酒場に 衣装棚(ドレッサー) が設置されたと聞き ワタシ達は行ってみることにした………




ここは シュリンガー公国酒場……
扉を開けると 気さくな店主が迎えてくれる


「よぉ おふたりさん…
今日は何にする……」


「こんにちは 店主さん!」

ワタシのパートナーが挨拶する……



「相変わらず元気だねぇ…」


「…あっ……どうも…」


ワタシも続けて挨拶をする…



「そっちは相変わらずだなぁ……」


いつもの会話である……



「でっ 今日は何の用だい?」


「…衣装棚が設置されたと聞いた…見せてもらえるか?」



「あぁ〜あれか?
朝から行列だったんだぜ…」


「…今は少ない様だが…」



「まぁ いつもの事だ
新しいモノが来れば 押し寄せ しばらくすると引いてゆく……
潮の満ち引きみたいなもんだ…」


「それで そのドレッサーは
どこなの?」


「こっから見て入り口の左 ちょっと 行ったところだ

大変だったんだぜ…
いきなり 三国の酒場それぞれにドレッサーを設置(おく)ことになりましたって……
こっちは何がなにやら……」



「して……どう使うのだ?」


「知らん!!……
こっちは場所を提供しただけだからな……
使い方は ドレッサーとやらに書いてあるそうだ」


「つまり…自分達でやれ…と?」



「まぁ そういうこった…
こっちは もめ事には関知しないからな…」



「自己せきにんってことだね」


「……わかった 勝手に使わせてもらう」



「あぁ そうしてくれ…」



ワタシ達はさっそく衣装棚(ドレッサー)に向かった


「へぇ〜 これがドレッサーかぁ…
以外と小さいんだね…」


もっと大きな物と思ったが酒場の角(すみ)に置かれたソレは 見落としてしまいそうになるくらい酒場の風景に馴染み溶け込んでいた……
それでも近づいてみると ワタシの背丈ほどはある……



「…ここに衣装を…掛ければ いいのか?」


扉を開き中を覗いてみた…衣装掛け(ハンガー)がずらりと並んでいる………


「どんどん しまちゃおうよ!」


パートナーは次々とワタシ達の衣装を掛けていく……

公国服 (青) (赤) (緑) (紫)……
連邦服 (赤) (緑) (青)……
共和国服 (赤) (青) (黄) (紫)……

いずれも上下一組ずつしまってゆく……



「……そして“装備→アバター→ドレッサー”から衣装を選べば いいのか……」


「思ったより かんたんだね」


「…鞄に入れて持ち歩かなくても よいのだな これで……」


「便利に なったね♪」


「あぁ…そうだな」


鞄には270種類しかアイテムを持ち歩けない……
武器 防具 アイテムを合わせてだ……

防具が鞄から減れば その他のアイテムを多く仕舞える…
合成素材アイテムの種類は多い……
街から長期間 離れる冒険者にとって 実にありがたい事だ……


ひととおり 衣装をし舞い込むと ワタシ達は
店主のもとに戻った……


「で …どうだった?」


さっそく店主が聞いてきた……


「……あぁ 素晴らしいな」

「すごく便利だと思うよ」



ワタシ達は 感想を述べた…



「そうか そうか 好評みたいだな…」


店主は機嫌がいいようだ…

「じゃあ わたしたちは冒険に戻るから……」


「おぅ また来てくれよな!」


「あぁ……また会おう…」




ワタシ達は 公国酒場を後にした…………