啼いてはいけない…。
強くあらなければ。
―…弱音を吐くコトになる。
全て、あの日から己で決めた事なんだ。
あの頃から『涙を流さない』って、決意した。
一つ何かを覚える度に嬉しさを感じる事を諦めた。感情を徐に出せば、大切なモノを喪失(うしな)うと理解した。
だったら、一層…感情を無にしてしまえば。傷みすらも消えていくだろう。
そんな自分を見て、口元の端を上げた奴がいた。
相当な趣味をした奴だと思った…。
僕が周りから何て呼ばれているのかも知らないのだろうか。それとも、知っていて業っと自分の隣に居らせているのか。
だとしたら…コイツ馬鹿だろう。
頭沸いているって、絶対。
『癒燐…ね。アイツが付けそうな名前だな…』
初めて逢った科白が若干、いらっとさせたけど…。
否、若干じゃなくマジに殺してやろうかと心の奥で思わせてくれたよ。
畜生変人野郎こと、雨神 誠生(あまがみ せいい)。何でも話を聞けば、雨を司る神様の孫とかで…。
水鬼帝とも関わりが少なからずあるとか、父上が超絶な笑顔で教えてくれた。