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少年は潔癖でいたかった。

八鳥さん
「なんや、お二人さん(笑)
ラストサマーバケーション、楽しんで〜」


突き刺さる 冷たい視線

手のひらを振りながら
その場を、去っていく 八鳥さん




「待って!話を聞いてください」



八鳥さん
「お前ら お似合いやと思うで」



八鳥さんがいなくなった
裏で 肩を落とした




「…なんて、強烈な皮肉だ」





風くん
「僕たち、お似合いらしいですよ」


「なんで、風くんは いつもいつも
にこにこしてんだよー
否定しろよー、ばか」

風くん
「猫柳さん、僕とお似合いが
嫌なんですか?」


「お似合い…
どーこーの話じゃなくってさ」








数分前








風くん
「ねっこやなぎさーん」


「なんや、かまってちゃん」

風くん
「今日も暑いですねー」


「そうだねー」

風くん
「あ、ゴキブリ!」


「うおぉおおぃっ! どこ?」



私はびっくりして、壁側に身を寄せた



風くん
「うそぴょーん」


「その嘘、心臓に悪いやつや」


胸を撫で下ろし
作業に戻ろうとする私の元へ
風くんが突っ込んできたのだ

その日は、足場が悪く
ラードでビッチャビチャに濡れていた





ドンッ






風くんは、壁に両手をついて
こけない姿勢を保ったが




このシチュエーションは…

女子なら誰もが憧れる

まさしく 「壁ドン」




相手、イケメンじゃないけど←え

風くんだけど←え





八鳥さん
「大丈夫かー!!
今ドンって、凄い音したけど…」


と、駆け寄ってきた 八鳥さんに
現場を見られてしまったのだ











「風くん、誤解されちゃいますよ?」



私は、大きなため息をついた



風くん
「もう少し、このままでいていいですか?」


「無理! 早く退け」

風くん
「猫柳さんは、なんにでも
反応くれるから 嬉しいんですよね」


「はよ、退けって(笑)」





風くんは、壁から手を離すと




風くん
「八鳥さんへは
僕から、誤解 解いときますね」



爽やかな笑顔を見せて
立ち去って行くのだった



もう少し このままでも
よかった、かな?








風くん
「八鳥さん、違うんすよー
あれは 猫柳さんが やってって言うから」


「言うてない! 言うてない!」

何もかもを置き去りにする準備を。

風くん
「ねっこやなぎさーん」


「なんやねん、その顔
なかなか キモいぞ
なんか いい事あったんかいな?」

風くん
「店長から 聞きました〜」


「なにを?」

風くん
「猫柳さん、振られたらしいっすね
くっそダメ男に(笑)
さっすが 自称、だめんずメーカー」


「(イライラ)うっさいわー(笑)
断る勇気や、優しさも大切やってこと
情けは人の為ならず←よー身に沁みたわ」

風くん
「勿体ない人だと思います」


「え?」

風くん
「猫柳さんが彼女やったら
鼻が高いですのに」


「なに? お前も貢がれたいんかい
もう誰にも金らやらんぞ」

風くん
「怒らないでくださいよー
本心です、本心」


「はいはい」

風くん
「もう騙されないでくださいね」


「心配してくれるの? ガキが一丁前に」

風くん
「おお!相変わらず威勢の良いお方だ」


「振られて悲しんでるとでも?
一ヶ月程前の話やで
風くん、そのネタ 乗り遅れてる(笑)」

風くん
「ネタは、スタリ腐れてからが本番でしょう?」


「(笑)」

風くん
「猫柳さん、脇 綺麗…」


「うおぉおおぃっ!
お前 どこ見とんねん!!」

風くん
「見たくて見たわけじゃない
視界に入ってきたのは、そっちでしょーよー」


「見えたとしても、ストレートに伝えすぎ
見えても普通は言わんし」

風くん
「いや、あまりに綺麗だったのもですから…」


「きーもーい」

風くん
「脇が綺麗だと褒めてるのに
なんですか! きもいとは!
そこは素直に ありがとうでしょ」


「あー、ありがとう(笑)」

戻らないモノが多いということ。

たかみつ
「おーい、猫柳 ともも病から
まだ 復帰しやんのかーい?」


「ともも病て 呼ぶんやめい(笑)
グルチャには、もう戻らんよ
だって とも居てるんやろ?」

たかみつ
「まあ、そやけどさ 猫柳 居らんかったら
オイラのテンション ダダ下がりー」


「知らん(笑)」

たかみつ
「掘り返すようで悪いんやけどさ
猫柳は、なんで とももにお金あげてたん?」


「それ、前にも聞きましたよね?」

たかみつ
「うん、けどなー
オイラ色々 考えててん」


「なんですか?パパ」

たかみつ
「猫柳のパパらちゃうぞー(笑)
猫柳はさ、ともに捨てられるのが嫌で
貢いでたん?」


「わかんない」

たかみつ
「好き云々、一人になるのが怖かったんやろ?」


「そうかもしれませんね」

たかみつ
「オイラ前にさ
オイラもツラそうな顔してたら
お金くれるん?って話ししたやん?」


「しましたね」

たかみつ
「で、猫柳 あげるって言うてたやん
それは 友達であるオイラを失いたくないから
そうしようと思ったんやないの?」


「かもしれません」

たかみつ
「友達を失うのも、恋人を失うのも
どちらを失うのも 怖いよな」


「いえす」

たかみつ
「だからって、貸しちゃ メッ!」


「もう連絡すら とってないですよ
縁切ったんで」

たかみつ
「そーなんや」


「けど、未だにモヤモヤはしますよ」

たかみつ
「なんで?」


「好きじゃなかったんでしょうね
そもそも(笑)
そのことに早く気がつければ
あんな無駄な時間を過ごすことに
ならなかったのかもしれません」

たかみつ
「そや! ともも、大してイケメンちゃうぞ」


「ひどっ! イケメンじゃないよ?
けど ブスでもないよ?」

たかみつ
「オイラのほうが 何倍も男前!」


「自分で言うな!」
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