斗もあの怪人が引っ掛かっていた。

「あの怪人、めちゃくちゃ強かった。なんだよあいつは」
「調査中だって聞いたけど…」
「パワーアップしてんのは確かだし、なんかもやもやするーっ!!」



異空間・元老院。鳶旺(えんおう)は庭に不気味な木が生えているのを見つける。木には大きな実がなっていた。実は禍々しい色をしてる。


「この実は…絲庵(しあん)が残したものか。なるほど…」

鳶旺はこの実からあのパワーアップした怪人が生まれていたと知る。
だから植物由来なのか…。


鳶旺は実をひとつ、もいだ。実はみるみるうちに怪人へ変化。

「あの仮面の女を襲撃しなさい」


鳶旺は怪人に一言、命令した。謎の怪人は動き出す。





第38話(下)へ続く。