神々が棲む世界で一際、目立つのが七人だった。光の反射で炎色にも見える髪を、ゆらゆら揺らして…あどけない笑みが絶えなかった。
将来を約束された次期ミカエル。

そんなミカエルを平気で踵落としする麗しきウリエル。
穏やかな光景だと、神々は口を揃えて言っていた。そう、ミカエルの母親が亡くなるまでは…。


「聞いたか、あねの方が魔族の闘争に巻き込まれた人間を助ける為に命を捨てたと…」


「は、馬鹿っ!大きな声で叫ぶな。ミカエル様の耳に入ったら…」


慌てる家臣達を横目に、幼いウリエルは『馬鹿馬鹿しい』と思った。
ミカエルの母親は、穏やかな性格の持ち主で…。常に周りを和ませる女神だった。
魔族との闘いが勃発しても、そこに太陽の花を咲かせる様な人。
人間を助ける事が本望だと言っても過言ではない。
皆が悲しむ理由も解る。だが、一番悲しいのは心から慕っていた母親を亡くしたミカエル自身。
平然を装いながらも、泣くのを我慢している様子は一目瞭然。


『大丈夫だよ。母様が亡くなったて…私は一人で生きていけます…』


馬鹿も休み休みに言って欲しい。