夢100のアポロ夢その1
アポロ夢主
名前:クラレット(claret)
年齢:18
見目:ワインレッドの艶やかな長い髪に炎のようなグラデの瞳(光の加減で変わる)
出身:フレアルージュ×××××領(後に判明するが、当初は伏せていた)
人称:一人称→私 二人称→貴方 対アポロ→あなた、焔の君、名前呼び、名前+様付け
許嫁としてアポロの兄、ダイアに連れてこられた少女。アポロ自身は全く婚約に興味を示していなかったが、少女の勝気な瞳だけは気に入ったからとひとまずは傍に置かれることに。
その見目と、不思議な力を使うことから「緋の魔女」と畏怖やら尊敬やらされている。
実はアポロが制圧した(と、ダイアに吹き込まれている)フレアルージュ国内のとある領主の娘。
もともと魔術系に通じる土地柄、かつ両親が魔術系エキスパートというサラブレッドであり、本人もそういった類いに全くの抵抗がない。むしろアポロの炎については、自分の家が炎の精霊であるサラマンダーを家紋にしていたのもあり、親しみすら覚えるほど。
領地の制圧に伴い位なども剥奪され、両親とも生き別れたのち、暗殺者に拾われ暗器などの使い方を学ぶ。
その後ダイアと(なんらかの形で)会って話を聞き、アポロへの復讐を決めた彼女は、協力者として許嫁に扮し命を狙うため、潜り込んだ。
しかし、内部から見たアポロの国の民が皆穏やかで日々を生き生きと過ごしていること、アポロに会うと皆が皆目を輝かせ慕う様を見るうちに、ダイアの話が本当なのかを疑うようになる。
アポロの方は勝気な瞳を気に入ってメイドのようなノリで傍に置いてやっていたが、揺らめく焔の瞳に宿る悲しみだったり、民に見せる優しい顔だったりが気になっていた。なおアポロから意識しだすきっかけとなったのは、国がモンスターの襲撃にあった際に魔術で援護してくれたことと、アポロ自身の炎を「綺麗ないのちの焔だ」と言ったこと。
なお、兄の策略だと言うのは割と初期段階から気づいていたが、あえて泳がせていた。
ダイアに騙されていたと知った時はもろとも灰燼に帰す勢いで怒ったものの、「ゴミを燃やすのにお前の術などわざわざ使うな阿呆」と言われたので後にすっっっごく調整して服だけ燃やす程度に留めた。
なおアポロに、騙されていたと言えど命を狙っていたのだから、と短剣を渡して処刑を願うと、彼に自慢の髪をばっさり切られ『処刑』された。
暗殺者に師事していた影響で言葉遣いに男めいたところがあるが、本来は心優しく、紅茶好き。
ちなみにアポロとは紅茶の好みが微妙に異なる。
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@ アポロとダイアとクラレット。初お目見え。
「なんだ、こいつは」
怪訝そうな様子を隠しもせず、アポロは兄のダイアに問うた。
紅鏡の国、フレアルージュ。ある日の午後のことだ。
アポロの『力』を畏怖する兄ダイアが連れてきたのは、艶やかなワインレッドの長髪と紅い瞳を持つ、一人の少女だった。
歳の頃は十代後半くらいか。見た目の割にどこか冷めた顔の彼女は、恭しく礼をして見せた。
「知らなかったのか?お前の許嫁だよ」
「は?そんなもの聞いたことがないぞ」
「お前が覚えていないだけだろう。父上が結構前に告げていたはずだが?」
言われたアポロはしばし考え込むが、やはり覚えがないようで、緩やかに首を振った。
「ま、覚えていようがいなかろうが、この娘がお前の許嫁なのは変わりがないけどな」
「要らん。連れて帰れ」
「そうはいかない。父上も案じておられるのだ。お前も結婚していておかしくない歳、そろそろ嫁を娶り、後継ぎを考える頃だとな」
「は、よく言う。貴様らが大人しくしていればいいだけの話だ」
「……口の減らない弟だな」
ダイアの笑みがひくりと震える。よく見れば額に青筋が浮いていた。彼らの険悪ぷりは、顔を見ずとも空気だけでわかるだろう。
現に、謁見の間の兵士たちは蒼白を通り越して真っ白な顔をしている。
「兎に角だ。彼女も結婚可能の歳になったから連れてきた。これは王の命令でもあるぞ」
「知るか。連れて帰って父上に言っておけ。嫁などいらんし女を侍らせる気もないとな」
「国王の意思を無視するのか?末弟のお前ごときが、そんなこと許されるとでも……」
「くどい」
地を裂くような低い威圧と共に、アポロの腕を炎が包む。これこそ肉親や兵士を怯えさせる、彼の『力』だった。
ひ、とダイアが後ずさる。
「……王の命令に背いたことは、報告するからなっ」
そう吐き捨てると、少女の背を押して、逃げるようにその場を立ち去った。
たたらを踏んだものの、少女はなんとか無様に転ぶのを免れ、真っ直ぐにアポロを見つめる。
「なんだ、まだいたのか。早く去れ」
「私の帰る場所は、ここです」
鈴の鳴るような声とは裏腹に、静かな物言いで彼女は続ける。
「それ以外に、帰る場所などありません」
「……」
「気に入らないと言えど、兄君さまのいうことには一理あるかと」
「俺に指図か。いいだろう。その身燃やし尽くしてくれる」
「……」
低い声を聞いてなお、少女のまなざしは揺らがなかった。むしろアポロを射抜くようにまっすぐに、彼と、彼の腕を彩る炎を見つめている。
「……ほう」
彼の唇が、初めて微かに持ち上がった。
「貴様、これを見ても目を逸らしも逃げもしないか」
「怖くありませんから」
「灰燼に帰す、と言ったのにか?」
「はい」
はったりでもなんでもなく、少女はアポロを見つめた。
その紅い瞳が、揺らめく炎のそれに変わる。
……否、もともとこうなのだ。光の加減で、ただの紅になったり、本来の焔のゆらめきを取り戻したりするだけで。
アポロは炎を収めると、少女へ尊大なまなざしを向けた。
「女、名はなんという」
「クラレット、と申します。焔(ほむら)の君」
「いいか。俺は貴様のことなど知らないし、許嫁だと認める気もない。だが、その目は気に入った。故にしばらくの滞在は許してやろう」
「ありがとうございます」
「ふん。分かったら、下がれ。……おい」
「は、はい!」
「こいつを適当な部屋へ案内しておけ」
「か、畏まりました!」
兵士が怖々と、しかし躊躇いなく敬礼すれば、アポロはつまらなそうに一瞥を投げて、少女……クラレットへ背をむける。
離れていくその大きな背中を、クラレットはどこか昏いまなざしで見つめるばかりだった。
A クラレットとアポロとモブ兵士。モブ兵士の警告
あんな態度でも女性を滞在させるに不都合がない程度の礼はわきまえているらしく、滞在が決まったその日にクラレットお付きになったという侍女が挨拶に来た。
アデリーンと名乗った中年の彼女は、やさしげな顔と恰幅の良い体格、そして親しみやすさと物怖じしない態度が、クラレットにとって気持ちの良い存在だった。
そんな彼女にアポロのことを聞くと「おっかないお方さね」と笑ったあと、だがとても頼りになるのだと教えてくれた。
(何が、頼りになる。あの男は……)
クラレットは内心歯噛みするのを悟られまいと、アデリーンに笑顔を返す。猫を被るのは慣れているし、隠れて牙を研ぐ術も、既に身に着けていた。
そんな風に滞在を始めて、今日でちょうど一週間。
クラレットはいつもの習慣で夜明け前に目を覚ますと、軽く体を動かして身支度を始める。
今日は、街に降りてみようか。
そう思い、いつも侍女を呼んで着せてもらうようなものではなく、一人で着脱が出来て町娘にもなれそうな格好を選んでみる。「婚約前の謁見」時に、私物と称して持ってきたかばんの中へ入れていたものだ。
旅行者のようなかばん一つで来たクラレットだが、もし滞在が許されなかった時の対策として、こういった準備は抜かりなく行っていた。
……まさか、この瞳で滞在を許されることになるなどと、一週間前は考えもしなかったが。
クラレットは鏡台に座り、まじまじと自身の瞳を眺めてみる。部屋に灯した僅かな薄明りの中、今のその瞳はまるで、揺らめく炎のようにグラデーションがかかっていた。
(これは、私の怒り。そして復讐の炎)
目尻から目の下を、指先で一撫でしてみる。炎の色は変わらなかったが、ここ一週間の焦燥は少し、治まった気がした。
なにせあのアポロと言う男、まったくと言っていいほど隙がないのだ。
そもそも、滞在を許されたのも気まぐれと言う身である。当然ながら用もなく会ってなどくれないし、城内ですれ違うにしても精鋭だろう護衛が常に身辺を固めている。
ならば夜はと思い部屋を抜け出しても、当たり前だが寝室前は寝ずの番が守りを固めており、窓から侵入を試みようにも、彼の私室へ続く壁はバルコニーなど掴める場所がないのでそれも叶わない。
かたき討ちのためにと許嫁に扮してみたはいいものの、話を持ちかけたあのダイアと言う男はいまいちその辺り、詰めが甘い方なのかも知れない。
クラレットは溜息をつき、鏡台から離れてカーテンを開けた。
朝ぼらけの空、霧のかかる城下が陽の光で薄橙に染まっている。ここから城下の様子は見えないが、恐らくここの民はさぞかし、恐怖政治に怯えていることだろう。
人様の土地を理由なく侵略し、呑みこんでしまうような男の治める場所だ。ダイアに連れてこられた時は馬車の中にいた身なので見ていないにせよ、民の様子は想像に難くなかった。
アポロに直接近づけないなら、外堀から埋めていくまで。
クラレットは寝台に座り、スカートをあげると、太腿につけたベルトを確認する。
そこへ備えられた鞘を指で軽く撫で、寝台傍のチェストからナイフを取り出した。
柄の部分に鮮やかな濃い赤色をした紅玉(ルビー)が嵌め込まれているそれは、非力な女性でも確実に対象を討てるように造られた、アサシンナイフだ。
今や、クラレットにとっては形見とも言える品になってしまったそれを眺める。
触れただけで切れそうな鋭い刀身に映した瞳は、光の具合だろうか。先程の燃える炎ではなく、柔らかな輝きを宿す赤に変わっていた。
「……あの(ダイ)男(ア)のためではない。私は、私のために、奴(アポロ)を殺す」
一人静かに口の中で呟き、クラレットはナイフを太腿の鞘へと納めた。
夜が明ける頃になると、外からアデリーンの呼ぶ声がした。
答えて表に出ると、中年の侍女は目を丸くした。
「クラレット様。どうしたんです、そんな町娘のような」
「ええ、城下を見たいと思いまして。アポロ様に婚約者と認めてもらっていない以上、王族のような恰好をしていると、要らぬ誤解を招いてしまうでしょう?」
「そりゃまあ、そうですけどねえ……」
「私は、アポロ様に追い出されたら、帰る場所がないのです。ね?アデリーン、分かってくれませんか」
「……」
アデリーンは複雑そうな顔ながら、諦めたように了承した。
食堂へと案内される道すがら、会話らしい会話はない。別に禁止されている訳ではないのだが、まだ一週間である。アデリーンの方はともかく、クラレットはどこまで距離をつめていいものかを考えあぐねていた。
個人的には、仲良くしたい性格をしている。しかしここに来た本来の目的を考えると、城の者と下手に深い関係を持って、いざと言う時にためらいが生じてはならない。
標的の懐へもぐりこむ時は、怪しまれず。かつ、親しくなり過ぎないように。
師匠の教えを心の内で反芻しながら歩いていると、向こうからアポロが歩いてくるのが見えた。
「お早うございます、アポロ様」
「……」
すれ違いざまに声をかけるが、返事はつまらなそうな一瞥だけだった。
これも一週間ずっと同じなので全く気にしていなかったが、今日だけは「おい」と呼び止められる。
「何でしょう」
「その格好はなんだ」
「城下に降りるためのものです。許嫁と認めてくださるのであれば、それ相応の格好も出来るのですが」
「……」
アポロは冷たい目を向けただけで、特に何も言わず立ち去って行く。
流石にここで「許嫁と認めるから格好を変えろ」などと言われるわけがないと分かっていたので、特に落胆もせず食堂に向かった。
上流階級にありがちな、冷めた食事を摂って、アデリーンと別れ城門まで歩く。
「あ、あの」
「はい?」
そんなクラレットに声をかけたのは、一週間前、彼女を部屋に案内した兵士だった。
「どちらに、行かれるのでしょうか」
「城下に行くだけですよ。ほら、ちゃんと溶け込める格好をしているでしょう?」
「そうですか。なら、いいのですが」
兵士は安堵とも不安ともとれる様子で、クラレットを見つめている。
「……心配しなくとも、城下に行ったところでこんな小娘ごとき、アポロ様を脅かすことなんて出来ませんよ?」
「ですが、警戒に越したことはありません。アポロ様は、ダイア様と国王様に……」
「?」
「いえ、なんでもありません」
言いかけた言葉を呑みこむように、兵士は首を振る。その続きは気になったが、貝のように口を閉ざすこの兵士から聞きだすのは至難の業だろうと、早々に諦める。
「行ってらっしゃいませ、クラレット様」
「ええ、行ってきます」
「……くれぐれも、危うい橋は渡りませぬよう。貴方の立場は不安定なのですから」
兵士が去り際にかけた言葉は、アポロへの怯えからか、クラレットへの拭いきれない不信感からか、震えているように聞こえた。
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