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第28話(下)

蔦沼はなんとなく感じていた。これまでにゼノク周辺に現れた敵は幹部・元老院副官・そして鐡。
この流れからするに次に来るのは…元老院の長が濃厚。


蔦沼はゼノクにシールドを張るように、西澤に伝えた。
「防衛システムはシールドだけ常に張っておいてくれ。研究施設を重点的に。あと本館・病院と各居住区もな」
「前もってシールド張るんですか!?」


西澤はどう反応していいのかわからない。蔦沼は念を押す。

「元老院の長・鳶旺(えんおう)がいつ、襲撃するかなんてわからないからね。被害を拡大させるわけにはいかないでしょ」
「確かにそうですが…もし、鳶旺が出現したら一体誰が行くんですか?」


「そりゃあ…僕しかいないでしょう。今現在、鳶旺と互角に戦える人間は自分以外いない。隊員には酷すぎるからね。強さが桁違いなんだよ…あいつは」


西澤は必死に制止しようとする。

「いや…ですが、長官。長官は10年前にその鳶旺に敗北しているじゃないですか!?両腕切断されてるじゃないですか!?何も身を削らなくても…」
「鳶旺は次元が違うんだよ。まさか鐡という、鳶旺と同等かそれ以上の奴がいたのは想定外だったが。とにかく…鳶旺が出現したら『長官命令』を行使するよ」

「長官命令使うってよほどじゃないですか!そんなにもヤバい敵なの!?」
「かなりヤバい」


司令室に緊張が走る。西澤は蔦沼に根負けした。
「わかりましたよ。シールド展開しておきます」


蔦沼は南と共に執務室へと戻った。



ゼノク・執務室。
蔦沼は南に予定の確認をしていた。

「南、敵の出現次第では今後の予定は変わるかもしれないから、そこんとこよろしくね」
「わ、わかりました。長官…何もそこまでしなくても…」

堅物の南も少し言葉を選んでる。



ゼノク周辺にシールドが張り巡らされた。
これに気づいたのは鼎。一部の職員も気づいた模様。


シールド?何のために…?強敵でも来る前触れなのか…?

鼎は窓ガラス越しにシールドを見た。鼎は彩音に呼ばれ、窓際から離れた。



ゼノク・トレーニングルーム。ゼノクにも複数のトレーニングルームが完備されており、ゼノクにもシミュレーション怪人装置が完備されている。


晴斗は上総と一緒に鍛練中。
「なかなかやるじゃねぇか!暁っ!!」
上総は楽しそう。

「壱之助、忍者みたいだな〜」
「名前は『イチ』でいいよ!照れ臭い!」


上総はゼノク隊員から「イチ」という、愛称があるようだ。
そこに二階堂も鍛練にやってきた。

「二階堂もトレーニングか!?」
上総は元気そうに聞いてる。

「鐡の脅威を見た以上、さらに強くならなくてはなりませんからね」
二階堂はシミュレーション怪人装置を起動。そしてバーチャル怪人「中」でひとり、戦い始める。

二階堂は義手を展開させ、次々銃撃。さらに刃物展開させ、斬りつける。バーチャル怪人は二階堂に飛びかかるが、二階堂はそれを交わし→義足の仕込み刃を展開させ、一気に蹴りあげながら斬りつけた。


二階堂さん、めちゃめちゃ成長してる…。
晴斗は思わず見とれてしまっていた。

二階堂はバーチャル怪人を倒した。倒したバーチャル怪人は消える。



別のトレーニングルームでは、鼎がダミーブレードでバーチャル怪人と戦ってる。

バーチャル怪人のレベルは「中」。鼎は一気に斬りかかり、蹴り技も駆使し叩き込む。
バーチャル怪人「中」をクリアしなければ、鐡や元老院は倒せない。特に鐡…。


あの男…愉快犯タイプなのか、イカれてるのか狂気に満ちていた。
あれで本気じゃないだと…!私達は勝てるのか…?


鼎はさらに攻撃を畳み掛け、バーチャル怪人をなんとか倒す。バーチャル怪人は消えた。

鼎はほどよい疲労感を感じていた。心地よい疲れ。


彩音は鼎がいるトレーニングルームに飲み物を持っていく。

「鼎〜、飲み物持ってきたよ〜。休憩しようよ」
「あ、あぁ」

鼎はダミーブレードをしまう。彩音に向けて鼎は振り返った。白い仮面が見える。
心なしか、疲れてる?


「鼎、疲れてるの?」
「え…」
「なんか今…すごいキツそうに見えた気がして。気のせいだよね…」

「最近戦闘続きだったからな…。それもハードなものばかり」
「強敵が出てきたのもあるのかもね。時々休みなよ」


彩音は鼎を気づかった。



シールド展開されたゼノクは異様な空気になっていた。防衛システムはシールド展開だけなため、ゼノクのメイン施設や居住区などは出入り可能となっている。

館内は至って普通で、防弾シャッターは閉じられていない。
このシールド展開状態のゼノクはゼノク周辺施設に住んでいる人々からしたら、恐怖。いつ敵が来るのかわからないからだ。


西澤はそれを心配していた。入居者は眠れない夜を過ごしているかもしれないと。


蔦沼は組織用居住区の自室で義手のメンテナンスをしている。南の部屋は隣なせいか気にかけてる様子。


「長官、そろそろ寝たらどうなんですか」
「義手を戦闘用として使うとなると、メンテしないとマズイじゃない。南、もう寝てもいいよ」

「いいのですか」
「元老院の長との戦いは僕の戦いでもあるからね」



第28話(上)

鐡の襲撃から約1週間後。ようやく晴斗の日本刀型ブレード・恒暁(こうぎょう)の調査結果が出る。


「ずっと借りててごめんね。君のブレードを返すよ」

返しに来たのは西澤。晴斗はブレードを受け取る。西澤は続けた。


「調査結果なんですが、あのイレギュラーな発動は超攻撃型であると判明したんだ。体力の消耗、半端なかっただろう?どうやら体力と引き換えに力を発揮するタイプのものらしい。
あと、考えられるのは『怒り』が発動のスイッチになっていたのではという説。何か心当たりないか?」


晴斗は鐡戦を思い出す。無我夢中で鐡と戦っていたが、鐡が嘲笑いながら街を破壊す姿が許せなかった。

「西澤室長…俺、あの時めちゃくちゃ鐡が許せなかったんだ。鼎さん達を罠にハメて俺目当てであんなにヘラヘラしているなんて…」


そこに蔦沼が姿を現した。

「どうやら鐡は愉快犯的な感じでバトルを楽しんでいる節がある。ずっと人間態だっただろう?」
「確かに」
「鐡はまた暁のところに来るだろうよ。このイレギュラーな発動は『怒り』が原動力になっているみたいだし、ブレードが共鳴したのかなぁ」


共鳴?


「調べたらあのオレンジ色のブレードはプログラムされていなかったものだとわかったんだ。宇崎が言ってたよ。
君の父親も『怒り』を原動力にして戦っていたな〜。怪人の悪行が許せなくてね。陽一と君は本当に似ている。僕が司令時代、陽一は隊長やっていたからね」


ゼルフェノア黎明期に父さんと長官は同期だったの!?同じチームにいたってこと…!?


蔦沼はゆっくり話そうかとある部屋へ晴斗を通した。西澤は司令室へと戻る。

「暁、ゼルフェノア黎明期について知りたいかい?」
「父さんが隊長だったことしか知らない…知りたい」

「ゼルフェノアはたった10人のファーストチームから始まったんだ。僕が司令・後輩の宇崎は研究者・支部の小田原司令は当時隊員だったのさ。君の父親の陽一は隊長をしてた。
ファーストチーム名義からゼルフェノアになった当初の初代司令の北川もいたよ」
「北川さん…名前だけ聞いたことある。父さんと仲良かったんでしょ!?」


「なんで知ってるんだ…」
蔦沼は驚きを隠せない。


「父さん、よく言ってた。『北川司令』にはよくして貰ってたって。12年前のあの都筑家放火事件…父さん間に合わなくて助けられなくて泣いてたって」

「都筑悠真は『紀柳院鼎』として、名を変えて生きてることを君の父親は知ってるはずだよ。ずっと黙っていただけで。おそらく…君の母親も」
「母さんずっとあの事件のこと、タブー視していたのに…最近になってから受け入れてたのって」

晴斗は何か思い当たるようだ…。


「陽一から悠真が生きてたことを聞いたからじゃないかな。『紀柳院鼎』という、仮面の隊員となって」


それにしてもゼルフェノア黎明期には「ファーストチーム」なる、前身の組織があったなんて知らなかった。
北川さんは「ゼルフェノア」名義になってからの最初の司令だったんだ…。

後で長官から聞いたが、ゼルフェノアはファーストチーム時代込みで20年経ってない組織だということを知った。



ゼノク・司令室。
蔦沼はマイペースに司令室へと戻ってきた。

「暁に変なこと話してないよね?長官」
「話すわけがないでしょう。暁は陽一からある程度聞いてたみたいだ。北川がいればな〜。あいつ、元気かなぁ」

蔦沼は北川と繋がりがあった様子。
「まぁ、北川も臨時隊員だから呼ぼうと思えばすぐに呼べるか」
「北川さん、臨時隊員なの!?元司令が臨時隊員って、なんかすごいな…」


蔦沼は嬉しそうに話してる。

「北川はな〜ヤバいんだぞ〜。司令なのに自ら現場にガンガン行ってたし、あの連続放火事件を機に色々あって辞めちゃったけどさ…。まさか暁と紀柳院がその犯人を倒すとはね」

「案外隊員の活躍見てそうだな…その人」
「見てると思うよ」



異空間・鐡の本拠地。
鐡は幹部2人を呼んでいた。


「あの…ありがとうございます。元老院から解放してくださって」
杞亜羅(きあら)が丁寧にお礼を言う。鐡はいつもの調子。

「そう、かしこまんな。元老院の道具になるお前らが見たくなくてやったんだ。いいか?元老院を潰すぞ。あいつらとんでもねぇ計画立ててるかもしれねぇからな。
お前らが元老院の道具になってる間、あの館を調べたのよ」


釵游(さゆう)も話を聞き入っている。


「あの館、隠し部屋らしきものがあったな。絶対に怪しい。近々超小型メギドをスパイとして送り込む」


超小型メギド!?


「目視するのも難しいくらいに小さい怪人だよ。そいつらを大量に放つ」
「群れでやるの!?」


杞亜羅は「えぇ!?」というリアクション。

「超小型メギドは群れで動く習性があるからな。あいつらには作れない、高性能な怪人だよ。単体だと弱いが群れると強いぜ」


あぁ…鐡様は本気で元老院を潰す気だ。



異空間・元老院。


「…で、長はどうするんですか。鐡がまた来る可能性がありますが」
「放っておけ。あんなやつ、一過性に過ぎんだろう」


鳶旺(えんおう)はまだ鐡の脅威に気づいてない。

「鐡がまた攻めてくる前に先に蔦沼をだな…」
「蔦沼に対しては相当根に持っているみたいですね…」


あの男とは因縁がある。そろそろ私が行こうとするか…。





第28話(下)へ続く。

無題

話題:おはようございます。
昨日の拍手7個ありがとうございます。なんかめっちゃ変な夢を見た。覚えてないけど。



詳細設定、ゼノク編1微追加しました。二階堂と上総のところ。
二階堂は追加更新激しそうだが。


ゼノク編、骨組みとなった夢日記+脳内設定ドッキングとほとんど変わってない…。骨組みとなったゼノク編でも晴斗は鐡と戦ってる。サブキャラ、烏丸と七美が続投しちゃってる。

ゼノク主要隊員の面子が微妙に違うとかはあるのだが。二階堂は変わってないです。設定ちょっと変えたけど。



ぶっちゃけ書いてて楽しいキャラは長官と二階堂。御堂と鼎の先輩後輩コンビも対照的で楽しい。敵だと鐡。


長官は自由奔放でマイペースなキャラってのもあるが、西澤の突っ込み込みで。ボケとツッコミみたいになってるゼノク司令塔…。

二階堂は戦闘パートの戦闘兼用義肢の装備展開書いてるのが楽しい。長官もそんな感じになるんだろうけど。義肢がメカメカしいからか?


御堂と鼎はえらい対照的なんだけど、御堂が「動」・鼎が「静」みたいになってんだよね。普段は。戦闘になると変わるが。
鼎さんは意外と度胸あるキャラに変貌してた…。ラスボスクラスの鐡に弾かすめるとか。


鐡は悪のカリスマ的ポジション、元老院の長・鳶旺は悪の黒幕的ポジションとまぁざっくりしてる。
敵の内輪揉め、どうすんのかまだあやふや。どっちかが勝つ展開になるかなーと…。


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